CPUクーラーはネジ回しにコツあり

次はCPUクーラーの取り付けだ。Ryzen 2000番台の製品は全モデルCPUクーラーが付属しているが、Socket AM4マザーに標準で付いているソケット周囲のリテンションフックは基本的に使わない(Ryzen 7 2700Xのみこのフックを利用する)。

まずは、ソケットの近くに2本あるプラスチック製フックだけを取り外し、ソケット裏側のプレートはそのままの状態にキープしておこう。Ryzen 5 2600Xに付属するCPUクーラーには4本の固定用ネジがあるが、このネジをリテンションフックを留めていたネジ穴に入れるのだ。

言葉で書くと簡単なようだが、実はここが地味に難しい。Ryzen付属クーラーのネジはバネが仕込まれているため、プラスドライバー(プラスの2番がオススメ)を通じて、ネジを穴に押しつける感じで回さないと、4本全部留めるのは難しい。この「ネジ穴がネジを噛む感じ」は自作PCをやってれば自然と体得できているはずなのだが、阿部氏はまだ思い出せないようだ。

まるで第一線を退いた刑事が拳銃を持った時の重さで弾切れを判断できなくなったかのように、阿部氏もネジを回す感覚をすっかり忘れている……。10年の時の流れはかくも残酷だ。

  • ネジ穴の位置をよく見れば、CPUクーラーの向きは2通りしかないことに気がつくはずだが、向きは好みでよい。4本のネジを占めていく順番は対角線状にするのがオススメ。1本だけを完全に締め込まず、4本均等に数段階に分けて締めていくと、CPUへ確実に密着するようになる

  • CPUクーラーのファンを回すための電源ケーブルをマザーに接続しておこう。今回使用した「B450 Steel Legend」の場合、メモリスロットのそば、外側のコネクタがそれだ。形状をよく観察すれば、コネクタは写真のようにキレイに収まる

メモリはスロット4本のうち、どれに挿す?

メモリ取り付けの流儀はCore 2 Duo時代から何ら変わらない。同容量のメモリ2枚を用意し、4本のスロットに1本ずつ飛ばして装着する。メモリの中央に切り欠きがあるが、これをメモリスロット内部にある仕切り板に合わせて上から垂直に押し込もう。

問題はメモリ2本挿しの場合、4本あるうちのどのスロットに埋めるかだが、答えはマニュアル、あるいはマザーに同梱されているペラ紙に書いてある。マニュアルに示されているメモリスロットの番号と、実際のメモリスロットとの対応が導き出せれば、この工程を突破するのは容易い。

  • まず見るべきはマザーのマニュアルだ。B450 Steel Legendに4本あるメモリスロットは、CPUソケットに近い方から順番に、A1/A2/B1/B2と名付けられていることがわかる

  • 次にメモリの装着パターンを見よう。グレーで囲まれたA1/A2/B1/B2の縦の列が各メモリスロットを、SR/DRと書かれた部分がメモリを挿す位置を示す。2枚装着する場合は「A2とB2」、つまりCPUソケットから一番遠いスロットに1枚、スロット1本飛ばして2枚目を装着すると書かれているのだ

  • メモリスロットの真ん中付近にある仕切り板と、メモリの切り欠きが合致するのが正しい向き。スロット両端のロックを外側に押し広げ、スロットの真上から垂直に下ろす作法は昔と変わらない。Core 2 Duo時代のDDR2がDDR4に変わっただけなのだ

  • CPUソケットから遠いスロットと、1本またいだスロットがペアになっている。ペアになるメモリスロットを同規格・同容量のメモリで埋めるのも昔と変わらない

SSD用のM.2スロットも、2基あるうちのどっち?

阿部氏が選択したSSDはM.2スロットに固定する板ガムのようなタイプ。2.5インチHDDのような形状のSSDもあるが、SATA用の電源とデータ用ケーブルを装着する手間がかかる。たかがケーブル2本に何を億劫がっているのか……と思うかもしれないが、今の自作PCは極力ケーブルを見せないのがトレンド。ケーブルがあれば断線や接続ミスもあり得る。その点M.2スロットに挿せばいいだけのSSDは確実性が高い、というわけだ。

今回使ったマザーボード、ASRockのB450 Steel Legendに限らず、M.2スロットを2系統持つSocket AM4マザーでは、どちらのM.2スロットにSSDを装着するかで性能が大きく変わる(M.2 NVMe SSDのみ)。詳しく説明すると、CPUに近いスロットはCPUに直結するPCI-Express 3.0バスに接続され、CPUから遠いスロットはチップセットに繋がるPCI-Express 2.0バスに接続される。どちらもPCI-Expressのレーン数はx4だが、データ転送性能は3.0の方が2倍高速だ。

B450 Steel Legendの場合、CPUに近い側のM.2スロットにはSSDの放熱をアシストするヒートシンクが付いている。高負荷をかけると発熱するNVMeをここに装着しろと言わんばかりの装備なので、ありがたく活用しよう。

  • CPUに近いM.2スロットには鉄板のようなヒートシンクが付いているので、これを一度外してから作業する。SSDは図のように水平に近い斜めの角度に持ち、まっすぐに挿入する。SSDの端にあるネジ用の窪みと、マザー側のネジ穴がうまく合致するまで押し込めばOKだ

  • ヒートシンクをSSDに付け戻す際は、ヒートシンクの裏面に貼られた熱伝導シートの保護フィルムを忘れずに剥しておこう。ヒートシンクのネジを回すには、精密ドライバーを使用する

【組立動画あり、ただしネタバレ注意!】
今回の組立手順をほぼ完全収録した動画をYouTubeに用意し、本記事の最終ページにおいても視聴可能としました。ただし、ネタバレ的な内容となっているため、本記事の面白さを満喫するのであれば、最終ページまで読み進めたうえで再生することを強く推奨します