トランプ大統領、批判されると「人種差別者だ」と叫ぶお決まり戦略

最近のトランプ大統領は、多くの人を「人種差別者」と呼んできた。そう呼ばれた人々を見てみるとほとんどが有色人種である。これは偶然とは言えないだろう。自分を批判する有色人種を人種差別者と呼び続けるトランプ、そのお決まりパターンとは?

イライジャ・カミングス下院議員を「人種差別者」と呼んだ翌日の月曜日、トランプ大統領はアル・シャープトンを「白人嫌い」と投稿。ここには一定のパターンがある。

トランプの最新ターゲットは活動家のアル・シャープトン牧師だ。7月29日、シャープトンはボルチモアにいた。これは、下院監視委員会会長イライジャ・カミングス下院議員(民主党、メリーランド州)の選挙区は「ネズミとげっ歯動物がはびこって」いて「人間は絶対に住みたくない」場所と、トランプがツイートしたあとのことである。

月曜日の一連のツイートの中で、トランプはシャープトンが「詐欺師」で「白人と警察官を憎んでいる」と投稿した。

I have known Al for 25 years. Went to fights with him & Don King, always got along well. He ”loved Trump!” He would ask me for favors often. Al is a con man, a troublemaker, always looking for a score. Just doing his thing. Must have intimidated Comcast/NBC. Hates Whites & Cops! https://t.co/ZwPZa0FWfN — Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 29, 2019
<トランプのリツイート> 2019年7月29日午後7時30分
アルは25年前から知っている。彼とドン・キングとともに戦いに行ったし、いつも仲が良かった。彼は「トランプを愛していた!」。私に頼み事をすることも多々あった。アルは詐欺師で、トラブルメーカーで、常に成功を求める。自分の好き勝手にやっている。コムキャストとNBCを恫喝したに違いない。彼は白人と警官を憎んでいる!

<アル・シャープトン牧師のオリジナルツイート>
アトランタからDCに到着。バルチモアに移動。大忙しだが止まってはいられない。

シャープトンが「白人を憎む」とわめくトランプの投稿は、自分を人種差別者と非難した相手が正気ではないと世間に思い込ませる、トランプ特有のパターンの好例だ。このパターンはこんな順番で進む。まずトランプが人種差別弾を撃ち込む。次に、彼に好意的な保守系メディアと議会の太鼓持ちたちがこの攻撃をバックアップして、トランプの攻撃は人種差別ではないと主張する。最後に、トランプが攻撃している有色人種こそが本物の人種差別者だと宣言する。

シャープトンに対しては最後の手順を省いたが、有色の女性下院議員たちの反発への攻撃的な言動や、先週末のカミングス下院議員への攻撃姿勢と、反論や反発を封じ込めるトランプの手法はほぼ同一と言える。


7月上旬に、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)、イルハン・オマル下院議員(民主党、ミネソタ州)、ラシダ・タリーブ下院議員(民主党、ミシガン州)、アヤンナ・プレスリー下院議員(民主党、マサチューセッツ州)に対するツイートで、「完全に崩壊して犯罪がはびこる場所」に「帰るべきだ」とトランプは発言した。トランプが大統領になってから出した人種差別的コメントの中でも、群を抜いて明確に人種差別を露わにしている。共和党の立法府議員たちは、この攻撃をイデオロギーに関する単純な挑戦として正当化を試み、トランプ大統領お得意の「好きじゃなきゃ出ていけ」という不条理なロジックを不問に付した(このロジックに従うと、一方の政党がホワイトハウスを占拠している間、もう一方の政党の上下院議員は国内にいられないことになる)。

この下手な言葉遣いの発言が新たなサイクルに突入すると、トランプは件の女性下院議員たちを人種差別者と呼んだ。そしてトランプは、「あのチームは人種差別の激しいトラブルメーカーの一群で、若輩で、経験不足で、大して利口じゃない」とツイートした。

カミングス下院議員への人種差別者攻撃は、女性下院議員たちへの攻撃同様に、フォックス・ニュースを見ていて頭にきたトランプが衝動的に行ったことで、この攻撃の副次的な影響も同じパターンを辿った。共和党議員たちはトランプの一連のツイートには人種差別的な要素は一切ないと主張し、議会で最も注目を集めるアフリカ系アメリカ人の批判好きな議員が属する地域の状況を正直に語っただけだとした。そして、トランプはカミングス議員をお決まりの手法で人種差別者呼ばわりしたのである。

If racist Elijah Cummings would focus more of his energy on helping the good people of his district, and Baltimore itself, perhaps progress could be made in fixing the mess that he has helped to create over many years of incompetent leadership. His radical ”oversight” is a joke! — Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 28, 2019
<トランプのツイート> 2019年7月29日午前4時18分
人種差別者のイライジャ・カミングスが、自分の選挙区の良き人々を救うことにもっとエネルギーを注げば、きっとバルチモアだって、長年に渡る彼の無能なリーダシップで生まれた無秩序を解消する方向に進むかもしれない。彼の急進的な「監視」などジョークだ!

女性下院議員たちとカミングス下院議員に対する人種差別者呼ばわりは、トランプ自身の人種差別攻撃の果てにメディアが押した「人種差別者」の烙印に端を発している。トランプの一連のツイートは、小学生が相手をけなすときに言う「おまえ、バカじゃね?」程度の洗練さだ。しかし、その内容は小学生よりも陰湿で、人種差別をなくそうと主張する大統領のキャンペーンに継続的にダメージを与えるものでもある。

トランプはこれと同じような投稿を今年2月にも投下している。これは映画『ブラック・クランズマン』でアカデミー賞脚色賞を獲得したスパイク・リーが、授賞式で行ったスピーチにトランプが反応したものだった。そのスピーチで、リーは自分の祖先がアメリカを建国したと讃え、2020年は憎しみよりも愛を選んでくれとアメリカ国民に向かって叫んだ。当然のことだが、このスピーチにトランプの名前など一切出ず、当然トランプを人種差別者と非難することもなかった。しかし、トランプはリーのスピーチを「お前の大統領に対する人種差別攻撃だ」と大急ぎで反応した。

また、なんの根拠もなく、トランプは幾度となくバラク・オバマを人種差別者と呼んでおり、2013年に投稿したオバマ関連ツイートは、トランプが大統領選の選挙運動を始めて以来、数えきれないほど繰り返されてきた人種差別攻撃パターンの予告編とも言えるものだった。「本物の人種者別者のオバマ大統領を攻撃する人間が人種者別者と見なされるなんて、面白いと思わないか?」がそれだ。

Isnt it intetesting that anybody who attacks President Obama is considered a racist by the real racists out there! — Donald J. Trump (@realDonaldTrump) September 7, 2013
<トランプのツイート>2013年9月7日午後10時14分
本物の人種者別者のオバマ大統領を攻撃する人間が人種者別者と見なされるなんて、面白いと思わないか?

このツイートを投稿したのは、トランプがオバマ大統領に「大学の記録と申込書」と「旅券の申込書と記録」を公開したら500万ドル(約4億円)寄付すると提案してから11ヵ月ほど経っていたが、相変わらずオバマはアフリカ生まれというトランプ立案の陰謀説をゴリ押ししていた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプは2017年までこの陰謀説を信じ込んでいたという。

そんなトランプなのだから、今でもその陰謀説を信じていると我々が思っても、あながち間違いではないかもしれない。