大富豪が牽引、医療用大麻の栽培はプエルトリコの農家を救うのか?

14日、1300万ドル相当の大麻の苗木および種子をプライベートジェットに積み、カリブ海に浮かぶ島国セントクリストファー・ネイビスへ運ぼうとしたとして、ギリシャのCoca-Colaボトリング社の御曹司、アルキヴィアデス・ダヴィード氏が逮捕された。

お騒がせ長者は逮捕にもめげず、大麻ビジネスの拠点探しを続けるという。「カリブ海の火山島のような土壌は、自然が生態系にもたらす環境のなかでも、(大麻の栽培に)まさにうってつけなんだよ」とダヴィード氏。「我が社の本拠地スイスでは、室内に熱源や光源を置き、水を引き入れて栽培しているが、カリブではそんな必要はまったくいらない」

先日の逮捕劇に関しては、ダヴィード氏の代理人が言うには、機内で苗木を発見した職員の報告書に不備があったという。苗木が合法化されたと思っていたダヴィード氏は、入国の際に大麻の苗木を通関に申告した。ダヴィード氏側の言い分によれば、逮捕の理由はティモシー・ハリス首相が、マリファナに反対する有権者らに対マリファナへの厳しい姿勢を見せようとしたためだという。だがその数日前、同国議会は医療用大麻の合法化と、嗜好目的の大麻使用の非犯罪化を盛り込んだ法案を国会に提出したばかりだった。現在セントクリストファー・ネイビスでは、1986年の麻薬法に基づき、すべての大麻が違法とされている。

ダヴィード氏は問題がクリアになれば、すぐにでも起業する考えだ。まずは農家と契約して、種子を提供する。そしてプエルトリコの街ウトゥアド近郊の800~1200エーカーの土地に、興奮作用成分テトラヒドロカンナビノールを含まない医療用大麻を栽培。ダヴィード氏の主張によれば、農家は年4回の収穫で年間10億ドル相当の収入を得ることができるという。農家には種子、肥料、栽培指導を無料で提供し、収穫した大麻は品質に関わらずすべて市場価格の半値で買い取ると、ダヴィード氏はローリングストーン誌に語った。「あとは農家次第。彼らは好きなだけ稼ぐことができる」とダヴィード氏は力説する。「10エーカーの土地を持つ農家なら、2~3世帯を養えるぐらいは稼げるから、地元の有志になれるね」

ダヴィード氏が考えるビジネスモデルは、スーパーマーケットチェーンのMigrosに代表される、スイスで成功した共同組合制度をもとにしている。土地の所有者は農家なので、自分の裁量で、ダヴィード氏の大麻の栽培面積を決めることができる。「真に民主主義的なやり方で富を分配する、新時代がやってきたんだ」と彼は言う。なにしろプエルトリコはハリケーン・マリアの被害だけでなく、負債という問題も抱えている。その理由のひとつはアメリカ本土の製薬会社だ。製薬会社の金の亡者は税制の抜け穴を利用して懐を肥やしていたが、法律が改正されるや、さっさと農園を閉鎖してしまった。

それでも一部の人間は、ハリケーン・マリアのような自然災害から新たな可能性を見出す。「いち実業家としても、魅力的なチャンスだ」。ハリケーンの被害からプエルトリコの農業を復興させるのに一役買うつもりはあるのか、という質問に、ダヴィード氏はこう答えた。「経済が崩壊したなか、打開策を模索するハングリーな農家もいる。彼らにとっても大きなチャンスだ。必要は発明の母というだろう。この計画が出てきたのも、当然のことなんだよ」

21日、彼は300万ドル相当の大麻の種子と、認可を受けた栽培家、そして人望が厚かったセントクリストファー・ネイビスの元首相、デンジル・ダグラス氏を連れ、プエルトリコへと向かった。現地で生産共同組合を立ち上げれば、栽培家がもっと稼げるだろうと彼は考えている。