皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、本人いわく「ズボラ」な性格のため、家計簿をまったくつけてこなかったという41歳の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします

◆今後貯蓄に励むにあたり、家計の改善点はありますか?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、本人いわく「ズボラ」な性格のため、家計簿をまったくつけてこなかったという41歳の主婦の方。家計やお金の流れが把握できていないものの、教育資金や老後資金の準備に向けてこれから頑張っていきたいと考えています。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
syさん(仮名)
女性/パート/41歳
東京都/持ち家・マンション

◇家族構成
夫(会社員/41歳)、子ども(7歳)

◇相談内容
ズボラな性格のためこれまで家計簿をつけておらず、家計をあまり把握していませんでした。子供の教育資金と老後資金の確保のため、心を改めて貯蓄を増やしたいと思っています。特に負担の大きい保険を見直したいと考えています。支出全般の改善点のアドバイスよろしくお願いします。

◇家計収支データ
相談者「sy」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い途について
レジャー・旅行費8万円、固定資産税12万円

(2)貯蓄について
普通預金に毎月12万~14万円預金としたのは、1年前と比較して残高が150万円ほど増えているため。意識的に貯めているわけではない。

(3)加入保険について
[夫]
・医療保険(終身保障終身払い、入院120日型1万円、他に手術給付)=毎月の保険料4720円
・がん保険(終身保障終身払い、入院1万円、診断給付金100万円)=毎月の保険料3401円
・終身保険(60歳払込終了、死亡保障700万円)=毎月の保険料1万4707円
・収入保障保険(保険期間59歳まで、給付金月額8万円)=毎月の保険料3128円

[妻]
・医療保険(保険期間43歳まで、他に手術給付)=毎月の保険料3215円
・がん保険(保険期間43歳まで、入院1万円、診断給付金100万円)=毎月の保険料1602円
・終身保険(49歳払込終了、死亡保障500万円、2027年で解約返戻金307万円)=毎月の保険料1万5795円※学資保険がわり

(4)住宅ローンについて
ローン残高 970万円
金利 1.1%

(5)夫の勤務について
定年65歳。その後、嘱託制度あり。退職金額は不明。

(7)お子さんの進路について
現状、高校までは公立希望だが、本人の希望または資金的に余裕ができれば、中学もしくは高校から私立も検討したいとのこと。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 家計簿は不安解消にもつながる
アドバイス2 老後資金も十分用意できると考えていい
アドバイス3 家族で「楽しむ」ためにもっと支出してもいい

◆アドバイス1 家計簿をつければ不安解消につながる
ご自身は「家計はあまり把握していません」と言われていますが、貯蓄率も高く、無駄遣いもありません。無意識かもしれませんが、支出全体がよく抑えられているためです。家計管理は現状のままで、何ら問題ないと思います。

家計簿は、つけることでさらに無駄がなくなるかもしれません。結果、貯蓄ペースも上がるでしょう。また、お金の流れ、キャッシュフローが見えることで、必要以上に不安にならずに済むというメリットもあります。今からでも遅くないので、始めてみてください。

ともあれ、現状で試算をしてみましょう。

貯蓄は、定期預金に毎月8万円積み立てられていて、それとは別に普通預金も1年前と比較して150万円ほど残高が増えているとのこと。今後もその貯蓄ペースが維持されれば、お子さんが高校卒業となるまでの11年間で、できる貯蓄は約2700万円。他に、学資保険がわりに加入している終身保険の解約返戻金、さらに今ある貯蓄も合算すれば、総貯蓄額はおよそ3500万円となります。

教育費は進路によって大きく異なりますが、仮に中学から私立に通うとして、かかる費用は余裕を見て総額1500万円とすれば、手元には2000万円が残ります。つまり、教育資金の備えは十分足りるということになります。

◆アドバイス2 老後資金も十分用意できると考えていい
では、老後資金はどうでしょう。

お子さんが高校卒業時には、ご夫婦とも52歳ぐらいで、ちょうど住宅ローンの完済も同じ時期なので、浮いた住宅コストを全額貯蓄に回すことができれば、さらに年間90万円貯蓄額が増えます。途中、クルマの買い替え等の大きな支出を考慮しても、60歳の時点で3000万円ほどが貯蓄として残り、これに退職金を加算した額が用意できる老後資金ということになります。また、ご主人の定年が65歳ということなので、実際に老後はそこから。syさんが60歳でパートを辞めても、そこからの5年間でさらに1200万円ほど貯蓄できる(65歳以降もご主人の収入が変わらない場合)のです。

もちろん、これで「老後資金が足りる」と断言はできません。しかし、老後の基本的な生活費が現在と同水準なら、車検費用や固定資産税等を月割りで加算しても、1カ月で17万~18万円といったところ。公的年金の受給額は不明ですが、この生活費なら年金だけで足りる可能性もあります。将来的にはマンションのリフォームや医療費、介護費用が発生するかもしれません。長生きリスクも考えられます。しかし、それらが一般的なコストで収まるなら、老後資金で困ることはないと考えていいでしょう。

◆アドバイス3 家族で「楽しむ」ためにもっと支出してもいい
そのことを踏まえてあえて言うなら、もう少し「楽しみ」の部分で支出をしてもいいのでは。もちろん、お金を掛けることだけが楽しむ方法ではありませんが、例えば、お子さんと旅行に行ける機会はあとどのくらいあるでしょうか。もし中学受験されるなら、さらに時間は限られます。資金的余裕はあるのですから、syさんの世帯にとって家族で楽しむことはとても有意義なお金の使い方だと思います。

最後に保険について。ご主人の医療保険は、保障がやや過大。入院給付を60日型、日額5000円に下げれば、保険料は半分近くになります。また、死亡保障は収入保障保険で現状1700万円ほど確保していますので、加入されている終身保険の必要性は高くはありません。予定利率はわかりませんが、貯蓄性が高くないなら払済保険にして、保険料分を貯蓄に回した方が合理的です。それと、syさんの医療保険、がん保険があと2年で切れます。医療保障については共済で保険料コストを抑えてもいいでしょう。

◆相談者「sy」さんから寄せられた感想
貯蓄ペースを維持すれば、教育資金&老後資金もほぼ確保できるようで大変安堵しました。お金を使うことに対する不安がストレスでした。家族で楽しみのためにお金を使う心の余裕ができました。まず家計簿を始めたいと思います。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武

文=あるじゃん 編集部