「春やきぬらん」

杉本亜未の短編集「春やきぬらん」が、本日6月24日に発売された。KADOKAWAによる傑作復刊企画「名作、再燃」の一環だ。

表題作「春やきぬらん」は画学生の筒井、文士志望の外語書生・広沢が下宿で同室となったことから始まる物語。展覧会で描く絵のモチーフを探していた筒井は、広沢にモデルをお願いする。しかし絵を描き進める最中に広沢の書いた小説が発禁処分となり、一緒に本を作っていた仲間たちも恐れをなして離れていき、彼は自分の掲げた理想に絶望する。落ち込む広沢と、励ます中で彼への思いが強くなっていく筒井という2人の関係を描く。

そのほか短編集にはJUNE(サン出版)で発表された「枯野行」「For my life」や、デビュー作のSF時代コメディ「タイムマシンにお願い」、高杉晋作を愛した女の視点で幕末を描く「夕凪」といった作品を収録。竹宮惠子による解説と、杉本によるあとがき「きけ!! 本能のよぶ声」も掲載されている。