人生の節目となるタイミングでしばしば起こるイベント「引越し」。新しい環境への期待に胸を膨らませる一方で、引越しには何かと手間も時間もお金もかかるという印象を抱いている人も多いのではないだろうか。そこで本稿では、アート引越センターのスタッフに話を伺い、引越しの費用を抑える方法や、より効率的に引越しを行う方法を考えてみる。

まずは「引越し費用」を把握しよう

「引越し費用」とひと口に言っても、その中にはさまざまなものが含まれる。今まで住んでいた住居から出るにあたって修繕やハウスクリーニングの費用を請求されるケースもあれば、解約期間が残っていればそれまでの家賃が発生する場合もある。新しい住居が賃貸なら、前家賃や敷金、礼金、仲介手数料に火災保険などなど、数え上げるのも大変だ。

もちろん、これに加えて荷物を搬出・搬入するといういわゆる「引越し代」も含まれる。専門業者に頼む場合は、車両費や人件費、梱包資材費といった作業にかかる費用に加え、ニーズに合わせてオプションを使うこともあるだろう。

また、引越し先での挨拶に必要な手土産や、役所への届け出費用、新しい家具や家電製品の購入なども考えるとけっこうな額になるはずだ。ざっくりと「賃貸物件から賃貸物件への引越しには家賃の約6倍の費用がかかる」というのがよく言われる相場だが、こうしてすべての費用を考えていくと、もう少し余裕を見たほうがいいような気もしてくる。

いずれにしても、言ってしまえば「ケースバイケース」であり、詳細が把握しにくいのが「引越し費用」の実態だ。きちんと予定を立てて、まずはどんな費用が必要なのかをきっちり把握しておくことから始めたい。

退去に
かかる費用
ハウスクリーニング 2~5万円前後の設定が多いが、部屋数や間取りの大きさによって上がるケースも出てくる。
修繕費
(原状回復費)
通常は敷金で補填されることが多いが、あまりにも大きな修理や修繕が必要な場合は追加請求されることもある(あくまでの居住者による過失の場合)。
入居に
かかる費用
敷金・礼金 敷金は預り金で退去時のクリーニングや修繕に補填されることが多いお金。礼金は大家さんに支払うお礼代わりの契約金ののようなもの。
前家賃 入居タイミングによっては日割りで算出・加算されるお金。一般的には敷金・礼金と一緒に引越し日の予定などに合わせて支払う。
仲介手数料 不動産会社へ支払う。1カ月分前後が相場。
火災保険 新居の火災保険で通常は1または2年契約になる。保険料はケースバイケースになるが支払い義務があるので料金と期間は十分確認しておくこと。
カギ交換費 借主が変わればドア鍵も交換するので、ケースによっては請求される。
保証会社 保証人の代わりに保証会社を利用する場合はその費用がかかる。
新居周辺の
挨拶
両隣、階上、階下などに挨拶に行く際の手土産費用。
家具・
家電製品
新居に合わせて購入することが必要になるものとして、カーテンや照明器具、ガスコンロなどがある。引越し前によく確認しておくこと。
役所関連の
手続き
移転の書類や車庫証明等、個別には安いがまとまるとけっこうな額になることも。これも頭に入れておきたい費用だ。
引越作業に
かかる費用
引越し
基本料金
いわゆる、引越し作業にかかる費用で業者へ支払う基本料金。大きく、荷物の量と新居との距離、時期、作業員の数によって変動する。
梱包・
オプション
自動車やバイクといった大型の輸送物がある場合や、荷造りを自分でせずに業者に任せる場合は、別途オプションや梱包資材の費用がかかることがある。
不用品
リサイクル
引越し業者に頼めるものと、自分で処分する必要があるものがある。業者のサービス範囲や市区町村や受け入れ状況によってケースバイケースだが、リサイクル料金や処分費用がかかることもある。

引越しのプロに聞く! ワンポイントQ&A

Q. 引越し料金で見落としがちな要素はありますか?

A. どんなサービスが含まれるかご相談に合わせてご説明しますが、オプションでできることは各社さまざまなのでよく調べたり、問い合わせたりしておいたほうが良いです。弊社の場合オプションには、梱包、荷解き、電気工事、ハウスクリーニングなどがあります。これらはご希望に合わせて用意できるものです。また、家電リサイクル法対象4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)についてはリサイクルも承ることができますが、不用品処分はできません。このほか、車両陸送や保管などを申し込まれる方もいらっしゃいますし、重量物を取り扱う特殊作業が発生するケースもあります。「こういう荷物はどうすれば?」と悩んだらすぐにご相談ください。