車の最新技術[2019.07.10 UP]


新型スープラ開発の舞台裏をチーフエンジニアに聞く【ニュースキャッチアップ】BMWとの協業でトヨタは何を目指し、何を得たのか

トヨタ スープラの解剖イメージ

文●ユニット・コンパス 写真●トヨタ、ユニット・コンパス
※ナンバープレートは一部、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグー本誌 2019年7月掲載の内容です)


トヨタにとって久しぶりのスポーツカーとなる新型スープラ。BMWとの共同開発ということでも話題となった。この新型について、開発を指揮したチーフエンジニアの多田哲哉氏をインタビュー。その舞台裏を聞いた。


簡単には進まなかったBMWとのコラボ開発


 新型スープラはBMWとの共同開発で、ハードウェアの多くを共用しているというのはご存じのとおり。しかし、だからこそ疑問なのが、なぜそのような手法を取ったのか。そして、BMW Z4との違いはあるのかということ。今回、スープラの試乗会にて、チーフエンジニアの多田哲哉氏に話を伺うことができた。
 「スープラのアイデンティティである直6エンジンとFRレイアウト、これをトヨタだけで実現させることは現実的に難しかった。そこで2012年からBMWと共同開発について議論を重ねたのですが、かなり時間がかかりました。コミュニケーションに時間がかかったのと、お互いの目的が合致しなかったからです。しかし、『ポルシェケイマン、ボクスターに負けないFRスポーツカーを作りたい』という想いを伝えたときに、ようやくプロジェクトが大きく動き出しました。スポーツカーの性能はプラットフォームで大方決まります。ホイールベースをトレッドで割った値と重心の高さ、これにこだわり、実証のためのテストカーも作りました。そこからの作業は2チームに別れて独自に行いました。セッティングに関してもスープラは独自です。結果的にトヨタだけでも、BMWだけでもなし得なかったゾーンに到達できたと思います」。


打倒ポルシェを実現するべくこだわり抜いた「1.55」

スープラのフロントビュー


スープラのリアビュー



 ロングノーズショートデッキのスタイルを受け継ぎながら、筋肉質な面構成を採用。ホイールベースを短くするために2シーターに割り切った。


スープラのホイールベースイメージ

 ホイールベースを前後トレッドの平均値で割った値は、運動性能の資質として重要だ。スープラでは1.55で、一般的に黄金比と呼ばれる1.6よりも小さく、敏捷性に振った値。


スープラとメカニズムを共有したBMW Z4ソフトトップを備えるオープン2シーターとして登場した新型BMW Z4。メカニズムをスープラと共有するものの、ご覧のとおりデザイン的にはまったくの別物。


スープラの走行シーン走らせても両車の性格は異なる。速さと快適性を備えるZ4に対して、スープラはよりスポーツカーらしいダイレクトな感触。レーシングカーライクだ。


スープラのエンジン3L直列6気筒ターボに加えて2L直列4気筒ターボも用意。こちらは前後重量配分のバランスがよく、走らせても魅力的であった。


スープラのインテリアインテリアも水平基調のダッシュボードデザインをはじめてとして違いは多い。一方、ウインカーレバーは左側であった。コストを優先しての選択だという。


「直6+FR」を受け継ぐスープラ歴代モデル
初代(セリカXX)スープラ初代スープラは1978年に登場。日本仕様は「セリカXX」であったが、北米仕様では「スープラ」の命名を採用。2L直列6気筒エンジンは123馬力を発生させた。


2代目(セリカXX)スープラ1981年に登場した2代目。リトラクタブルヘッドライトの採用によってスポーティさが強調された。最強モデルは2.8L直列6気筒エンジン搭載で145馬力。


3代目スープラこの3代目から日本名も「スープラ」となった。インタークーラー付きターボの採用によって3L直列6気筒エンジンの最高出力は230馬力に到達した。


4代目スープラ全幅1810mmにまで拡大したワイドボディが迫力の4代目。ゲトラグ社製6速MTの採用や0.30のCd値など世界に通用する内容が評価された。


常識を超えたコラボが新型スープラを誕生させた

 スポーツカーはビジネス的に成立しにくいジャンル。しかし、ブランドを象徴する存在として、なにより走らせて楽しいクルマを世に送り出したい気持ちから実現にこぎつけたという。国を超えたBMWとのコラボも、トヨタにとって貴重な経験になったという。86ともども今後が楽しみなスポーツカーだ。



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