65年前のメルセデス・ベンツで「世界一美しいラリー」ミッレミリアへ参加した時のこと

残念ながらこれは私の車ではないが、美しいクラシックカーでミッレミリアに出場を果たすことができた。ブレシアからローマまで、そこからブレシアへと戻る1000マイルをこの1台で走り抜けたのだ。

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どの車が良いかとメルセデス・ベンツミュージアム(出場にあたって招待をもらった)から聞かれ、2,3秒でその答えを出した。私が選んだのは、1954年 W120 ポントン 180Dだ。ダイムラーのパワートレイン部門代表を務めるバーナード・ハイルと共に1000マイルを巡ることとなった。彼は、現代のディーゼルエンジンを生み出した父とも呼ばれる人物だ。

この車はあたたかく、屋根もあるために他の参加者からは羨ましがられたものだ。リミニに向けてブレシアを出発し、ミッレミリアでの策略を発見した。決して止まらないということだ。他の参加車に比べると、私達の車は低燃費で燃油に停まる回数が少なく済んだためにタイムを縮めることができたのだ。

2日目は、リミニからローマまで向かい、山道を走っているときに2つ目の策略を発見した。ポントンのパワーは50bhpほどでパワーのある車ではない。それに加えて、競っている中に多い、アロイボディのイタリアンバルケッタほど軽くもない。丘を越える時は勾配に合わせて2速か3速に入れ、トルクの限界をキープしておくことがコツなのだ。 それをすることで、無駄な労力を使わずに一定のスピードを保つことに成功した。大変だったのは、丘の途中でどうしても停まらなければいけなかった時だ。発進してからさっきまで走っていたスピードまで、また戻すのに時間がかかったものだ。

3日目は、一番楽しかった。ローマからパルマまで、トスカーナやシエナ、フローレンスなどを通り美しい道のりを楽しむことが出来たためだ。周りは素晴らしい車ばかりに囲まれているのだが、結局のところミッレミリアの醍醐味は、イタリアの風景を通過していけるということだと思う。たくさんの美しい風景や、忘れ去られた村なども通過した。

トスカーナの美味しい素材がふんだんに使われたサンドウィッチも堪能した。他のクラシックカーが通過していくのを横目にしながら、180Dのボンネットをテーブルにしてピクニックをしたのも思い出だ。

最終日は、パルマからブレシアへ向かい、途中ではモンツァ・サーキットにも立ち寄った。悲しい出来事が1つだけあった。180Dの鍵を返さなければならなかったことだ。その鼓動を止めることなく、すべての日程を終えてくれたこの車に感謝する。