Kofax Japanは5月16日、都内で記者説明会を開催した。説明会では米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏が出席し、インテリジェントオートメーション(IA)プラットフォーム「Kofax IA」を無料で提供するスターターパックを発表したほか、広島銀行における導入事例が紹介された。

Kofax IAは、文書などの非構造化データを構造化データに変換する「コグニティブキャプチャ」、ルールベースの複雑なタスクを自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」、RPAに欠けているエンドツーエンドのプロセスを補完する「プロセスオーケストレーション」、ダッシュボードで可視化する「高度な分析」、電子署名や顔認証、オンデマンド通信を利用した信頼性の高い通信・処理を行う「モビリティ&エンゲージメント」の5つの機能を有する。

  • 「Kofax IA」の概要

    「Kofax IA」の概要

ハフ氏は「5つの機能は相互運用性が極めて高く、1つのプラットフォーム盛り込むことができたのは、これらの機能を持つ企業を買収してきたからだ。その上で、われわれのプラットフォームに組み込み、相互運用性を高めてきた。今回、7月中旬からエンタープライズ、SMB向けにスターターバックのプロダクションライセンスを既存ユーザーに無料提供を開始する」と、述べた。同氏は、企業の課題として生産性と企業内での連携、ビジネス価値の向上を挙げており、これを解決するためには最新の統合自動化ソリューションが必要であり、Kofax IAは実現が可能だという。

  • 米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏

    米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏

ハフ氏は「従来は個別にキャプチャからBPM、RPA、CCM、eシグネチャと個別のソリューションを導入する必要があった。Kofax IAによる最大の差別化要因は、単一プラットフォームでエンドツーエンドの自動化を提供する点にある」と、強調する。

一方、マーケットプレイスの提供も開始する。これはモバイルのアプリストアに近いURLベースのオンラインストアであり、625のグローバルパートナー、2万5000異常の顧客と200のKofaxコンサルタントの基盤によるIPを提供する。

  • マーケットプレイスの概要

    マーケットプレイスの概要

広島銀行におけるRPA活用

続いて、広島銀行 デジタル戦略部 デジタル戦略室 担当部長の矢吹一真氏が同行におけるRPAにの取り組みついて説明した。

矢吹氏は「われわれの働き方改革プロジェクトは、徹底した“レス化”による効率化を図り、時間を最大限有効活用し、付加価値の高いサービスを提供することを掲げており、その中の重要な施策のうちの1つがRPAだ」と、説明する。

  • 広島銀行 デジタル戦略部 デジタル戦略室 担当部長の矢吹一真氏

    広島銀行 デジタル戦略部 デジタル戦略室 担当部長の矢吹一真氏

まず、同行では口座開設者に対してポイントを登録する業務(トータルポイントサービス登録)のRPA化に着手し、これまでは口座開設手続き後に、手作業で行っていた口座開設データ抽出、トータルポイントサービス登録、登録件数確認をKofax RPAにより、1日20分、年間80時間削減したという。

  • ポイントを登録する業務をRPA化

    ポイントを登録する業務をRPA化

今後のロードマップとして、①11月までに一次フェーズ開発業務(人員削減目的の33業務)の開発完了、②2019年下期からは一次フェーズ開発業務の保守・運用の継続実施、③KPI拡張による横展開(300業務)、④RPA定義拡張による横展開(OCR連携など)、⑤2020年度から一部非定型業務をはじめとした第二段階、自立型AI連携などの第三段階に対象を拡張していく。

  • 今後のロードマップ

    今後のロードマップ

一次フェーズでRPA化を想定している業務は、ローン事務集中部門で8業務、営業事務集中部門が2業務、外為事務集中部門が5業務、監査部門が18業務となり、計約2万時間の削減を目指す方針だ。

  • 一次フェーズでRPA化を想定している業務の概要

    一次フェーズでRPA化を想定している業務の概要

矢吹氏は「実施時期、規模としても必ずしも先行企業ではないが、地方銀行として少ないリソースでRPAのPDCAサイクルを回し、ガバナンスを効かせていくことを重点に置いている」と、説明していた。