声優・豊永利行のライブツアー「光」の最終公演が5月6日、千葉県・市川市文化会館大ホールにて開催された。

  • 豊永利行

「誰がいつ来ても楽しめるライブ」を目指す豊永。その言葉通り、バラエティ豊かなセットリストに、サービス精神あふれる演出やMCが、会場のファンを大いに沸かせた。そんなツアーファイナルの模様をお届けする。

忙しなく人が行き交い、靴音が鳴り響く。まるで芝居のオープニングのような、街の雑踏が再現されたステージに、コートに身を包んだ豊永が登場する。1曲目に披露されたのは華やかなミュージカルソング「光へ」だ。サビで豊永はコートを脱ぎ、スパンコールをあしらったまばゆい衣装へチェンジ。ミラーボールの下で伸びやかな歌声を聴かせた。

バンドメンバーやダンサーなど、出演者を紹介するオープニング映像が流れた後、豊永がカジュアルな姿で再び登場。まるでアルバム「光へ」のジャケットのように、客席に背中を向け、光に腕を伸ばす。「Shiny Glory Story」、「Chase」を立て続けに披露し、会場をヒートアップさせた。

曲中、身軽にステージを駆け回り、飛び跳ねていた豊永だが、曲が終わると息を切らしながら「35歳にはキツイ……日曜の運動会のお父さんみたい」と苦笑い。

MCでは、会場のファンに年代別でコールアンドレスポンスを呼びかけていく。「10代ー!」から始まり「60代ー!」にも応答するファンの姿があり、歓声が上がった。さらに豊永のコールアンドレスポンスは、関係者席にも投げかけられる。

曲に入る直前まで、「昨日からお腹を壊している」という内容の下ネタを話していた豊永。トークイベントかと思われるほどのリラックスした話題に、客席も笑っていたが「Don’t Give Up」が始まると空気が一変。豊永のボーカリストとしての色気が会場中を支配する。さらにファルセットと低音のハーモニーが美しい「2:00a.m.」、しっとりと聴かせる「青い花」を披露した。

幕間では豊永自身が脚本とイラストを手がけたショートムービーの上映が。豊永が、お父さんと共に魔法少女に変身し悪と戦うバトルストーリーが、なんともゆるい筆致で描かれる。途中、魔法を繰り出すためにファンの声援を要求するパートもあり、さながら応援上映のように会場も盛り上がった。

そして、まさに”魔法少女になっちゃうお父さん”を歌った楽曲「マジカル☆だでぃ?(仮)」へ。頭にリボン、ふわふわのチュチュにポンポンを持ち、キュートに踊る豊永に、会場は大興奮! 「女性アイドル」になりきることがテーマのこの曲、頭から終わりまで可愛らしいダンスを披露した豊永だったが「女性アイドルの歌い方が難しいうえに、フルで振り付けが入って……後悔しましたね」と、アイドルに徹する苦労をにじませ笑った。

「未来との約束」で爽やかな歌声を響かせた後、ツアー各所で歌っているキャラクターソングのコーナーへ。今回は『デジモンユニバース アプリモンスターズ』で豊永が演じる桂レイの曲「Maze」を、激しいヘッドバンギングと共に披露した。

そして、改めてバンドメンバーが一人ずつ紹介される。飲みの席でつくられた「令和ソング」が飛び出したり、「辛いものを食べると身体の一部が……」と意外な特徴が暴露されたりと、笑いが絶えないコーナーとなった。和やかなトークに、豊永とバンドメンバーの密な関係性がうかがえる。

その後、「月は知っている」、「穴」と畳み掛け、哀愁漂うアコーディオンの音色が印象的な「情熱のヒストリア」で本編は幕を閉じた。

アンコールの一曲目は、豊永が楽曲提供をした『デュラララ!!×2 承』の挿入曲「Little World」。藤田咲が歌う曲を、豊永がエモーショナルな歌声でセルフカバーする。突如、携帯電話の着信音が鳴り響き「誰? ケータイ切ってないの?」という豊永の呟きから、次の「TEMPE ×∞」が始まる。会場が一体となってキメのポーズをとり、盛り上がりは最高潮へ!

さらに話題は、新旧とりまぜた今回のセットリストへ。豊永は「どなたがいつ、どのタイミングで来ても楽しめるライブ」を心がけていると話し、古いキャラクターソングについて「古くから応援していただいている方に、ありがとうの気持ちをこめて披露させていただきました」とのこと。

しかし、初心者ファンの存在も決して忘れない。「じゃあ『初めてのアタイは来ちゃいけないのかい?』って、そんなことはもちろんございません! 誰だって、自転車にはじめは乗れなかったでしょ? そういうこと! ……ちょっと違うか」と笑った。

ダンサーチームを紹介した後、ラストは「ラクにいこうぜ!」。ゴールデンウィーク最終日のモヤモヤを吹き飛ばすかのように、会場中がお祭り騒ぎとなった。「明日から頑張れそうです?」と豊永が問いかけると、ファンは大きな歓声でそれに応える。豊永も「俺もがんばれそうだ!」と満足げな笑顔。ステージを作り上げる仲間、そしてあらゆるファンへの愛にあふれた豊永のライブは、たくさんの笑顔で幕を閉じた。