漂白剤を使った危険な治療法、自閉症の子供に試した母親も

「反ワクチン」を掲げ、漂白剤を「特効薬」として宣伝する動画コンテンツがYouTube上に多数存在する。

漂白剤が自閉症の治療薬になるという考えを最初に推奨したのは、過激思想の宗教団体のリーダー、ジム・ハブル氏だ。ミラクル・ミネラル溶液(MMS)と呼ばれる「奇跡の」物質を不法に販売していたことでも知られ、本人は南米赴任中にこれでマラリアを治したと主張している。MMSの中身は亜塩素酸ナトリウムとレモン汁のような酸性物質で、この2つを混合すると、市販の漂白剤によく使われる二酸化塩素が生成される。大量に摂取すると吐き気や嘔吐、重度の脱水症状、さらに腎機能障害を引き起こす。

MMSの効能についてはアメリカ食品医療品局が何度となく警告を出している(ハンブル氏自身もMMSの成分に「治療効果はない」と公に認めている)にもかかわらず、ニュースサイトBusiness Insiderの調査によると、いまなおYouTubeにはハンブル氏がMMSを、よりによって、自閉症の治療薬として推奨する画像が山のように出回っている。また調査では、動画が簡単にYouTubeで閲覧できること、「自閉症」といったワードで検索すると上位に挙がってくること、場合によっては閲覧回数が何百万回にも上っていることも判明した。

個人が運営する数々のFacebookグループでも、MMSやその他さまざまな形状の亜塩素酸ナトリウムが自閉症の治療薬として宣伝されている。こうしたグループはかなり高い確率でワクチンに反対するコンテンツも扱っているが、漂白剤治療を自閉症の子供に試したという母親の驚くべき証言や、実際とは真逆の身の毛もよだつ効能を掲載している。驚愕のケースでは、6歳の自閉症の息子を持つ母親が腸管洗浄剤を息子に飲ませたとして、警察の取り調べを受けた。その結果息子は脱腸し、人工肛門の世話になる羽目になったという。

AmazonやFacebook、YouTubeの親会社Googleなど大手IT企業はこのようなコンテンツの報告を受けて公式声明を発表し、コンテンツの取り締まりを約束した。Amazonは3月、MMS賛成派のケリ・リベラ氏の著作など、自閉症治療に漂白剤を勧める大量の書籍を禁止した。YouTubeは今月初め、Business Insiderの取材に対し、すでに大量の動画を削除したとコメントし、同社の「コミュニティ・ガイドラインでは、人体に害を及ぼしうる危険な行為を推奨するコンテンツは禁じられており、規則違反が疑われる動画はただちに削除するようにしております」と書簡で返答した。

にもかかわらず、いまだに多くの動画がYouTubeに掲載されており、MMS支持者は次から次へとチャンネルを量産している。そうしたチャンネルのひとつがMMSTestimonialsUnofficialで、掲載している動画の上にバナーを張って、このチャンネルの目的は「オリジナル版MMStestimonialsチャンネルや、その他二酸化塩素に関する研究、YouTubeやAmazon、Facebook、Googleなどで削除された関連トピックスから動画を回収し、保存、拡散するもの」だと宣言している。