ヴイエムウェア 代表取締役社長 ジョン・ロバートソン氏

ヴイエムウェアは7月17日、7月22日から始まる「テレワーク・デイズ2019」を前に、柔軟な働き方の現状と課題を考察するワークスタイル・イノベーションに関するプレスセミナーを開催した。

初めに、代表取締役社長のジョン・ロバートソン氏が同社における柔軟な働き方に向けた取り組みについて説明した。

ロバートソン氏は「当社では以前、VDI、アプリケーション管理、デバイス管理など、リモートワークを実現する製品を提供していながら、従業員が夜遅くまで働き、有給休暇の取得率が低いという状況にあった。そこで2017年、すべての社員を対象に柔軟に仕事ができる環境を提供し、生産性の向上とワークライフバランスの充実を促進させる仕組みとして、Work@Anywhereを開始した」と説明した。

Work@Anywhereの実施に伴い、社内会議を減らし、水曜日は「ノー残業デー」とした。また、マネージャーに対しては、部下の有給休暇の取得状況を把握するよう指示した。これらの施策によって、同社は変わったという。

「今では軽井沢に住みながら務めている従業員もいる」とジョンソン氏。Work@Anywhereが始まってから約3年になるが、売上は倍増しているうえ、社内のモチベーションも上がっているそうだ。

ジョンソン氏は同社が柔軟な働き方を実現することで、その有効性を国内の顧客に示していきたいと話した。

ヴイエムウェア チーフストラテジスト 本田豊氏

チーフストラテジストの本田豊氏からは、在宅勤務や外出先での業務に有用なスマートデバイス(スマートフォンとタブレット)の利用実態に関するアンケート「ビジネスにおけるモバイルの利用動向」の結果が紹介された。

同調査は2017年から行われており、今年で3回目となる。本田氏は「今回の調査の特徴は前年に比べてあまり変化がなかったこと」と述べた。

業務で最も利用しているスマートデバイスについては、「会社支給の端末」が43.7%(昨年:41.2%、一昨年40.8%)、「個人契約の端末(BYOD)」が56.1%(昨年:58.8%、一昨年58.8%)と、BYODが半数を超えた。

スマートデバイスの業務上の用途については、83.6%が「通話」と回答するなど、電話として利用している割合が高かった。第2位以降は、「メッセージングアプリ(SMSやLINEなど)」(53.6%)、「スケジュール管理」(48.7%)が続いた。一方、「OfficeなどPCでも使用するアプリケーション」をスマートデバイスで利用している割合は24.9%、「会社から支給されているモバイル用業務アプリケーション」の割合は13.1%と少数にとどまった。

  • スマートデバイスの業務上の用途 資料:ヴイエムウェア

以上のように、国内企業においては依然としてスマートデバイスの利活用が進んでいないことが明らかになった。

また、勤務時間内に自宅など社外で勤務する「テレワーク」が認められているかを聞いたところ、「はい」は24.3%(昨年:21.8%)と微増にとどまった。政府が進める「働き方改革」の9つのテーマの内、勤務先で行われている取り組みについては、「長時間労働の是正」が61.5%(昨年:55.5%)となり、2年連続して上位にあるにもかかわらず、その是正手段として「テレワーク」の推進があまり進んでいないことが判明した。

働き方改革の阻害要因に関しては、「企業文化・経営者の意識」が67.2%と最も多く、「本人の意識」(43.4%)、「業務量」(39.5%)を大きく上回った。また、「デジタル機器やサービス」は9.1%にとどまり、働き方改革の推進にはツールではなく、経営者の意識の変革と強いリーダーシップが重要であることがわかった。

  • 働き方改革を阻害する要因 資料:ヴイエムウェア

本田氏は同社の製品の働き方改革を目的とした導入事例として、ニトリを紹介した。ニトリは従業員が自宅のPCでも社内と同じ環境を利用できるよう、VDIのクラウドサービス「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」を導入したという。

本田氏は、「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azureはクラウドサービスなので、初期費用をかけることなく導入できるうえ、スケールアウトとダウンが容易に行える。そのため、コストを最適化できる」と話した。

photo_center |I@005.jpg,「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure」で働き方改革を進めるニトリ|