■ディレクターと二人三脚で作り上げた、個性豊かな楽曲

――そしてリーディングの中で3人の女の子が登場して、ひとりめにあたる「想像守護神キメキトイア」へと続きますが、非常にインパクトある曲ですね。

このOPのあとに「キメキトイア」がくるっていうのもすごいですよね(笑)。この曲は、私がそれこそ生まれたときからオタクだったので、「二次元の女の子が、わっ! て飛び出してきたような世界観を一度歌ってみたい」という要望を出させていただいたら、児玉さんがセリフとかコール部分も含めて考えてくださって。まさに、私の歌いたい電波ソングのような曲になったんじゃないかなと思っています。

――これを聴くと、主人公の女の子は普段結構抑圧されているんだろうな、って感じました。

ほんとですか? ふふ、うれしい(笑)。この曲では存分に解放したので、レコーディングがほんっとに楽しくて。自分の中で作っていったキャラに深みや厚みが出るようセリフの言い方とかもいろいろ試しながら歌わせてもらいましたし、ディレクターさんも新しいアイデアを提案して、アドバイスをしてくださったんですよ。なので、最初にイメージしていた子とは若干違う女の子ができあがったんですけど、それってとても素敵なことで。「作ってる!」っていう感じが、すごくワクワクしました。

――続く「doll」は、非常にメルヘンチックな世界観の曲です。

これも、私がどうしても表現したかった世界観で。グリム童話やアンデルセンみたいな童話の世界がすごく好きで、デンマークに留学までするほどだったんですよ。なので「音楽でそういう世界観を描いてみたい」と思って、お願いしました。

――そうしたらもう、分島花音さんがドンピシャの曲を。

そう! 最高です……! 曲聴いた瞬間「もうこれ、好きっ!」ってなって。「これを私が歌えるんだ」と思うとうれしかったですし、歌うのは難しい曲なんですけど、「私は私の世界観をここで思い切り出さないといけないな」と思って気合いも入りました。

――歌って難しかったのは、どんな部分でしたか?

この曲は、ブレスのタイミングがすごく難しいんですよ。しかも、ブレスの位置で伝える意味合いも変わってしまうと思うので、収録中には相談しながら進めていきまして。私が元々考えていたブレスの位置に対して、ディレクターさんが「やっぱりここじゃなくて、もうちょっと頑張れる?」って位置を変えてくれて、細かく指導いただいたおかげで、ひとりで歌っているときよりもっともっと素敵な楽曲になったなと思ってます。

■最初は拒否!? 作詞で彼女が描いたものとは

――もう1曲「ロンリーロンリーシンギュラリティ」は本当にサイバーな、まさにアンドロイド感のある曲ですね。

そうですね。私、『攻殻機動隊』みたいなAIと人間が入り乱れる世界観もすごく好きなので、そういうのを表現してみたいと思って、TeddyLoidさんの曲をいただきました。

――無機質に歌うというのは、なかなか難しいところもあったのでは?

そうですね。しかもそのうえで、ちょっとフランス語みたいにというか、「違う言語に聴こえる感じで、ふぁって弾ける感じで歌ってみて」っていうディレクションがあったので、それが「え、面白い!」と思ったんですよ。そうすることで、日本語を喋っているけど違う音に聴こえる、みたいな効果が出ているのかもしれません。

――歌声自体も、かなり加工されて使われている部分もありますからね。

そうなんです。そのおかげで機械っぽさがふんだんに込められています。お披露目イベントのときもこの曲を歌わせていただきましたが、その時の生声ともまた違って、CDではよりアンドロイドの女の子っぽさが出ていると思うんです。私自身もできあがりを聴いたとき、自分が歌っていたときとはがらっと変わって聴こえて、自分でもすごくわくわくしたんですよ。なのでライブで聴かれた方も、改めてCDを聴くと新しい発見もできると思うので、ぜひライブでもCDでも聴いていただきたい曲ですね。

――そして、夢から目覚めるリーディングを挟んで、ご自身で作詞にも携わられた「まどろみはDejlig」へと続きます。

実ははじめは、「作詞はまだ難しいかもしれないです。」って言っていたんです(笑)。でも、ディレクターさんが私のアイデアをたくさん引き出してくださることで制作の打ち合わせがすごく楽しくなってきて、中盤ぐらいに「作詞、挑戦してみてもいいですか?」とお伝えしたら、受け入れてくださったんです。ただ、最初からひとりだとちょっと不安だったので、お世話になっている児玉雨子さんに共作をお願いしまして。私が曲に合わせて書いた歌詞を児玉さんに提出して、いろいろ修正していただいて……という形で進めていきました。

――どんなことをテーマに、書かれていきましたか?

この曲は夢から覚めるシーンにぴったりだなと思って選ばせていただいたんですけど、夢から覚めつつも、「つらいことがあったらいつでもここに帰ってきてもいいよ」っていう逃げ道になるような曲にできればと思って書かせていただきました。それを児玉さんが、とても素敵にアレンジをしてくださって。自分の成分もありつつも、歌詞としてすごく伝わるものになったなと思います。 さらに、想像をしやすい歌詞にもなりました。自分には直接的な表現が多かったんですけど、児玉さんは聴き手に想像させる余地のある歌詞を書かれるんですよ。そういう表現方法についてもすごく勉強になったので、本当に今回共作させていただけてよかったなと思います。

――歌声としては本当に、曲調にも沿って穏やかに入られて。

そうですね。これはもうウィスパーで歌いたかったので、一生懸命ささやきました。でもウィスパーだと、息がふぁーっと出ていっちゃうので息が続かなかったりして、歌うのが難しい部分もありました。そういう点でも結構苦労したので、今後ライブで歌うのがちょっとドキドキでもありますね。