35歳、42歳は体の衰えや不調を感じやすい節目の年齢。加えて現代のアラフォー女性は、非常に心身ともに負荷の高い環境に置かれています。

◆クリニックでも相談される「アラフォー女性のうつ」体験談
私は複数の不妊治療専門クリニックの漢方外来を担当していますが、精神的な症状のご相談をいただくことも少なくありません。つい先日も、

・怠くて出社できない
・夜に眠れない
・不安に襲われる
・発作性の発汗がある

といった症状を訴え、婦人科のドクターから紹介を受けて相談に来られた女性がいらっしゃいました。

40代に入ったばかりのその患者さんは、母親がひどい更年期症状に苦しまれていたのを見られており、それらの症状とよく似たご自身の不調に「早くも更年期になってしまったのではないか……」と不安になって婦人科を受診されたそうです。

お話を詳しく伺うと、大企業のキャリアウーマンとして忙しく仕事をこなされながら、プライベートでは不妊治療を検討されたり、さらにはご家族の介護も始まったりと、公私ともに多くのタスクを抱えて過ごされていることが分かりました。

そしてこの方のようなケースは、実際の診療現場で珍しいものではありません。

◆アラフォー女性のうつ症状の考えられる原因
現在「アラフォー」と呼ばれる40代前後の年代の女性は、1人で何役もの役割を抱えている方が少なくありません。

お仕事をされている方は、キャリアを重ねて責任のある役職についている方も多く、ご結婚されている場合には仕事に加えて家事を、さらにお子様がいらっしゃる場合には、育児・家事・仕事に日々奮闘されているお話をよく伺います。

また、専業主婦でお子様をお持ちの方も、幼稚園の役員、PTAのお仕事などを引き受けたり、介護に携わっていたりと、忙しくされている方は多くいらっしゃいます。

色々なコミュニティの中で役割を担い、その体力的な負荷、人間関係などを含めた精神的な負荷に悩まれていることが原因で、精神的にも症状が出やすい年齢ともいえます。

◆中国最古の医学書に書かれた「35歳、42歳の女性の変化」
これらの現代の環境に加え、東洋医学では女性は「7」の倍数の年齢で体の変化が起こると考えられています。

中国の最古の医学書の一つである『黄帝内経(こうていだいけい)』には、女性は「7」の倍数、男性は「8」の倍数の年齢になったとき、体の変化が表れるという考え方が記されており、女性は35歳頃から容姿や体の機能が衰え始めるといわれています。

具体的には、

・35歳……顔の色艶にかげりが出て、髪や頬のハリに衰えが現れ容姿全体が衰え始める

・42歳……顔がやつれ、髪に白髪が混じり始め、また心身の不調が起こりやすくなる

・49歳……肉体が衰え始め、閉経を迎える。更年期障害として不定愁訴が多くなる

といった変化が起こるとされています。

これらはもちろん個人差があることですが、生殖医療の現場においても、30歳以降妊娠率が低下し、35歳前後からは、妊娠率の低下と流産率の増加が起こることからも、機能の低下が始まる年代といえるでしょう(参考資料:「年齢別ART妊娠率・生産率・流産率」等)。

自然にホルモン分泌も乱れやすくなる中で、ご自身の体調を気遣うことなく、役割をこなし、過度なストレスを感じながらも、責任感からご自身を追い込み、周りに甘えたり相談することができなかった方が、うつの症状を感じた時に「うつ」とは思わずに、「更年期障害」と感じて、婦人科や漢方相談に来られることは非常に多いです。

◆うつ症状改善のために、まずは休息とご自身のケアを
うつ症状、辛いですよね。気持ちの落ち込みだから頑張ればよいというものではなく、自分はどうなってしまったんだろうと、不安で仕方ないと思います。今うつ症状に悩まれている方は、不安と戦いながら、もがき、毎日を過ごしていらっしゃることだと思います。

今の状態から、無理に元気になる必要はありません。できるなら、休んで頂きたいと思っています。

ただ、休もうにも、日々の不調、不眠や不安、動悸や頭痛、倦怠感などがあると心穏やかに過ごすことは、とても難しいことでしょう。漢方で、きちんと体質に合うものを使えば、お体に優しく症状を緩和させていくことができますよ。

文=住吉 忍(薬剤師)