レストアレベルでは済まない程度のフォードクラブを直す!

1950年式の「靴箱」フォードの最後の整備で、最初にすべきことはレストアというレベルではなく、なんとかしてこの野獣の様な車を公道仕様で、かつまともに走れるようにすることだけだった。そのために「靴箱」はハンプシャーのスペシャリストであるロイ・ピッターの店舗、ロッド&レストレーションズに預けられた。最初のタスクは、安全上の理由とロイの強い要望にもとづき、現代的で容易に入手可能な「ストリート・ロッド」用のものを使って配線を完全にやり直すことだった。
 
この車が輸入されてきたときには、全く似合っていなくて安っぽいBBS のレプリカホイールが付いていた。それは捨てて、代わりに「スティーリーズ」のセットを履かせた。オリジナルよりもワイドなリムで、太めのタイヤを入れるために十分オフセットしてカスタムビルドされている。しかも、低めにカットされたリアのアーチにも干渉しない。ホイールを換えると、いや応なくマスターシリンダーやスリーブシリンダーといったブレーキ部分も新調することになる。ヨーロッパのクラシックな車用の部品に比べると、アメリカのものはどれも気軽に安価で買える。ゴムのヒンジに
型押しした鉄板のようなものを付けただけの、あからさまに酷い出来のアクセルペダルも、新しくてもっと頑丈なものに交換した。
 
地面やもっと下からもこの車をじっくり見ていていろいろと決めた。サイドシルは交換した方が良いし、数枚のパネルはアメリカにオーダーしてうまく接合した。助手席側の足元スペースにあった小さい錆びの部分はカットして取り替えられた。室内フロアのコンクリートの様な防音材をこそげ落としていたら、自分の手がマメだらけになってしまっていた。まだ気になってはいないが、車内はうるさくなったかも知れない。でも、間違いなく何ポンドも軽くなったし、なによりホットロッドはうるさいくらいの方が良い。
 
身の程をわきまえず、私は前のレポートでエンジンは快調だと言った。イベントに合わせた修理完了の時期目標は果たせず、驚く程早く毎日が過ぎていった。漏れのあるキャブレター(2本のフェントン製マニホールドのうち1本)はスペシャリストのところへ急送され、突貫工事であっという間にリビルドされた。ふう、もう一息だ!と思ったが、最後の壁にぶち当たった。
 
ミスファイアが起き、シリンダーの一つの圧縮が足りなくなった。ラットヘッドエンジンの車のオーナーの面々に相談したら、ほぼ確実にピストンリングが原因だろうと言われた。私の場合は、エンジンの圧縮にも支障が出てしまった。仕方なく、イベントに出るという目標は断念した。