現代のものづくりは、さまざまな分野の技術を組み合わせて、高度な製品を作ることが求められるようになってきた。こうしたさまざまな技術が複雑に絡み合う状況下において、それを実現するためには、いかに技術を統合して活用していくかが重要になってくる。

そう主張するのはSiemens Digital Industries Software(DISW、シーメンス)のGlobal Sales & Customer Success担当のExecutive Vice PresidentのRobert Jones氏。同社が、こうした顧客の複雑性の管理を実現するべく、3つの領域にフォーカスした取り組みを強固に進めていることを7月10日~11日にかけて都内で開催したユーザーカンファレンスに際して開催したメディアブリーフィングで説明を行った。

  • シーメンス

    シーメンスが複雑化するものづくりに悩む顧客を成功させることを目指し注力する3つの領域 (資料提供:Siemens Digital Industries Software)

1つ目の領域は「包括的なデジタルツイン」。包括的、というのはライフサイクルの全体を見据えたうえで、製品に対するデジタルツイン環境を構築。製品シミュレーションをマルチフィジックスで実行するほか、製造工場の現場の設備配置や稼働状況、作業員の動作そのものもシミュレーション環境を構築することで、自動化に向けた運用を、製品に変更が生じた際などでも柔軟に活用できるようになるとする。

  • シーメンス

    包括的なデジタルツインの概要。すべての工程をシミュレーションで実行し、それをリアルにコピーすることとなる (資料提供:Siemens Digital Industries Software)

2つ目の領域は「フレキシブル/適応性」。もっとも注力するのがクラウドであり、それまで各事業ドメインで培ってきた専門性を、クラウドを通じてドメイン固有の価値を幅広く柔軟に提供できるようになったとのことで、同氏は「我々のクラウドは、もっとも堅牢性があり、かつ柔軟性を提供できるものと自負している」とその取り組みを評価する。

また、同社が強調するのが、クラウド戦略といっても、1つのビジネスモデルや運用モデルを強制しているというわけではないこと。例えばソフトウェアライセンスにしても、サブスクリプションのみにするのではなく、従来どおりの永久ライセンス形態も残すほか、SaaSとしても提供しており、顧客が自社に最適なニーズに沿って導入することを可能としている。

  • シーメンス

    クラウドベースでさまざまなソリューションを展開することで柔軟性の提供を可能とした (資料提供:Siemens Digital Industries Software)

さらに2018年にはPaaS型アプリケーション開発プラットフォーム「Mendix」を7億ドルで買収。同社の堅牢性の高いAPIを活用することで、顧客はビジュアルかつ、よりパーソナライズされた形でソリューションを導入することが可能になるともする。

  • シーメンス

    2018年に買収したMendixのソリューションを活用することで、クラウドの活用がさらに促進されることとなる (資料提供:Siemens Digital Industries Software)

そして3つ目の領域が「オープン/エコシステム」。同社はツールのオープン化を通じてエコシステムの構築に向けた投資を長年にわたって継続してきた。例えば3D CADのモデリングカーネルである「Parasolid」は、その上でさまざまなソリューションが活用される状況となっている。今後はMendixの能力がこうした取り組みに付与されることとなり、より幅広いソリューションの展開が期待できるようになるとした。

  • シーメンス

    Parasolidは多くのユーザーがいるが、その上で動くソリューションを開発するパートナーも数多く存在している (資料提供:Siemens Digital Industries Software)

ちなみに、同社のソフトウェア事業にとって、日本は過去5年の間、2桁成長を維持してきた重要な市場という位置づけで、それは強力なパートナーシップによってなされてきたという。「キーワードは未来」(シーメンスPLMソフトウェアのシニア・バイスプレジデント兼アジア太平洋地域マネージング・ディレクターのPete Carrier氏)であり、シーメンスとしては未来に視点を展開させており、そうした意味では、日本のエンタープライズビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションをどう進めていくかに注力してきた結果だという。「必要なのはセキュリティ、コミュニケーション、サービス、オートメーション、ソフトウェアと多岐にわたる」とするが、その戦略はシンプルかつストレートであり、ものづくり分野がいかにしてデジタルを活用できるようにしていくか、であるとした。