新車試乗レポート[2019.05.21 UP]


【試乗レポート トヨタ RAV4】SUVの魅力に原点回帰! タフなルックスで日本再上陸

RAV4 Adventure

文と写真●ユニット・コンパス

 SUVカテゴリーにまた魅力的な選択肢が登場した。トヨタ RAV4がフルモデルチェンジを機に、ひさしぶりに日本市場に復活したのだ。
 初代RAV4が誕生したのは、RVブーム真っ只中の1994年のこと。当時はクロスカントリー4WDをレジャー用として使うのが流行していたが、本格的なクロカンは街中で乗るには大きく、重く、燃費が悪かった。そんなところに登場した初代RAV4は、4WD車の性能を持ちながらも、街乗りしやすいカジュアルな仕立てがユーザーニーズにマッチして大ヒットモデルに。オンロード性能を重視した現代的SUVの先駆けはBMW X5(1999年)だと言われているが、RAV4の先見性は大したものだ。
 だが、そんなRAV4もずっと順風満帆とはいかなかった。国外でのニーズを重視してグローバル化を進めた結果、日本市場では販売台数が減少。2013年に海外仕様が4代目に進化しても、日本では3代目を2016年まで継続して販売することになった。だが、最近のSUV市場の盛り上がりを受け、5代目の登場を機に日本再上陸となったわけだ。
 チーフエンジニアの佐伯氏のプレゼンテーションによれば、これまでのRAV4は使い勝手に優れる量販SUVとして進化してきたが、このままではライバルが増えてくるなかで埋没し、ひいてはSUVそのものがジャンルとしてユーザーから飽きられてしまうという危機感を覚えたのだという。そこで新型ではコンセプトそのものを刷新。「SUVとしての本物感とユーティリティで新しいことにチャレンジするアクティブな気持ちを呼び覚ますクルマをつくる」ことを使命とした。


逞しさを強調したスタイリング。イメージリーダーのAdvanceは専用デザイン

RAV4 Adventure

 そんな新型RAV4は、スタイリングからアクティブな雰囲気が漂っている。とくに、シリーズのイメージリーダーとなる「Adventure」はフロントマスクの多くを専用パーツとすることで、押し出し感を強調。19インチホイールや専用ボディカラーも相まって、なかなかの存在感だ。




充実した装備。「Toyota Safety Sense」やコネクティッド機能が標準


 一方でインテリアはシンプルで機能的な雰囲気。乗用車的な親しみやすさと、SUVのアクティブ感が上手にミックスされている。装備も充実していて、先進安全装備である「Toyota Safety Sense」とコネクティッドサービスは全車に標準装備される。
 試乗した「Adventure」はホワイトに近いグレーとオーキッドブランのコンビネーションで、物置の部分に使われたオレンジの差し色もなかなかに素敵。ゴージャスというよりも、すっきりとした若々しさのようなものを感じさせるテイストだ。ラゲッジスペースの空間効率も改善されている。後席に人が座れる状態で580Lの荷室容量はクラストップで、タイヤハウスの出っ張りも小さく抑えられていた。また、ラゲッジの床(デッキボード)は裏返しにして使うことも可能で、汚れや傷が心配なシーンに嬉しい。また、このデッキボードを下段にセットすると、周囲と段差は生じるものの、その分背の高い荷物を搭載することが可能だ。








エンジンはガソリンNAとハイブリッドの2本立て


 パワートレインは2Lガソリンと2.5Lハイブリッドの2本立て。ともに熱効率を追求した「ダイナミックフォース」と呼ばれる新世代のもので、とくに2Lガソリンエンジンは新開発で同じく新開発の「ダイレクトCVT」と組み合わせられる。「ダイレクトCVT」のポイントは発進用ギアが組み込まれていること。CVTは機構的に発進時の駆動ロスが大きく、もたつきが弱点となっている。そこで「ダイレクトCVT」では、発進時や低速高負荷時はギアを使い、そこからベルト駆動へと切り替えるという特別な機構を採用した。車体が重く、牽引など低速高負荷が想定されるSUVにふさわしいトランスミッションと言えるだろう。燃費(WLTCモード)は、ガソリン車が15.2km/Lで、HV車が20.6km/L。


Advanceのトルクベクタリング機能には操る楽しさを感じた

RAV4 Adventure

 今回の試乗では、一般道を使った試乗に加え、クローズドのオフロードコースを使ったプログラムも用意されていた。ひとつは走破性を試すもので、モーグルセクションにヒルクライム、ヒルダウンなどを組み合わせたコース。そしてもうひとつが、フラットダートを使った4WDシステムの特性チェックだった。
 というのも新型RAV4には3種類の4WDシステムが用意されているのだ。まず、オーソドックスな4WDシステムとなるのがガソリン車に採用される「ダイナミックコントロール4WD」。続いてハイブリッド車に採用されている後輪をモーターで駆動する「E-Four」。そして最後が「Adventure」に搭載される「ダイナミックトルクベクタリングAWD」だ。 「ダイナミックトルクベクタリングAWD」がわざわざ4WDではなくAWDと命名されている理由は、従来の4WD機構がスタック状態からの脱出や車両の安定にプライオリティを置いているのに対して、より運動性能を高めることを目指しているから。ポイントは、後輪に備わるふたつのカップリングで、これを作動させるにより後輪左右のトルク配分を0対100から100対0まで無段階で可変制御する。ブレーキ制御式によるトルクベクタリングではトルクを小さくすることはできても大きくすることはできなかったのに対して、この方式ならば、より大きなトルクを駆けることで積極的な姿勢コントロールが可能になるというわけだ。
 実際にフラットダート路でテストをしてみると、「E-Four」ではコーナー入り口で思い切りアクセルを踏み込むと、コースの外側にクルマがはらむような挙動が見られたのに対して、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」ではよりステアリング操作に忠実に、コンパクトに曲がることができた。VSCをカットした状態では、意図的にオーバーステアを出して後輪駆動のようにテールをスライドさせることだってできてしまう。別にテールを滑らせるような蛮勇を振るわずとも、アクセル操作でクルマの姿勢をコントロールする感覚は気持ちのいいもので、チーフエンジニアの「4WDを楽しんでもらいたい」というメッセージの意味がわかった気がした。


見た目はタフギアだが、扱いやすく運転しやすいのが美点

RAV4 ハイブリッドG

 一般道での試乗で印象的だったのが、人間の操作とクルマの動きとがしっかりとリンクしていたこと。重く大きなクルマは操作に対する応答遅れが気になるものだが、新型RAV4はドライバーのイメージと実際のクルマの動きとのズレが少なく動かしていて心地いい。これは「ダイレクトCVT」のおかげでもあるだろうし、ステアリングやサスペンションのセッティングがていねいに行われている証拠でもある。例えば制限速度まで加速したいというときに、このくらいだろうなとアクセルを操作したそのとおりに加速が行われる。ステアリングの手応えもそう。これは「Adventure」だけでなく、のちに試乗したハイブリッド車でも同じ感想を受けた。タフな見た目にも関わらず、運転の感覚は乗用車に近く、運転席からの見切りもよかった。これなら大型車の運転にあまり自信のない人や運転経験の少ないドライバーでも運転しやすいと感じるはずだ。


トヨタ RAV4 Adventure(CVT)

全長×全幅×全高 4610×1865×1690mm
ホイールベース 2690mm
トレッド前/後 1595/1615mm
車両重量 1630kg
エンジン 直4DOHC
総排気量 1986cc
最高出力 171ps/6600rpm
最大トルク 21.1kgm/4800rpm
サスペンション前/後 ストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 235/55R19