ランボルギーニの絶滅危惧種?完璧にレストアされたV12エンジンのオフローダー

ランボルギーニLM002は、V12を搭載するモンスター・オフローダーだ。フルレストアが完了した1台を試乗した。

1987年に『Car&Driver』誌はLM002のロードテストを行った。題して「ランボー・ランボ(Rambo Lambo)」。LM002を完璧に表したタイトルだ。ランボーを演じたシルベスター・スタローンが所有していたと聞いても意外ではないだろう。LM002は、1977年に米軍向けに造られたチーターという名のプロトタイプに端を発する。1981年にはチーター同様リアエンジンのプロトタイプ、LM001が発表された。さらに重量配分を改善するため、V12エンジンをフロントに配置して誕生したのがLM002だ。1986年から5年間に301台が製造された。

LMはランボルギーニ・ミリタリーの頭文字である。しかし、LM002が軍用車ではなく高級オフローダーであることは、インテリアを見れば一目瞭然だ。写真は後期の1台で、ブラックメタリックのボディにクリームのインテリアと、まさにスーパーカーの配色である。世界トップクラスのスペシャリスト、イギリスのモデナ・グループを経営するグレアム・シュルツに話を聞いた。



「オーナーはこの車を20年所有しており、ぞっこんに惚れ込んでいます。私たちはこの車の面倒をずっと見てきましたが、1年ほど前に、新車以上の状態にレストアしてほしいという依頼を受けました。LM002にこれほど徹底的に手を入れた例は、私たちの知る限りありません。ランボルギーニのファクトリーもずいぶん支援してくれました。世界最高の1台に仕上がったと自負しています」

ハマーに乗ったことのある人は分かると思うが、外から想像するほど車内は広くはない。巨大なトランスミッショントンネルが大きなスペースを占めているからだ。通常は後部の車外にもベンチを備えるが、このLM002の場合は着脱可能なロッカーになっている。これほど巨大な車でガソリンスタンドに行くのは勇気がいるだろう。ハイオクではなくレギュラーが使えるのは朗報だが、グレアムに燃費を尋ねると、「リッターあたり2~3km」という答えが返ってきた。



クラッチが恐ろしく重いという評判だが、実際にはそこまでひどくはなかった。シフトの動きも少々鈍く、素早い変速は望めない。とはいえ、ステアリングを握った印象はレンジローバー・クラシックによく似ていた。最初は少し鈍重に感じるけれど、自信が増すにつれて思い通りに操縦できることが分かってくる。シートポジションが高く、パワステも効果的なので、すこぶる運転しやすい。

カウンタックと同じ5.2リッターのV12エンジンを搭載するから、パワーに不足はない。加速も、車重が2.7トンなのでスーパーカー並みとはいえないが、十分パワフルだ。カスタムメイドのツインエグゾーストから放たれる咆哮は神々しいばかり。洗練されたカウンタックのサウンドとは違う、低くたくましい轟音である。なにしろ大型のウェバー・キャブレターを6基も搭載するのだ。



履いているのは325セクションのピレリのスコーピオンである。このタイヤは探し出すのが非常に困難だった。「ここ数年でLM002を使い始めるオーナーが増えたので、ピレリにとっても再び製造する意味が出てきたんです。以前は新品のタイヤが2200ポンド以上しましたが、今後は600ポンド程度になるでしょう」とグレアムは説明する。

長年、知名度の低かったLM002だが、それも変わりつつあると彼は話す。「少し前までは状態のよいものが2万5000~4万ポンドで買えましたが、今では10万ポンドかそれ以上します。クラシック・ランボルギーニはすべて同様です。V12には独特の魅力がありますが、V12が製造されなくなる日も、そう遠くはありませんよ」

LM002は発売当初から、時流とは無縁の”恐竜”だった。そして今、二酸化炭素の測定器を手にした人間によって絶滅へと追いやられようとしている。私たちは、恐竜が自由に街を闊歩できる最後の貴重な時代を目撃しているのかもしれない。