パナソニックスマートファクトリーソリューションズは、6月5日~7日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「JISSO PROTEC 2019(第21回実装プロセステクノロジー展)」において、微小化が進む電子部品に対する実装ソリューションの提案を行っている。

角型のSMD(表面実装部品。キャパシタなど)のサイズは現在、0.6mm×0.3mmの0603が広くさまざまな市場で活用されるようになってきているが、スマートフォンのような高性能を小型・薄型のサイズで実現する機器の一部では、より小さい0.4mm×0.2mmのいわゆる「0402」の電子部品の搭載もはじまり、今後、さらに普及していくことが期待されている。さらに、さらなる高密度化や小型化の実現を目的に、より小型の0.2mm×0.1mmの「0201」への対応も2019年度から始まることも予測されている。

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  • 0201の実装を行った次世代スマートフォンを意識して作られた基板

しかし、部品サイズが小型になればなるほど、基板の求められた場所に的確に実装することは困難になってくることから、高度な実装技術が求められることとなる。パナソニックスマートファクトリーソリューションズでは、はんだを基板に盛る印刷機や、電子部品を基板に取り付ける実装機の販売を長年にわたって行ってきたが、これだけの微小部品の実装を精度よく行うためには、装置のみならず、基板材料、ステンシルマスク、はんだ、電子部品(チップ)、はんだ塗布のためのノズル、はんだを取り付けるためのリフロー条件などと連携して技術を開発する必要があるとし、さまざまなパートナーと協力して実現を目指してきた。

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  • スマホを中心に電子部品の小型化が進展。今後も小型化が進むことが予想されるが、それに対応する技術も継続して開発していく必要がある。とはいえ、1社ですべてをまかなうのは無理があるので、パートナーと協力関係を構築して、対応ソリューションを開発していく必要があった

例えばはんだの充填度合いの評価を行うために、高速カメラで充填の様子を撮影し、解析を実施。より高精度なはんだの充填を高速で可能とするスクリーン印刷機「SPV/SPG」の提供にこぎつけたほか、実装機の方も高実装精度を実現したモジュラーマウンター「NPM-DX」の提供にこぎつけた。

  • SPV

    JISSO PROTEC 2019のパナソニックスマートファクトリーソリューションズブースでデモを行っているスクリーン印刷機「SPG」

  • SPV

    スクリーン印刷機「SPV」

  • NPM-DX

    モジュラーマウンター「NPM-DX」

このNPM-DXについては、新機能「高精度モードオプション」も新たに開発したことを2019年6月5日付で明らかにしている。具体的には、新たに開発したXY軸制振制御と高精度装着を実現する部品認識モードを用意しており、これにより軽量16ノズルヘッドの場合、装着精度±15μmで最高生産性27000CPHを実現したとするほか、新たに装着荷重0.5Nの低荷重装着も可能にしたとする。

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  • スクリーン印刷機「SPV/SPG」ならびにモジュラーマウンター「NPM-DX」の概要

同社の取り組みは、こうした装置の開発のみにとどまらない。例えば、試作の段階における修正回数の削減を目指した最適設計手法として、「基板ランド・マスク開口設計手法」といったソフトウエア技術の提案なども行っている。これは、はんだリフロー後のはんだフィレットの形状から、はんだの溶けた量をモデル化(はんだは溶けると体積が1/2になるので、2倍にすると、印刷した量がわかる)、これをマスクの厚みで割ることで最適なマスク開口ならびに基板ランドを導き出すことができるというもので、試作における修正回数を減らすことができるようになり、リードタイムの短縮が図れるようになるとしている。

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    「基板ランド・マスク開口設計手法」の概要

なお、同社では電子部品のダウンサイジングに向けて基板の再設計が必要となるのか、それともマスクのみの変更で問題ないのか、といった判定フローなども用意しており、単なる装置としての提供のみならず、ソフトウェアや付帯技術などまで含めたトータルソリューションを提供していくことで、製造工程での生産性向上の実現に寄与していきたいとしている。

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  • 開発から試作、そして実際の量産に至るプロセスにおける修正などによる手戻りが減れば、より早く市場に出すことが可能になる