台TrendForceは、半導体ファブレス企業の2019年第1四半期ランキングトップ10を発表した。これによると、6月末のG20の開催に際し開かれた米中首脳会談で両国間の貿易戦争の停戦が合意されたが、貿易戦争の激化が続いた第1四半期は、その影響を多くの企業が受ける結果となったという。

TrendForceシニアアナリストであるCY Yao氏は、「2018年のファブレス企業の業績は好調であったが、2019年第1四半期は米中貿易戦争ならびに中国市場全体の減速により、世界経済全体が保守的になったこともあり、多くのファブレス企業が業績を伸ばすことができなかった」と市場の動向を説明。中でもトップ5は、台MediaTekのみがプラス成長を達成した以外、米国系の4社(Broadcom、Qualcomm、NVIDIA、AMD)のいずれもが業績を落とす結果となった。

中でもNVIDIAはゲーム用グラフィックカードの在庫調整が不十分であったこともあり、前年同期比24.4%減と大きく売り上げを減少された。中でもゲーム用グラフィックカード部門の収益は、同40.9%減と同社の減速の主要因となったほか、成長を牽引してきたデータセンター市場も、ハイパースケールデータセンターを中心にGPUの調達を減らしており、この3年間で初めてのマイナス成長を記録したという。このマイナスの余波は大きく、第2四半期の同社も業績も同20%減となるとTrendForceでは予測している。

また、ファブレストップのBroadcomは、米国政府がHuaweiをEntity Listに記載するという米中貿易戦争の影響を諸に受ける結果となり、同10.5%減というマイナス成長を記録した。ただし、同社はCA Technologiesを買収しており、このCA分の収益増が同社全体の業績を支える可能性があるという。

なお、Yao氏によると、「2019年通年のファブレス企業の業績は、米中間の動向とスマートフォンを中心とする最終セット製品市場の成長率の鈍化という逆風にさらされ続けることになる」としている。また、現在、G20の際に開かれた米中首脳会談を経て、両国は停戦状態にあるが、今後、さらなる解決が進み、市場の不安が取り除かれなければ、下期もファブレス企業の業績に影響を及ぼし続けることが懸念されるともしている。

  • TrendForce

    2019年第1四半期における半導体ファブレス・IC設計企業の売上高ランキングトップ10 (出所:TrendForce)