米ダラスでトランスジェンダー女性が殺害、同地区で多発するのはなぜ?

アメリカ時間1日、テキサス州アーリントン生まれの女性、シャネイル・リンジーさんの遺体がダラスの湖の底から発見された今年に入ってダラス付近で多発している、トランスジェンダー女性を標的とした暴力殺人事件の新たな被害者となった。

ダラス警察のレネー・ホール警察長によると、リンジーさんの遺体には「明らかに殺人に至る暴力の痕跡」があったという。彼女の死は他殺として現在捜査中だ。

記者会見でホール警察長は、ダラス警察がFBIに捜査協力を依頼し、ヘイトクライムか否かの判断を仰いでいるという。「我々のコミュニティで亡くなったトランスジェンダーの被害者はこれで2人目です。我々はこの件を重要視し、積極的かつ精力的に捜査に当たっています」

警察はまた、リンジーさんの本名(つまり、出生時に与えられた名前)と併せて、2枚の写真を公表した。そのうち1枚は、男性らしい格好のシャネイルさんが写っている。記者会見でホール警察長は、「警察では通常、女性としてのシャネイルさんと出生時の性別のシャネイルさん、両方の写真を公開することはないのですが」と断りをいれながらも、リンジーさんの遺族の意思により2枚の写真を公表したと述べた。「警察は、シャネイルさん殺害犯の捜索にあたりどちらの写真も活用してほしいという遺族の希望を尊重いたします」と、ダラス警察署の広報担当者はローリングストーン誌に語った。

リンジーさんの事件を含め、ダラス地区ではこの1年、トランスジェンダーの女性を標的とした殺人事件が少なくとも3件発生している。先月には黒人のトランスジェンダーの女性マレイジア・ブッカーさん(23歳)が、リンジーさんの遺体発見現場から1マイル足らずの場所で射殺体で発見された。携帯電話に収められた動画によれば、殺害される数週間前ブッカーさんは駐車場で男性グループから襲撃を受けていた。グループの中の1人エドワード・トーマス容疑者(29歳)が加重暴行で逮捕、起訴されたが、その後警察はトーマス容疑者がブッカーさん殺害に関与したことを示す決定的な証拠はないと発表した。

ブッカーさんとリンジーさんの他、2018年10月にはブリタニー・ホワイトさんが自家用車の中で射殺体となって発見された。4件目は今年4月、女性が複数回にわたって刺されたが、命はとりとめた。

2015年から2018年にかけて、ダラス付近ではトランスジェンダーの有色人種の女性が相次いで不審な状況で死亡している。一連の事件の関連性については明らかになっていない。ローリングストーン誌がダラス警察の代理人に取材したところ、このようなコメントが返ってきた。「殺人課に確認したところ、いずれの事件もいまだ捜査中です。今後さらなる事実が確認されれば、動機が明らかになるでしょう」

人権団体のヒューマン・ライツ・キャンペーンによるこれまでの発表によれば、トランスジェンダーに対する暴力は全米で増加傾向にあるという。2017年にはアメリカ史上過去最大の29名のトランスジェンダーが暴力を受けて死亡したと伝えられている。だが殺人事件の被害者の多くが身元不明、あるいは警察による性別の誤認などがあるため、実際の数字はもっと多いものとみられる。