結婚したばかりの25歳、男性会社員。結婚式費用、住宅購入、教育費、老後資金……。これからライフイベントが目白押しにもかかわらず、なかなか貯蓄が増えず将来を考えると不安を感じるといいます。そんなお悩みにファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆思ったほど貯蓄が増えず、将来が不安です
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。相談者は、結婚したばかりの25歳、男性会社員。結婚式費用、住宅購入、教育費、老後資金……。これからライフイベントが目白押しにもかかわらず、なかなか貯蓄が増えず将来を考えると不安を感じるといいます。そんなお悩みにファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
テルスタッフさん(仮名)
男性/会社員/25歳
九州/借家

◇家族構成
妻(24歳)、犬(小型犬)

◇相談内容 
貯金が思ったよりもできず、今後のライフプランを考えると非常に不安です。最近結婚しましたが、それまで妻は貯金ができていなかったため、今の貯金額は僕が働き始めて2年間で貯蓄した金額です。

家計管理としては、現状は別々になります。住宅費、光熱費関連は夫、ペット関連費用、夕食代、日用品は妻が支払いをしています。それ以外の昼食費や通信費は各々が支払いをしています。最近犬を飼い始め、光熱費や雑費などがかさんでしまっています。犬の保険以外は入っていませんが、今後入るべきでしょうか。

子どもができるまでは(将来的には2人希望)夫婦2人で年間200万円の貯蓄を目指し、35歳で5000万円の家(都内)の購入を検討しています。転勤で地方に来ているため、ここで家を購入するつもりはありません。この先、結婚式、住宅購入、教育費などライフイベントが目白押しという状況を不安に思っていますが、このプランは可能でしょうか。

◇家計収支データ
相談者「テルスタッフ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)家族について
妻も九州で会社員として働いています。私が転勤になりそうな地域には妻の会社も支店があるため、今後私が転勤となった場合には場所を移して働くことになるかと思います。3~5年の間には転勤になる可能性が高いですが、来年転勤ということもあり得ます。

(2)住宅について
住宅手当があり、地方の場合は、既婚者で3万3000円、首都圏の場合には4万円以上の補助が出ます。35歳までに東京に戻った場合は賃貸で暮らし、35歳になってから住宅購入を考えていますが、それ以前に買うメリットがあれば検討したいと思っています。その辺も教えて頂きたいです。

(3)食費について
昼食については毎日外食になります。営業のため客先に行くことが多く、弁当を持っていくことが難しい状況です。妻は500円以内でコンビニで買うことが多いようです。夜については基本的には自炊です。ただし土日やお互いに帰りが遅い場合には外食もあります。平日の外食の頻度は週1くらいかと思います。

(4)雑費について
・日用品:5000円
・ペット費用:1万5000円(保険料、トリミング代、しつけ教室等)
・その他急な出費

(5)ボーナスの主な使い道
・貯金:80万円(夫50万円、妻30万円)
・旅行費やイベント費への充当(ライブなど):10万円
・家電製品関連購入:5万円

(6)投資120万円の内訳について
・持ち株会:15万円
・貯蓄性の保険:25万円
・つみたてNISA等の投資信託:80万円(商品はひふみプラス)

(7)住宅購入以外に今後予定している大きなライフイベント
・結婚式などの費用
・子ども2人(希望)の教育費など:妻、夫ともに中学から私立だったため、私立を希望
・子どもができたら車の購入:買い換えるつもりはないため、いい車を長く使うことを考えている
・老後資金

(8)今後の収入について
退職金については、夫は1500万円程度。妻はなし。夫の給料はある程度まで1年で1万円ほど昇給。妻の給料は基本的に変わらず。

◇ファイナンシャル・プランナー深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:5000万円の住宅購入は無理ではないが、家計は厳しくなる
アドバイス2:ライフイベントにかかる費用を具体的に考えてみよう
アドバイス3:不確定な要素が多いので、当面は全力で貯めつつ臨機応変に対応

◆アドバイス1:5000万円の住宅購入は無理ではないが、家計は厳しくなる
10年後の35歳時に5000万円の住宅を購入すると、家計はどのような状況になるかを試算してみましょう。

毎年200万円貯めるとのことですから10年で2000万円、いまある資産と合わせると2350万円になります。このうち1500万円を頭金、350万円を諸費用に充て、500万円は残します。頭金が1500万円ですから、住宅ローンの借入額は3500万円。金利は少し高めの2%として計算すると借入期間が25年(60歳時に完済)なら約14万8000円、30年(65歳時に完済)なら約12万9000円。借入期間が長めの30年でも、住居費は現在よりも5万円ほど高くなります。さらに住宅を所有すると固定資産税がかかりますし、マンションならば管理費や修繕積立金も必要です。

家族のカタチが現状のままならば昇給などで貯蓄額を確保することも可能かもしれませんが、子どもが生まれたらどうでしょう? 妻が産休や育休の期間は収入がダウンしますし、その後も以前のような勤務が続けられるとは限りません。また、家族が増えれば生活費も増えます。児童手当は給付されますが、保育料はそれ以上にかかります。となると、私の経験では毎月の貯蓄は2~3万円、ボーナスをくわえても年間100万円貯めるのが精いっぱいではないでしょうか。

◆アドバイス2:ライフイベントにかかる費用を具体的に考えてみよう
予定しているライフイベントそれぞれについて、目安となる費用を見ていきます。

まずは、結婚式などの費用。『ゼクシィ結婚トレンド調査2018 首都圏』によると挙式・披露宴・披露パーティ総額の平均は372.4万円、新婚旅行は64.6万円です。挙式・披露宴費用はかけ方次第ですし、親からの援助やご祝儀もあるでしょうから、この金額はあくまで目安と考えてください。

次は子どもの教育費。中学から私立を希望とのことですので、中学校は400万円、高校は310万円、大学は450万円とすると1160万円、2人ならば2320万円となります。車はいい車を長くとのことですので、1回の購入費用を300万円と見込みます。車の場合は長くといっても古くなると税金が高くなったり、ランニングコストがかさむようになるので、10年程度で買い替えは必要でしょうから、300万円×3回程度は考えた方がいいかもしれません。

これに対して、35歳の住宅購入以降、定年までに貯められるお金は100万円×25年プラスαと予想されます。となると主なライフイベントを粗々で計算しただけでも、想定していることを実現するのは難しそうなことがわかります。今後の収入や貯められる額によっても変わってきますが、最低でも購入する住宅の予算は500万円以上下げる、子どもの進路は中学校は公立とし高校から私立にする、車を保有するのは使用頻度が高い子どもが小さいときだけで、その後はカーシェアなどを利用する……といった大胆な支出削減をすればするほど、老後資金が見えてきます。

◆アドバイス3:役に立つときが不確定な要素が多いので、当面は全力で貯めつつ臨機応変に対応
厳しい見通しをお伝えしましたが、結婚したばかりのこの時期にマネープランを考えようという心がけは立派ですし、早い時期から貯蓄の必要に気付くのは素晴らしいことです。しかし、いまの時点では勤務地や家族のカタチ、妻の働き方など不確定な要素が多く、将来について細かくプランを立てるのはあまり現実的ではありません。ただしいえるのは、子どもが生まれる前の共働き時期は人生最大の貯めどき。このときに全力で貯蓄をしておけば、きっと将来、役に立つときが来ます。

では、現在の家計の見直しをしてみましょう。まず気になるのは通信費。格安スマホにすれば3分の1程度にはできるはずです。通信費は一度見直せば効果が続くので、家計費削減への貢献が大きい費目です。ぜひ検討してみてください。保険に加入していないようですが、まだ貯蓄が少ないので医療保険だけは加入しておいた方がいいでしょう。

いまなら単体の医療保険、または共済で充分。子どもが生まれたら、収入比率に応じて夫婦とも死亡保険にも加入しましょう。食費は金額よりも、妻の昼食を「500円以内でコンビニで買うことが多い」という方が気になります。これから貯蓄を増やしていくうえでも健康は第一です。金額だけでなく内容についても、一度夫婦で見直してはどうでしょう。

◆相談者「テルスタッフ」さんから寄せられた感想
現状では見通しが厳しそうということも理解できました。ただご指摘頂いたとおり不確定要素も多いため、健康を大事にしつつ、スマホの見直し等で更なる貯蓄ができるように考えていこうと思います。この度はありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:鈴木弥生

文=あるじゃん 編集部