公的年金には、必ず未支給年金という「宙に浮いた年金」が発生します。この未支給年金がどういった年金なのかを検証します。

◆公的年金の2つの大原則が「未支給年金」を引き起こす!?
案外知られていない年金を受け取る原則があります。それは、

・請求しないと受け取れないこと
・後払いであること

という原則です。

「請求しないと受け取れない」という原則は、「もらえる権利が発生しても、請求しなければいつまで経っても受け取ることができない」ということです。

もう1つ、「後払い」の原則とは何かというと、公的年金は原則的に年に6回偶数月に2カ月分ずつ支払われるのですが、例えば4月に支払われる年金は、2月分、3月分の年金となります。先払いではなく「後払い」なのです。

これだけ見ると、何てこともない原則なのですが、この原則を知らないと、思わぬ「損」をしてしまうことがあるのです。

◆払いたくても払う相手がいないから「未支給年金」が発生する
公的年金は請求しなければ受け取れない、とはいえ、受け取る権利自体は自動的に発生することになります。例えば老齢基礎年金で考えてみると、平成31年1月に65歳の誕生日を迎える方については、他の受給要件が整っていれば、その時点で権利は自動的に発生し、実際の年金の支払いは誕生日の翌月である2月分からはじまることになります。

権利は自動的に発生していますから、たとえ請求手続きが遅れたとしてもちゃんと年金の支払いは2月分から受け取れます(時効があるため、さかのぼれるのは5年間分となります)。

ただ、いくら請求は遅くなってもよいとはいえ、もしも請求する前に死亡してしまったらどうなるでしょう? いくら権利が発生していたとしても、受け取る本人がいないと払いようがありません。「宙に浮いてしまった年金」とでもいえるでしょうか?

「払いたくても払う相手がいない」、これは必ず起こること。これを「未支給年金」といいます。

◆後払いという制度上必ず発生する「未支給年金」
65歳で受給権が発生して、実際の請求手続きをしないまま67歳で死亡したとすると、65歳から死亡するまでの2年間分は、権利はあるけど払う相手がいないため、払いようがない状況となります。これを「未支給年金」といいます。

「請求しないまま亡くなるってケースは、あまり多くないからあまり気にしなくてもよいのでは?」と思われるかもしれません。

ただ、この「未支給年金」は、年金を受け取ると「必ず」発生するものなのです。その理由が、上段に書いた「後払い」の原則に隠されています。

年金を受け取っている方も、いずれは亡くなる時がおとずれます。例えば年金を受け取っている方が10月に亡くなられたとすると、年金を受け取る権利は10月分まであることになります。

この10月分の年金は後払いのため、実際の支払いは12月に行われることになりますが、その支払時の12月には本人は(10月に死亡しているため)いないため、支払いようがないことなります。

亡くなった時(月)まで年金を受け取る権利があって、それを後払いする制度ですから必ず「払い残した年金(宙に浮いてしまった年金)」が発生するわけです。

◆未支給年金を請求できる人って?
権利はあるのに払う相手がいないため、支払いようがない「宙に浮いた年金」ともいえる未支給年金ですが、これはこれで「請求」すれば受け取れることができます。

といっても、本人はいない訳ですから、本人の遺族が請求することになります。ただこれは「遺族年金」ではありませんので、遺族年金の請求とは別に請求する必要があります。

この未支給年金は、老齢年金だけに限りません。障害年金や遺族年金を受け取っていた方が亡くなった場合にも「未支給年金」は発生します。額としては、ほんのわずかな場合が多く、1回きりの一時金なわけですが、これはこれで権利ですから忘れずに請求したいものです。

文=和田 雅彦(マネーガイド)