NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」で村田富江を演じている黒島結菜さん (C)NHK

 宮藤官九郎さん脚本の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」に、金栗四三(中村勘九郎さん)の教え子の女学生・村田富江役で出演している黒島結菜さん。6月9日に放送された第22回「ヴィーナスの誕生」では、富江が女子スポーツに理解のない父の大作(板尾創路さん)を含む“男たち”と、四三の解雇を巡って対立。他の女学生を扇動し、教室に立てこもると、自らが“旗振り役”となり、抑圧された女性を代表して自由を訴える姿が描かれた。同シーンを、フランス7月革命を題材としたウジェーヌ・ドラクロワによる絵画「民衆を導く自由の女神」と重ねる視聴者もいたが、劇中で凛(りん)とした美少女ぶりを披露している黒島さんに役やドラマへの思いを聞いた。

 ◇富江ら女学生が受けた抑圧…「そんな時代もあったんだという驚きがあった」

 富江は、四三とシマ(杉咲花さん)が教える名門校・東京府立第二高等女学校(通称・竹早)の生徒。当初は「人前で肌をさらすなんて!」と四三に反発するが、徐々にスポーツの楽しさに目覚め、テニスや陸上競技で頭角を現す。自分でデザインしたユニホーム姿も話題になり、一躍、運動界のアイドル的な存在になるが、そのことで厳格な父・大作を怒らせることに……。

 同じNHKで2017年に放送された連続ドラマ「アシガール」でも、戦国の世へタイムスリップした女子高生として“疾走”していた黒島さん。「『アシガール』で走っていたのは、山道とか川の中。しかも足元は草鞋(わらじ)でした。でも『いだてん』では、靴下をはいているし、足元はスパイク。場所もグラウンドなので、私の中ではレベルアップした感覚です」と笑顔を見せる。

 一方、幼い頃からスポーツに慣れ親しみ、男子と同じように女子もスポーツをすることに対して「何の疑問も抱かなかった」という黒島さんは、劇中で富江らが受けた抑圧については「そんな時代もあったんだという驚きがあった」という。

 第22回で富江は、女子のスポーツの大会に出場した際、靴下を脱ぎ捨て、さっそうと走る姿を披露したが、やがて、それが大きな騒動に発展する。

 黒島さんは「今は女子スポーツで活躍されている方が世界中にいて。マラソンではおへそを出して走ったりもしていますが、あの時代からは考えられないこと。もし、当時の人が現代にタイムスリップしてきたら、ものすごい衝撃を受けるでしょうね」としみじみ。その上で「昔の人のスポーツに対する考え方を知って、こういったことがあったから、今につながっているんだということを実感できて、この役を演じることができて良かったです」と振り返っていた。

 ◇四三パパと女学生たちの関係「すごくいいな」 本番では「涙が止まらなくなり」

 劇中では富江をはじめ、女学生たちが、四三を「パパ」と呼ぶ姿が描かれた。これは史実通りで、「単なる“先生と生徒”というだけでないそんな関係性はすごくいいな」と声を弾ませる黒島さんは、「一生懸命ぶつかってきてくれるので、こっちも思いが伝えやすいですし、高校時代に何でも話せる仲のいい先生がいたことを思い出しました。昔の先生はとても偉くて、生徒から遠い存在というイメージがありましたが、当時もこういうふうに接してくれる先生がいたことを知り、うれしくなりました」と明かす。

 第22回では、そんな四三パパが富江をかばい、女子スポーツに理解のない“男たち”を前に「あなたたちのような人がいるから、女子スポーツが普及しない」と熱弁をふるうシーンがあり、多くの視聴者の胸を熱くさせた。後の“立てこもり”、さらに第23回「大地」(6月16日放送)の富江と大作の父娘・かけっこ対決へとつながる重要なシーンとなったが、黒島さんは「実はあの場面、泣いてしまったんです」と告白する。

 本番前のテストでは「『先生、その通り!』と思いながらも、普通に聞いていたのですが、本番になったら(四三役の)勘九郎さんが、テストをはるかに上回る熱量でしゃべり始めて……。それを見ていたら、涙が止まらなくなり、思わず拍手までしてしまいました」と照れ笑い。さらに「それぐらい勘九郎さんのお芝居から、真っすぐな気持ちが伝わってきました。こんなふうに、本番中であることを忘れるような経験はめったにないので、そういう現場にいられたことが、とてもうれしかったです」と語っていた。

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は全47回。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。