これまで仏Schneider Electricの本社ビル「HIVE」と、スマートファクトリー「Le Vaudreuil Factory(ル・ヴォードライユ工場)」を紹介してきたが、今回はSchneider Electric International Operations Executive Vice Presidentのリュック・レモン氏のインタビューをお伝えする。

まずは、レモン氏の経歴から紹介しよう。同氏は1993年にフランス防衛省調達部門(DGA)でエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後はフランス経済産業省、バンクオブアメリカ・メリルリンチなどで要職を歴任し、2014年にSchneider Electricに入社。

2017年からInternational Operations Executive Vice Presidentとして、南米、アフリカ・中東、インド、北東アジア・日本、パシフィック地域を統括し、同社取締役会の一員でもある。

2030年にはカーボンニュートラル

--現状のエネルギーマネジメント、スマートファクトリー関連のビジネスの状況はいかがですか?

レモン氏:売上も拡大し、2019年第1四半期も好調に推移しています。中期的な見通しとして、2つのポイントがあります。

  • Schneider Electric International Operations Executive Vice Presidentのリュック・レモン氏

    Schneider Electric International Operations Executive Vice Presidentのリュック・レモン氏

1つ目は、グローバルにおいて気候変動やエネルギー効率の向上に対して、迅速に対応しなければならないという状況に直面しており、再生可能エネルギーを含めたエネルギーミックスが加速するとともにエネルギー分散化の傾向にあります。

2つ目はデジタル化です。ありとあらゆる産業インフラにデジタル化は及んでおり、われわれはエネルギーマネジメントの知見を長年蓄積しています。さまざまなアプリケーションやソフトウェアを通じて、デジタル化の設計から生産、保守管理に至るまで、あらゆる分野でフォローアップが可能です。

そのため、これらのデジタルトランスフォーメーションを支援する、テクノロジーのパートナーであると自負しています。

--テクノロジーのパートナーという位置づけは、先進国での意味合いが強いですが、新興国での状況を教えてください。

レモン氏:さまざまな取り組みを行っています。新興国でも新しい技術を採用し、驚くべき吸収力を持っているのです。

100カ国以上に進出しており、気候やインフラ・産業化のレベルなど国別の違いはありますが、新しいテクノロジーの導入に関しては意欲的です。そして、エネルギーの需要は新興国の方が大きいものがあります。

--「RE(Renewable Energy)100」や「EP(Energy Productivity)100」への参画について考えをお聞かせください。

レモン氏:グローバルに1000カ所以上の拠点(200カ所の工場含む)がありますが、われわれとしてはエネルギー消費量の削減を見極め、なおかつ再生エネルギーの導入を最優先で行っています。2020年にはリューアルし、2030年にはカーボンニュートラルを目指しています。

われわれは、HIVEとル・ヴォードライユ工場の2つの核となる拠点を通じて、社会に貢献したいと考えています。

本社ビルは10年以上、常にエネルギーパフォーマンスの改善を積み重ねています。エネルギー消費量は当初と比較して6分の1まで低減し、IoTプラットフォーム「EcoStruxure」をはじめとした独自技術やアプリケーションを適用した結果として、近年建設される最新鋭のビルと同等のエネルギー削減効果を生み出しています。

一方、ル・ヴォードライユ工場もHIVEと同様に独自技術やアプリケーションを投入しており、産業プロセスの改善、エネルギーの節減を実現した効率的な拠点です。われわれが提案しているIndustry 4.0(インダストリー4.0)の技術を応用し、グローバルに展開する200カ所の工場の中でも最先端と位置づけています。

そして、2つの拠点を通じて、われわれ自身の技術を改善しています。最終的な目的地はエネルギーマネジメント、産業の自動化、ソフトウェアによるプロセス監視などを行うことで、エネルギーや産業のパフォーマンスを最大限にすることなのです。