編集者・箕輪厚介、ヒットを生み出す“軽薄さ”とは?
恵俊彰がパーソナリティをつとめ、あらゆるジャンルの“挑戦者”を迎えてお届けするTOKYO FMの番組「東京海上日動 Challenge Stories~人生は、挑戦であふれている」。5月4日(土・祝)の放送には、前週に続き、編集者の箕輪厚介さんが登場しました。


恵俊彰、箕輪厚介さん



◆本を売るために、時代の空気を醸成する

恵:箕輪さんの目的地はどこなんですか?

箕輪:本当にないんですよ。「次、誰の本を作りたいですか?」とか、絶対聞かれるんですけど。単純に「破壊したい」という感じですね。

恵:子どものころから、目的地を持たなかったんですか?

箕輪:うーん、わかんないな……。いろんな機会を与えていただけるようになると、別に「何をやりたいんだろう」と思うこともなく、その瞬間、目の前のことをやっているだけ。CD(コンピレーションアルバム「箕輪厚介 presents 死ぬこと以外かすり傷」)も――あれは僕じゃなくて“箕輪★狂介”ですけど(笑)、狂介も「やりたくねーよ」とか言いながら、いざ越谷レイクタウン(CD発売記念イベント開催地)に行ったら頑張るって(笑)。道のりを歩いてるというより、その瞬間瞬間の繰り返しですね。

恵:一方で、編集者の仕事としてはストーリーを作ること、作れることも大事だと。

箕輪:大事だと思います。今って、いい本を出しても売れないんですよ。今なぜその本を読むべきか、なぜこの人が本を書くべきか、時代との接合点を巧みにセッティングして、空気を醸成する。そのあたりを一番意識しますね。

恵:人の感情に対する“嗅覚”。

箕輪:どれだけピュアに嗅覚を研ぎ澄ますことができるか、本当に意識しています。自分の心に錆みたいなものができると、商売あがったりなので。

恵:そういうのは誰かに教わったというより、経験のなかから。

箕輪:そうですね。あとは、興味のないことは頑張れないので、そうせざるを得ないですね。

恵:結果的にそうなってしまった?

箕輪:そうです。前田裕二とか今キテる企業家の人は、本当にやりたいことがあるから、自分がやりたくないこともやるんです。僕はやりたいことがないので、やりたくなかったやらない。だから、自分の嗅覚に従わざるを得ないんですよね。

◆第一線で活躍している人は“3歳児”

恵:AIへのアンチテーゼなのかもしれないですね。誰かに何か考えてもらって、従っていたらいい、みたいなことへの。

箕輪:AIの話でいうと、人間に残された道は、非合理なこと、要は「普通だったらやらないよね」ということをやることしかない。10人中10人が辿り着く答えなら、AIに出させたほうが早い。でもそこで「みんなはこっちと言うけど、俺はこっちだと思う」というのは人間にしか出せない価値。そこにセンスがあると、もうとんでもない価値になるんですね。だから、自分の本能や欲望と向き合って、それをフルスイングしろと。

恵:うん。

箕輪:「好きなことをして食べていける」みたいに言う人がいるんですけど、それは逆。好きなことをしないと食べていけない時代です。

恵:イチローの振り子打法も、野茂のトルネード投法も、途中でやめなさいと言われたかもしれないけど「そうしないと俺、無理なんだ」って突き詰めたからで。

箕輪:僕、今活躍している人は、小学校や中学校のときのまま突き抜けた人だと思っていて。第一線で活躍している人って、もう子どもじゃないですか。すぐ怒る、すぐ泣く、本能のままの3歳児みたいな。だから、本(著書「死ぬこと以外かすり傷」)にも“3歳児最強説”を書いたんです。みんな、どこかの時点で“3歳児レース”から落ちていくんですよ、大人になって常識を覚えて。そのほうが楽だったりするんですけど、もうAIに吸収されちゃいますからね。

◆人が熱狂するのは“失敗し続ける過程”

恵:CDには、北島三郎さんや和田アキ子さん、ザ・ハイロウズからミキティ(藤本美貴)の楽曲まで収録されていますが、音楽は好きだったんですか。

箕輪:僕、レコード会社の人が頭を抱えたくらい、マジで音楽を聴いてこなかったんです。

恵:本は読みまくった?

箕輪:本も、まぁ読まない。

恵:でも、早稲田大学の第一文学部卒でしょう?

箕輪:でも、そんなに読んでないです。僕のそういう、ある意味での軽薄さ、カルチャー性のなさが(編集した本の)ヒットに繋がってるんだと。僕は、すげぇライトなインスタントラーメンみたいな人間なんで。

恵:ははは。“インスタントラーメンみたいな人間”、おもしろい。

箕輪:僕の本は、普段本を読まない人が読むんです。だから、ちょうどいい大衆性。あと、煽るのもうまいので。

恵:ところで、大学は「行っておいたほうがいい」と思ったんですか?

箕輪:「もうちょっと遊べるかな」くらいのもんですよね。社会人になるの、嫌じゃないですか。根拠なき自信と、肥大化した「俺はこのままでいい」っていうプライドが強かったんですけど、変にインターンシップやOB訪問をやって、社会を知って、早めに「俺って大したことない」って気づいていたら、CDを出す勘違い野郎になれていなかったと思うんですよ。今も毎日、夏休みが続いているような感じ。そのなかでたまに本を出しているような。

恵:勘違いが大事なんですよね。

箕輪:若い人の根拠なき自信って、何かを突破するパンチ力になる。熱量だけは、「持て」と言って持てるものじゃない。それを持っているヤツは、最初は熱量だけのヤツだったとしても、ちょっとアレンジしてあげるだけで何者かになれる可能性があるんですよね。

恵:好きなものが見つからない苦しさについては?

箕輪:僕、「好きなことばっかりやって羨ましい」って言われるんですけど、そんなこともないです。はっきり言って、CDも出したいかって言われたら……。

恵:ははは。

箕輪:わかんないけど(笑)、でもやってると楽しくなってくる。こうしてラジオにも呼んでいただいて、恵さんに会って、「ああ、楽しいな」と思う。楽しいことは落ちているわけじゃなく、とにかく一生懸命やっていると楽しくなってくる、ということかもしれないですね。

恵:じゃあ最後に、箕輪さんにとって“チャレンジ”とは何ですか?

箕輪:「失敗につっこむこと」ですかね。今は、失敗が最高のブランディングになる時代。昔はそれなりのチャレンジをしても、失敗したらそれで終わっていたけれど、今はSNSとかで過程を発信できる。失敗しても、頑張っている姿勢にフォロワーがつき、失敗し続ける過程にみんなが熱狂する。失敗こそブランディングで、失敗こそ財産。だから、下手な歌を歌うのでもいい。「ああ、箕輪さんが頑張って、越谷レイクタウンに立ってるわ!」みたいなのが、一番いいんで。だから、失敗に頭からつっこむことがチャレンジだと思いますね。

<番組概要>
番組名:東京海上日動 Challenge Stories~人生は、挑戦であふれている
放送日時:毎週土曜15:30~15:55
パーソナリティ:恵俊彰
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/challenge/