映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』(監督:田崎竜太)は、現在放送中の特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』の劇場版。『仮面ライダークウガ』(2000年)から『ジオウ』まで20作続いてきた「平成仮面ライダー」の集大成として、ぴあ映画初日満足度第1位となる92.5 点(7月27日ぴあ調べ)を記録し、公開から3日間の興行収入が昨年比110%となるなど、大ヒット中だ。

  • 押田岳(おしだ・がく)。1997年生まれ、神奈川県出身。2016年、第29回ジュノン。スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。2017年のバラエティ番組『スカッとジャパン』やFODオリジナルドラマ『ぼくは麻理のなか』に出演したのち、『仮面ライダージオウ』(2018年)の仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役でレギュラー出演を果たす。撮影:宮川朋久

今回の映画では、『仮面ライダードライブ』の"歴史"を消滅の危機から救うため、仮面ライダージオウ/常磐ソウゴたちが1575年の戦国時代へタイムワープし、戦国の世において"魔王"と恐れられた織田信長に遭遇するというストーリーが描かれる。

単独キャストインタビューの今回は、"サイテーサイアクの魔王"=オーマジオウが君臨する2068年の未来世界から現代へとやってきた仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツを演じる押田岳が登場。対立しながら、現在は仲間として、友としてソウゴとともに戦うゲイツ。一年間にわたってゲイツを演じてきた押田に、その心の変化と、集大成ともいえる映画への思いを聞いた。

――昨年取材させていただいた時は、ゲイツの役どころのため、写真でもクールな表情でいることが多かった印象があります。最近ではテレビシリーズでもさまざまな表情を見せていますね。

そうですね。本当にソウゴと"友達"になってから……くらいだと思います。そんなにクール、クールでいようとせず、もっと普通の人間にというか、自分に近づけて演じています。一年が経って、そんなにイメージを縛ってキャラクターを作る必要もないのかなと。ゲイツというキャラクターは一旦出来上がっているので、そこで大筋のイメージがついていると思うんです。そこからは、プラスアルファで加えていけばいいなって感じですね。

――その"プラスアルファ"を意識的に組み込める、というのは1年間の大きな収穫であり、成長された部分ではないでしょうか。

カメラマンさんで、歴代作品を撮られているレジェンドの方がいるんです。カメラの意識の仕方や、どこからどう撮っているからこう動くとか、どうすれば自分の思っているように映ることができるかとか、そういうのは少しずつですけれど、成長しているところだと思います。映画のあるシーンで、これはソウゴとツクヨミと3人でお芝居したところなんですけれど、今まで以上に"みんなでいいエネルギーが生まれたな"と感じたところがあったんです。そういうシーンを"作る"ことができるようになってきたな、いまそういったシーンが"生まれた"なと実感することが、最近はあります。

――そう"変わった"きっかけは具体的にあるのでしょうか。

EP35「2008:ハツコイ、ウェイクアップ!」EP36「2019:ハツコイ、ファイナリー!」(脚本:井上敏樹、監督:田村直己)の"キバ編"ですね。ゲイツに限らず、みんなもなんですけれど、田村監督は今までにあったキャラを壊すというか、キャラクターの新しい表情を見せる演出をしてくださったんです。そこからいろんな発想が出てくるようになった気がします。「キャラ崩れてるんじゃないか」と言われるときもあるんですけれど、僕たちはポジティブに、キャラの新しい面を提示できれば……と思いながら演じています。

言ってしまえば、僕がやっていれば、それはゲイツなんじゃないかって。だから、なんでもアリといえばなんでもアリなんだろうなと思って、いろんなことを試すようになりました。それこそ僕が思いついたことだけじゃなくて、監督や他のキャストから、「こうやってみたら」みたいなアドバイスを受けて、「それいいね!」って感じでやることもあります。特に最近は、最初に作ったオーソドックスなゲイツは、シーンの初めとかで入れることはありますけれど、そこから芝居をやっていって、「こうやったら面白そうだな」と思ったら、やっちゃうみたいな感じですね。

――キバ編はかなり話題になりましたね。

やっぱり、『仮面ライダージオウ』は、例年に比べて関わる監督さんも多い作品なんです。そのため、それぞれの演出の仕方というか、テイストが異なる部分が本当にあって、僕らも最初はすごく困った……というのが正直なところなんです。自分が思っているゲイツ――これはパイロットで田崎監督と作ったゲイツですね――だったら、これはやらないよなとか、こういう表現の方がいいよなと思うこともありました。そう頑固になっていたところがあったんですけれど、最近では、「監督が言ってるんだから、きっとこれも正解なんだ」って、新しくその表現に挑戦してみようという思いで取り組んでいます。

――ご自分の中で、そういうものを受け入れる余裕ができた、ということでしょうか。

それはあると思います。けっこう、周りが見えなくなっちゃうタイプなんで。今でもあるんですけれどね。いまは、とにかくやってみて、そこから考えようというやり方です。その場で面白かったらそれでOKが出るんだろうし、だめだったら「もう1回!」って言ってくれると思うので、そこは監督を信頼していろいろやってみようかなっていう感じですね。