結婚して1年半という31歳の会社員男性。妻がエステティシャンとして働き始めたが、将来の教育費や老後資金など、いろいろと悩みは尽きないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆教育費と老後にかかる資金について教えてほしい
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、結婚して1年半という31歳の会社員男性。妻がエステティシャンとして働き始めたが、将来の教育費や老後資金など、いろいろと悩みは尽きないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
まっつんさん(仮名)
男性/会社員/31歳
関西/賃貸住宅

◇家族構成
妻/自営業/25歳

◇相談内容
結婚して1年半の夫婦です。結婚当初は共働きでしたが、妻が美容業界に興味を持ったため退職し、1年ほど専門学校に通いました。学費やその間の赤字は貯金から捻出しました。妻は今年から就職(ネイリスト兼エステティシャン)が決まりましたが、歩合給のため、自営に近いといえます。また共働きになるため、子どもをつくる前に頑張って貯金をしようと決意しております。相談内容は以下の5点です。

①食費が高いと感じています。共働きになり、現在昼食は外食。また、夫婦の休みが合わないため、デート代わりに外食することもあります。

②2人とも保険に加入していません。保険の知識もなく、このままではいけないと焦っています。私の勤め先には保険会社がグループ会社にあるため、割安で加入はできそうです。子どもは3年後くらいを希望。2人目は状況次第です。

③私の仕事が不動産業なので、株等の代わりにマンション投資を検討しております。職業柄誤った選択はしないとは思いますが、ローンを組むことを考えるとリスクでしょうか。妻が厚生年金ではないため、年金代わりにとの思いもあります。

④現在親が負担してくれている車の維持費(保険、車検、税金等)や通信費(月1万2000円)を私達で負担する必要が出てきた場合や、現在未加入の保険に加入することで、支出が膨らむことを懸念しています。

⑤ズバリ、子ども2人にかかる費用と、夫婦2人が老後にかかる費用を教えてほしいです。

多数質問があり恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします。

◇家計収支データ
相談者「まっつん」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみちについて
旅行15万円程度で他はありません。

(2)夫の退職金について
会社で退職金が月1万3000円、確定拠出年金として7000円が積み立てられている。

(3)マンション投資について
物件価格2000万円、金利が安いのでフルローンを組む予定。賃料12万円、表面利回り7.5%、月3万~4万円の収入を想定。

(4)住宅購入について
住宅については子どもが独立するまでは賃貸、独立と同時に貯金から夫婦2人用のマイホームの購入を考えている。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:大きな保障はお子さんが生まれてから
アドバイス2:将来を考えたらリスクは取れない
アドバイス3:時間軸に沿って資金を準備する

◆アドバイス1:大きな保障はお子さんが生まれてから
いろいろと心配されていますが、順を追ってアドバイスいたします。

①については現状、仕方がないと思います。お互い忙しく、奥様が仕事にまだ不慣れな部分もあれば、実際にお弁当を作る時間もないでしょう。しかも、現時点で毎月10万円貯蓄ができています。ここはあまり気にしなくてもいいと思います。

次に②ですが、保険未加入について焦っているとのこと。しかし、まだ保険の必要性は低いと考えてください。無理をして入る必要はないということです。理由はまだ夫婦とも若く、お子さんがいないこと。さらに①でも触れたように毎月貯蓄ができ、実際に貯蓄もまとまった額が手元にありますので、仮に医療費がかかってもそこから捻出できます。

それでも「何も保障がない」のは不安と感じるのであれば、共済などの割安な保険で必要最小限の死亡保障と入院保障も5000円程度を確保していれば十分でしょう。

お子さんが生まれたら死亡保障が必要になります。そのとき、持ち家の有無で死亡保障は異なりますが、父親であり世帯の収入の大半を支えているまっつんさんには、1500万~2500万円の死亡保障は確保したい。割安な定期保険(掛け捨て)か、収入保障保険でも構いません。第2子が生まれたら、また追加で死亡保障を確保してください。

◆アドバイス2:将来を考えたらリスクは取れない
③は不動産投資のご相談。物件価格2000万円、低金利ということで全額借り入れ、賃料12万円で、月額の利益3万~4万円を想定しているとのこと。仮に変動金利の0.5%、返済期間20年で借り入れると、毎月の返済が月8万8000円ほど(ボーナス月の加算なし)ですから、考えている返済プランもこれに近いものでしょう。

そして、そういった内容で「ローンを組むことはリスクでしょうか」との質問ですが、先に結論をいえば高いと考えます。

お仕事が不動産業ということで、言われるとおり、物件選びは誤らないかもしれません。ただ、将来の景気や経済の動向を読むことは専門家でも難しいのです。先の試算だと返済まで20年間。その間、確実に家賃収入を得ることができるかどうか。最初は想定どおりにいくでしょうが、数年で終わっては意味がありません。家賃が下がる前に物件を売り抜けることができる、明確な保証もありません。もっとも懸念するのは、不動産の投資額を広げてしまい、負債が増えていくこと。そうなれば、家計破綻の恐れすらあります。

もちろん、不動産投資がうまくいく可能性もあるでしょう。しかし、今後もライフイベントが数多く用意されている中、余裕資金で行うのなら話は別ですが、将来の資金づくりとなる原資をつぎ込んで行うことは、やはり無理があります。お子さんが独立後にマイホーム購入も希望されているのですから、それを数年前倒しで購入して、自分たちが住むまで人に貸すということなら、まだリスクは避けられると思います。

あるいは、奥様がネイリスト兼エステティシャンとして独立を考えているなら、そのタイミングで住宅を購入し、自宅の一部を仕事場として活用するという選択肢もあるのでは。住宅のローンが奥様の仕事の経費になる(賃料を払う等)わけですから、節税にもつながると思います。

◆アドバイス3:時間軸に沿って資金を準備する
④については、もし親御さんが出してくれているクルマの維持費と通信費が自分たちの負担になった場合、生活費のアップは月割りで2万~3万円といったところ。また、先述したように新たに保険加入したとしても、共済なら保険料は夫婦で月4000円程度。結果、毎月10万円の貯蓄が7万円前後に目減りしますが、それでも十分な貯蓄ペースです。しかも、ボーナスから185万円貯蓄できるわけですから、他の支出を削らなくとも、年間270万円の貯蓄が可能となります。現時点では何ら心配は要りません。

最後の⑤ですが、まず教育資金について。進路によってその額は大きく変わります。例えば、高校まで公立、大学を私立文系とすれば、かかる教育費(学校外教育費も含む)は900万円ほど。中学から私立となれば1300万円がひとつの目安です。お子さんが2人なら倍となります。

老後資金は、老後の生活費に対して公的年金の不足額を補うことが目的ですが、まっつんさんの場合、定年から老後としても、30年も先の話。不確定要素が多く、いくら備えれば足りるかどうかは明解にはできません。

それよりも、そもそも時間軸がズレているのです。老後よりもお子さんが生まれ、それにかかる教育資金や住宅資金の準備が、今は優先されるはず。奥様が仕事に早く慣れ、独立までを考えることも、同様に老後より優先されるべきものでしょう。つまり、老後や公的年金について必要以上に不安にならず、今、貯めることができる範囲で確実に貯蓄を増やしていく。それが結果的に今できる、もっとも有効な老後対策になるのです。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

文=あるじゃん 編集部