メルセデス・ベンツ日本は7月4日、日本市場においてメルセデス初の電気自動車(EV)となる「EQC 400 4MATIC」を発売した。また、同車の発売を記念した特別仕様車「EQC Edition 1886」もラインアップ。こちらは台数限定生産となっており、日本向けには55台が用意された。1,000万円を超えるメルセデスの高級EVが、いよいよ日本に登場する。

  • メルセデス・ベンツの「EQC」

    日本で発売となった「EQC」(画像はすべて欧州仕様、提供:メルセデス・ベンツ)

価格は「EQC 400 4MATIC」が1,080万円、「EQC Edition 1886」が1,200万円。納車時期はそれぞれ、2020年春と2019年10月以降を予定する。なお、「EQC Edition 1886」については、7月18日11時より、「Mercedes-Benz Online Store」(メルセデス・ベンツ オンラインストア)にて先着順でWeb商談の予約を受け付ける。

メルセデスのデザイン哲学をEVで表現

メルセデス・ベンツが電動車に特化した新ブランドとして立ち上げた「EQ」。今回の「EQC」は、EQブランドが送り出す最初の市販車だ。その姿からは、EV固有の造形が随所に確認できる。

大型ブラックパネルが目を引くフロントマスクには、マルチビームLEDヘッドライトを採用。ブラックパネルとヘッドライトを結びつけるように、上部にデイタイムドライビングライト光ファイバーのチューブを配し、EQ独自の世界観を際立たせている。

  • 「EQC」のフロントマスク

    「EQC」のフロントマスク

加えて、長く伸びたルーフラインと、リアに向かって緩やかに下降するウィンドウグラフィック(サイドガラス)を取り入れたサイドヴィジュアルからは、「EQC」が先進的なクロスオーバーSUVであることを強く主張しているのが見て取れる。

  • 「EQC」のサイドビュー

    「EQC」のサイドビュー

  • 「EQC」のリアビュー。低い位置に設けられたルーフスポイラーは、優れたエアロダイナミクスを実現するとともに、ワイドさの強調にも寄与する(画像提供:メルセデス・ベンツ)

スタイリッシュなインテリアにも注目だ。ダッシュボードの中央部から運転席までを大きく切り取ったようなデザインを採用するコックピットには、「Eクラス」のセダンから導入が始まったデジタルコックピットを装備。2つの10.25インチディスプレイを1枚のガラスカバーで融合させ、ワイドディスプレイがまるで宙に浮かんでいるように配置した。このあたり、近未来感を色濃く感じさせる。

  • 「EQC」のコックピット

    都会的で洗練されたイメージのコックピット

新開発の電動パワートレインは、前後のアクスル(車軸)に電気のみを動力とするモーターを1つずつ搭載する。この2つのモーターは、バッテリーへ電力を供給するオルタネーターとしての役割も果たす。これにより、回生ブレーキによる減速効果が最大限に高まるそうだ。ちなみに、カタログスペックの総合最大出力は408ps(300kW)で、最大トルクは765Nm。搭載する高電圧リチウムイオンバッテリーの容量は80kWhで、航続距離は400キロ(欧州仕様車の試験結果)となっている。

安全運転支援システム「インテリジェントドライブ」はSクラスと同等の機能を持つ。搭載するのは、メルセデス・ベンツで最新のステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーだ。これらの装置で周囲の交通情報をより的確に捉え、高速道路走行時や渋滞時など、さまざまな場面でドライバーをサポートし、運転疲労を軽減する。

  • メルセデス・ベンツの「EQC」

    「EQC」は最新のステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーで周囲の道路情報を捕捉する

特別仕様車「EQC Edition 1886」は「EQC 400 4MATIC」をベースとし、専用装備を身にまとった1台だ。エクステリアにはブラックルーバーのラジエーターグリルや専用サイドエンブレム、白のアクセントを効かせた20インチ10スポークアルミホイールなどを採用。インテリアには、シルバーを基調とした専用のマトリックスインテリアトリムが配される。特別感と近未来感が、より強調されている感じだ。

  • 「EQC」限定モデルのインテリア

    「EQC Edition 1886」のシートは、外周部にインディゴブルーのレザーARTICO(人工皮革)、内側のバックレスト部分に黒い起毛素材のDINAMICAを採用。バックレスト中央には“1886”の刺繍が施される

メルセデス・ベンツが放つEVの嚆矢「EQC」。1,000万円を超える高級EVは今後、市場でどのように受け入れられるのだろうか。クルマの未来を占う意味でも、その動向に注目したい。