コーディネーショントレーニングという言葉を聞いたことはありますか? これは筋トレなどとは違い、自分の体を自分の思いどおりに動かすことができるようにするために行うトレーニングです。目や耳などから得た情報を脳が処理し、体の各部位に適切な指令を送るという神経回路を養うためのものであり、野球選手にも必要な要素を多く含みます。コーディネーションとは1970年に旧東ドイツのスポーツ運動学者が考え出した概念で、7つの能力によって成り立っています。
《コーディネーションを支える7つの能力》
・リズム能力(リズム感を養い、動くタイミングを上手につかむ)
・バランス能力(バランスを正しく保ち、崩れた態勢をすばやく立て直す)
・変換能力(状況の変化に合わせて、素早く動きを切り替える)
・反応能力(合図に素早く反応し、適切に対応する)
・連結能力(体全体を無駄なくスムーズに動かす)
・定位能力(動いているものと自分の位置関係を把握する)
・識別・分化能力(道具やスポーツ用具などを上手に操る)

こうしたコーディネーショントレーニングは練習や試合前のウォームアップなどに取り入れると、神経回路を刺激し、楽しみながらコーディネーション能力を高めることができます。例えばスタートの合図を笛(聴覚)ではなく、手の合図(視覚)にかえるだけでもいいですし、スキップなどを取り入れてリズム感を高めるような動きを行うこともよいでしょう。また二人組で相手の動きにあわせて同じ動作を真似するミラードリルや、相手と反対の動きをする逆バージョンなども面白いと思います。

自宅で一人でもできる手軽なコーディネーショントレーニングとしてはお手玉などが良いでしょう。1つのボールを注視するのではなく、大きな視野で3つのボールを確認しながら手を動かし、動体視力とともに自分の位置とボールの距離を把握する定位能力なども鍛えることができます。コーディネーショントレーニングは楽しみながら野球に活かすことのできるトレーニングの一つですのでぜひチームや自宅などで取り入れてみましょう。(西村典子)


著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。