【漢字トリビア】「奥」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「奥行」「奥の手」の「奥」。「奥義」の「奥(オウ)」とも読む漢字です。



「奥」という字のもとになっている古い字体を見ると、
建物の屋根を表す「うかんむり」の中に、
「米」という字の上にカタカナの「ノ」を添えた文字を書きます。
これは「色彩」の「彩」の左側。
さらにその下に「大きい」という字が書かれています。
この「米」と「ノ」の部分を、
白川文字学でおなじみの白川静氏は獣の手のひらの形に見立てています。
縦・横・斜めに交差する線は、獣の手のひらに刻まれたしわや筋。
その下に書かれた「大」の字は、人間の左右の手を表しています。
そこから「奥」という漢字は、獣の手のひらの肉を供えた場所、
部屋の奥深くにしつらえた祭壇を示し、
「おく、ふかい」という意味をもつ漢字になったのです。

「奥」という字のもとになっている古い字体(「奧」)を見ると、
建物の屋根を表す「うかんむり」の中に、
「米」という字の上にカタカナの「ノ」を添えた文字を書きます。
これは「色彩」の「彩」の左側。
さらにその下に「大きい」という字が書かれています。
この「米」と「ノ」の部分を、
白川文字学でおなじみの白川静氏は獣の手のひらの形に見立てています。
縦・横・斜めに交差する線は、獣の手のひらに刻まれたしわや筋。
その下に書かれた「大」の字は、人間の左右の手を表しています。
そこから「奥」という漢字は、獣の手のひらの肉を供えた場所、
部屋の奥深くにしつらえた祭壇を示し、
「おく、ふかい」という意味をもつ漢字になったのです。
そこから「おく・ふかい」「知り難い」という意味や、神をまつる場所、
転じて「あるじ」や「高貴な人の妻・夫人」を示すようになりました。

ではここで、もう一度「奥」という字を感じてみてください。

ギリシア神話に、こんな話があります。
ある日、オリンポスの山に住む神々が会議を開きました。
議題は、
「幸せになる秘訣をどこに隠したら、
人間がそれを見つけたときに、最も感謝するだろうか」ということ。
「高い山の上」「地中深く」「海の底」。
さまざまな意見が出る中で、さらに別の神が提案します。
「人間の心の奥深くに隠すのが一番ではないか」・・・。
テクノロジーがどんなに進化したとしても、
人の心の奥深くまでは、誰にも侵すことはできないはず。
神々はそう予測して、他人の指図も監視も及ばない聖域に、
私たちが各々幸せになる秘訣を隠すことにしたようです。
その計らいに感謝しながら、
自らの心の奥深くに向かって、聞いてみることにしましょう。
私は今、幸せなのかしら。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら・・・
ほら、今日一日が違って見えるはず。

* 参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
     『自分を磨く方法』(アレクサンダー・ロックハート 著・弓場隆 訳)

7月6日(土)の放送では「楠」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20~8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/