グラミー賞の熟練プロデューサー、ケン・エンリッヒ氏が2020年を最後に引退

長年グラミー賞のエグゼクティブ・プロデューサーを務めてきたケン・エンリッヒ氏が、2020年の授賞式をもって引退する。現地時間17日に発表した。

後任として『レイト×2ショー・ウィズ・ジェームズ・コーデン』のエグゼクティヴプロデューサー、ベン・ウィンストン氏が、2021年から音楽業界最大の夜を引き継ぐ。2020年の第62回グラミー賞授賞式は、エンリッヒ氏にとって40回目の授賞式となる。

「グラミー賞が現代の最高峰の音楽賞へ成長する過程に携われたことは、私のキャリアを飾る出来事のひとつです。レコーディング・アカデミー、CBSの関係者の皆さんには、40年も私のヴィジョンにご支援、ご信頼をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです」と、エンリッヒ氏は声明を発表した。

「また、長年授賞式に携わってきた良き仲間たち、そしてもちろん、毎年授賞式のステージで創造性と才能を発揮してくださる素晴らしいアーティストの方々とご一緒できて、私は本当に幸せ者です」

まもなく退任するレコーディング・アカデミーのニール・ポートナウCEO兼会長もコメントを寄せた。「グラミー賞と音楽業界に残したケンの偉業は、みなさまご周知のとおり、数々の伝説を生んだ業績やヴィジョンに現れています。私は彼の任期のほぼ半分を共に過ごし、彼のヴィジョンや類まれな音楽の知識を目の前で目撃してまいりました。彼は片時も情熱を惜しまず、実に見事な結果を出して、人々の記憶に残るグラミー賞の名場面を送り出してきました。40年という節目を共に祝うことができ、大変光栄です」

エンリッヒ氏の授賞式采配に関しては、近年論争の的となっていた。ロードやフランク・オーシャン――グラミー賞のプロデューサーを「老いぼれ」呼ばわりした――といったアーティストらの怒りを買った他、アリアナ・グランデは、授賞式のステージで歌う楽曲の選択権を与えられなかったとしてエンリッヒ氏を非難。「クリエイティビティを奪われた」として、2019年の授賞式を辞退した。

エンリッヒ氏はローリングストーン誌とのインタビューで、グランデの主張に反論した。「周りからは止められていますが、あえて私の言い分を言わせていただきましょう。彼女が私について何を言おうと構いませんが、私が何よりひっかかったのは、私が協力的ではないという彼女の発言です。実際のところ――気になったことを、真夜中に書き出してみました。まあ、それでどうこうするわけではないんですけれども。(私が協力的でないかどうか)クリスティーナ・アギレラに聞いてみてください。私は彼女にジェームス・ブラウンの”マンズ・マンズ・ワールド”をやってくれとお願いしました」とエンリッヒ氏は語り、こう付け加えた。

「メリッサ・エスリッジにも聞いてみてください。私はガンの治療を終えたばかりの彼女を起用し、彼女はスキンヘッドでジャニス・ジョプリンを演奏してくれました。リッキー・マーティンにも聞いてみるといい。彼は一夜にしてラテン音楽革命の寵児となりました。メアリー・J・ブライジはステージで”ノー・モア・ドラマ”をやるのを死ぬほど怖がっていました。私が彼女と一緒に形にしたんです。あの時出演したH.E.R.にも聞いてみてください」


エンリッヒ氏の引退後、グラミー賞を欠席するアーティストは減る?

エンリッヒ氏が2020年に引退することで、近年授賞式を欠席するアーティストの増加傾向に歯止めをかけるという責務はウィンストン氏に託された。『レイト×2ショー』のエグゼクティブ・プロデューサーであり、「カープール・カラオケ」の共同制作者でもある彼は、ジェームズ・コーデンが司会を務めた2017年と2018年の授賞式ですでにグラミー経験済みだ。

「2021年のグラミー賞のエグゼグティブ・プロデューサーにご指名いただき、大変光栄です」とウィンストン氏は声明でこうコメントした。「この役を引き受けるにあたり、ワクワク半分、ドキドキ半分です。ですが、まずはこのような素晴らしいチャンスをくれたレコードアカデミーに心から感謝を申し上げます。そしてこの40年、見事な仕事ぶりを発揮してくれたケンに称賛を送りたいと思います」

エンリッヒ氏も最後にこう付け加えた。「エグゼグティブ・プロデューサーを引き継ぐ後任のベンには、心から健闘をお祈りいたします。演出を知り尽くした彼ならきっと、グラミー賞のレガシーを引き継ぐと共に、授賞式を新たな方向性へと導いてくれることでしょう」