10~20代前半の女性を中心に増えている「クラミジア感染症」。性交渉によって尿道や子宮頚管、咽頭に感染し、自覚症状がないまま進行することがあります。

◆10~20代前半の女性に多い「クラミジア感染症」とは
クラミジア感染症は10~20代前半の女性を中心に増えてきている性感染症。女性の性感染症の中では、HPV感染を除くと最も多く、20代前半の感染者数は性交経験のある人の5~10人に1人と予測されています。

自覚症状がほとんどないために、妊婦健診で検査をしてみて初めて感染に気づくというケースも少なくありません。クラミジアによる卵管炎は不妊症の原因となるため、若い頃の感染が将来弊害をもたらすこともあります。

また、クラミジアに感染していると、HIVへの感染率が3~5倍に増えるといわれています。

◆クラミジア感染症の原因・感染部位・感染経路
クラミジア感染症の原因は、クラミジアトラコマティスという細菌。性交渉によって尿道や子宮頚管、喉の奥にクラミジアが感染します。咽頭感染のように喉への感染もあるため、性器同士の接触がなくても感染する場合があります。

なお、プールや大衆浴場など、性行為以外の場で感染することはありません。

◆クラミジア感染症の症状……自覚症状が出にくく無症状のことも
男性、女性ともに、感染してもほとんど自覚症状がないのが特徴。そのため、感染に気づかず、パートナーが変わるごとに次々に感染を拡げてしまう危険性があります。

■男性のクラジミアの症状:排尿痛、尿道から膿が出る可能性も
尿道炎を起こすため、排尿時の痛みや尿道の違和感、尿道から膿が出るといった自覚症状が見られることがあります。女性に比べて、男性は症状が現れやすい傾向にあります。

■女性のクラジミアの症状:子宮頚管炎、膀胱炎、卵管炎を発症する恐れも
女性は、子宮頚管炎(子宮の出口の炎症)が起きると水っぽいおりものが増えたりおりものに少量の出血が混ざったりすることがあります。

尿道や膀胱に菌が入ると、頻尿や排尿痛などの膀胱炎症状を引き起こします。炎症がお腹の中まで拡がると、腹痛・発熱などの症状が出る場合もあります。時には炎症が肝臓の周囲まで拡がってしまうことがあり、その場合は右側の肋骨の下の辺りに痛みが出るため、内科の病気と間違われる可能性もあります。

クラミジアによる炎症が卵管に拡がると「卵管炎」を引き起こし、卵管閉塞の原因となります。卵管閉塞になると、将来卵管性不妊や子宮外妊娠のリスクが高くなります。

30代の女性で子宮外妊娠のために緊急手術を行ったら、お腹の中はクラミジア感染を疑う癒着があり、卵管は周囲とくっついてしまっていたというケースもありました。本人が自覚がないままクラミジア感染が進行してしまうと、何年も経ってからこのようなトラブルが起きてくることもあります。

◆クラミジア感染症の検査法……性器感染・咽頭感染の診断法
男性は尿を使うか尿道の細胞を擦り取って検査します。女性は子宮頚管の分泌物を拭い取って検査します。

男女ともに、咽頭感染が疑わしい時は、喉の奥を直接こすって検査をするか、うがい液を検査に出します。

血液検査では、抗体検査により「抗体」を調べることもできますが、一度でも感染したことがあれば「陽性」になるため、過去の感染を含めて感染の有無を判定する場合に用います。

◆クラミジア感染症の治療方法……抗生物質服薬か点滴で治療
男女ともにクラミジアに有効な抗生物質を1~7日間飲みます。炎症がひどくて腹痛や発熱がある場合は、点滴による治療が必要になることもあります。治療後に再度検査を行い、結果が「陰性」になっていることを確認できれば「完治した」といえます。

パートナーがいる場合は、相手も同時に治療することが重要です。どちらか片方しか治療を行わなかった場合、一度治っても、治療後に性交渉を行えば未治療のパートナーから再度感染することになり、いつまでも完治できません。治療後の検査で再度「陽性」が出た場合は、抗生物質の種類を変えて結果が「陰性」になるまで治療を行います。

◆非常に感染力が強いクラミジア感染症の予防法
コンドームを、毎回初めから正しく使うことが最も有効な予防法。咽頭感染もあるため、オーラルセックスの時もコンドームを使用するのが理想です。また、パートナーが変わったら、そのたびに定期的な検査を行って、早期発見を心がけることも大事です。

クラミジアは非常に感染力が強く、1回の性交渉でも感染する確率が高いので、一度だけと油断せず、妊娠を目指す時以外は必ずコンドームを使うようにしましょう。

文=清水 なほみ(産婦人科医)