米サイエントロジー教会、虐待および人身売買で訴えられる

現地時間17日、米サイエントロジー教会の元信者が教会内で暴行、人身売買、強制労働があったとして、ロサンゼルス郡高位裁判所に提訴した。教会と指導者のデビッド・ミスキャベッジ氏他25名の教会関係者を相手に、損害賠償および損賠補償、さらに未払い賃金の回収を求めている。

ジェーン・ドゥ(身元不明者に便宜的に付けられる名前)と名乗る原告の女性は、子物心ついたころからサイエントロジー教会の信者で、15歳の時にミスキャベッジ氏の「侍女」に任命された。訴状によると、原告は幼少時代に「牛攻め」を受けさせられた。これは教会内で行われていた慣習で、信者らは暴力的または攻撃的な言葉を耳にしても素知らぬふりをするよう指示された。その結果原告は、成人信者から言葉の暴力や卑猥な言葉を浴びせられたという。

訴状によると、原告はのちにカリフォルニア州サン・ジャシントにある教会のゴールド・ベース周辺で運営されていたシー・オーガニゼーション、通称シー・オーグに参加。のちに除名された後、「穴」に入るよう指示されたと主張している。「穴」とは、サイエントロジーの基本教義に違反した信者用の囚人キャンプまたは隔離センターのことを指す。訴えによると、原告が「穴」に送られたのはひとえに、彼女がミスキャベッジ氏の傍にいたことで、同氏の結婚生活の問題を知りすぎたせいだという。ミスキャベッジ氏の妻シェリー夫人は2007年以来、公共の場に姿を見せていない。

さらに訴状によれば、原告は1年間「穴」の中で暮らした後、ロサンゼルスへ引っ越すよう命じられ、教会の広報として働いていたという。結局彼女は2016年末に逃亡した。その後彼女は女優のレア・レミニ氏の元で働いた。彼女も元信者で、脱会した後は自作のドキュメンタリー・シリーズ『レア・レミニ~私は元サイエントロジー信者~』で積極的に教会を批判している。訴状によると、原告が番組に出演した後サイエントロジー教会は一斉に彼女への中傷攻撃をしかけ、専用のWEBサイトを立ち上げて、彼女の信用を傷つけて評判に泥を塗っていた時期もあったという。

「これら出版物は、ジェーン・ドゥ氏の私生活および仕事のあらゆる側面で彼女を苦しめ、威嚇し、辱め、屈辱を与え、攻撃し、警告する目的で、被告らが広めた」と、訴状には書かれている。


1952年、SF作家のL・ロン・ハバード氏が創設したサイエントロジー教会は、精神医学に反対の立場を表明したり、教会外部からの批判には裁判で徹底的に争うなど、論議を呼ぶ教義と修行で知られている。またトム・クルーズやジョン・トラボルタなど、多くのA級ハリウッドスターらと造詣が深いことでも有名だ。

サイエントロジー教会はずいぶん前から虐待疑惑をかけられてきた。元信者らが指導者から厳しい肉体労働や陰湿ないじめを受けたと主張しているが、MeToo運動時代に教会に対して説明責任を求めたのはこの訴訟が初めて。また今回を皮切りに、教会に対するさらなる訴訟が控えていると、原告弁護団の一人マーシー・ハミルトン氏はハフィントンポストに語った。

「まずカトリック教会の裁判を通して、次にMeToo時代の発展を通して我々が学んだことは、裁判で説明責任を求められた団体は必ず最後には過ちを正すよう強いられるということです」とハミルトン氏。「名乗り出て罪を認めるだけでは不十分です。彼らに法の裁きを受けさせなくては」

ローリングストーン誌に宛てた声明の中で、サイエントロジー教会は訴訟に関してこう述べている。「被告全員に関して、訴訟は根も葉もない主張以上の何ものでもありません……我々は訴訟が頓挫するだろうと確信しています。連邦裁判所はすでに、サイエントロジー教会の宗教組織としての活動が任意のものであり、憲法修正第1条で保護されていると判断しています。さらに言うなら、(原告は)入信中自由に出入りし、世界を旅して回り、快適な環境で生活していたことが証拠から明らかになるでしょう」