2014年の俳優デビューから5年。昨年10月期に放送されたドラマ『今日から俺は!!』が大きな話題を集め、第42回日本アカデミー賞では新人俳優賞と話題賞 俳優部門を受賞(『コーヒーが冷めないうちに』)するなど、高い支持と評価を得ている伊藤健太郎。

なかでも2017年にNHK総合で放送されたドラマ『アシガール』は、戦国時代の若君を演じて「凛々しい!」と大好評を博し、俳優・伊藤健太郎の存在を一気に知らしめる作品となった。あまりの反響の大きさに、翌年のクリスマスイブにはSP版も放送された人気作『アシガール』が、時代劇専門チャンネルにて6月19日からCS初放送されている(毎週水曜22:00~/毎週金曜24:00~)。

黒島結菜演じる現代の女子高生・速川唯(唯之助)が、タイムスリップした戦国時代で恋に落ちる、戦国大名・羽木家の若君・羽木九八郎忠清を演じた伊藤に、『アシガール』の魅力を振り返ってもらった。

  • 伊藤健太郎

    『アシガール』で羽木九八郎忠清を演じた伊藤健太郎

■初めての時代劇は「楽しかった」

――2017年に放送された作品が、今度は時代劇専門チャンネルにてCS初放送されています。愛される作品になりましたね。

僕にとって『アシガール』はものすごく大事な作品ですし、この作品を通して僕を知ってくださった方がたくさんいます。なのでまたこうした形で放送していただけるのは、本当に嬉しいです。以前観た方も、まだ観ていない方にも観ていただきたいです。

――原作は少女コミックです。

役が決まる前に「大丈夫ですか?」と聞かれたんです。「この若君は原作の方からの支持がものすごく厚いキャラクターなので、生半可な気持ちではできない役です。ちゃんと成長してくれますか?」と。結構なプレッシャーを与えられました(苦笑)。でも絶対にやりたいと思ったので、「大丈夫です。やります」とお答えしました。忠清は作品のなかで成長していきますが、僕も忠清と一緒に成長していけたかなと思っています。

――原作の忠清には寄せようと意識しましたか? それともドラマの忠清を作り上げようと?

原作は意識していません。読んだうえで、忠清としての根本は同じで、実写化だからこそのまた違った忠清の姿を見せられなければ、実写化する意味がないと思ったので、台本の忠清を形にしようと力を入れました。

――初の時代劇ですね。

『アシガール』を通じて初めて時代劇にがっつり触れました。座り方も立ち方も、今とは全て違っていて、それぞれに意味があって、そこからまず面白いです。僕ら世代やもっと若い方たちだと時代劇は観ていなかったりするけれど、『アシガール』なら物語的にとても観やすいと思います。僕自身も、初めて挑戦する時代劇として、とても入りやすく、もっともっと時代劇をやりたいと感じました。殺陣やアクションも好きだし、乗馬も初めてでしたが、楽しかったです。

――凛々しい若君(忠清)が本当にお似合いでした。唯ちゃんとの恋愛スイッチが入っていく瞬間は、どう気持ちを作っていきましたか?

忠清から唯に対しての思いは、“守りたい”が一番大きい。それは唯から忠清へも同じです。愛おしさとか、ぎゅっとしたら壊れてしまいそうな体を守らなきゃという思いを根っこで持っていて、そのうえで好きという気持ちや、好きだけど離れなければいけないという場面も出てくる。とにかく、守りたいという気持ちを第一にしていました。

――唯ちゃんは、こちらが気持ちをぶつければ、同じかそれ以上に「私が守りたい」と言ってくる女の子ですね。

すごいと思います。唯ちゃんのような女性がいたら、好きになっちゃいますよね。あんなにも自分への思いをまっすぐに伝えてくれて。男として僕も惹かれます。それに、忠清は正しい考え方を持っているのだけれど、でも融通が利かない部分があって、そこを唯ちゃんがぶち壊してくれたりもするんです。一見、感情を表に出さない忠清と、まっすぐにぶつけてくる唯ちゃんは、真逆のようだけれど、根っこの部分は同じものを持っているし、ベストカップルだと思います。

――川栄李奈さんが演じた阿湖姫もステキな女性ですね。

そう! 僕、阿湖姫が大好きなんです。本当に良い子ですよね。でも前にもこういうことを言ったら、「なんだよ、あいつ」みたいに言われちゃったんです(苦笑)。でも亜湖姫は、本当は自分が忠清と結婚するはずだったのに、唯がいなくなったとき、「探してあげてください」って頭を下げるんです。そのとき、もう、「あ、この子好きだな」ってなっちゃいました(笑)。だって自分の気持ちを押し殺して、別の子のところへ行ってあげてくださいって言うんですよ。その強さに打たれましたね。でももちろん忠清としてではなく、伊藤健太郎としてです。