渡辺恒也氏

――大変個人的なことを伺いますが(笑)、渡辺さんは82年生まれの熊本出身で、僕も同郷で83年生まれなんです。同じ時代の同じ場所で育ったので、どんなテレビを見てこられたのかなと気になりまして…。

僕は中学と高校は親元を離れて鹿児島にいたので、実は一番テレビを見てた多感な時期というのは熊本じゃなく鹿児島でテレビを見ていたんです(笑)。その頃は寮と下宿だったので自分のテレビがなかったんですよ。もう時効だと思うので言いますが(笑)、当時下宿ではテレビが禁止だったんですけど、近くに電気量販店がオープンした時に、学校をサボってそこに並んで中古のテレビデオを買って来て、そこに先輩から譲り受けたアンテナを上につけて…。でも先生が時々見回りに来るので、すぐ隠せるようにテレビをロッカーの中に入れて見てました(笑)。

あと、門限が8時で外に出られないんですよ。そうするとやることと言ったらテレビ見ることしかないんです。だからその時が人生の中で一番テレビを見てました(笑)。ドラマをとにかく見てて、テレビ雑誌を毎週買って隅々まで読んでたんです。外に出られないから暇で(笑)。そういう風にしてるうちに、次のクールの新ドラマ情報を見ると、キャストとかも見るんですけど、スタッフのプロデューサーの名前とかも見るようになって、今度TBSは植田(博樹)さんがやるんだとか、フジテレビは大多(亮)さんなんだとか(笑)。そうなったきっかけは『ケイゾク』(99年、TBS)なんです。

――やっぱり同じ世代ですね! そうすると、今回のような刑事ドラマをやるのは、ひと際うれしいという気持ちもあるんですか?

17年にやった『警視庁いきもの係』はまさにそれで、主演の渡部篤郎さんに最初に会ったときは恥ずかしくて口が聞けなくて…「真山だ!」と心の中で思ったりして(笑)

――『警視庁いきもの係』の小ネタで遊ぶ感じとか、今回の『ストロベリーナイト・サーガ』のダークな世界観は、『ケイゾク』に通じる部分があるような気もします。

本当の原点はそこにあるのかもしれませんね(笑)。だから、本当にあそこまで攻めたものをやりたいですね。

――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、今後の見どころを教えてください。映像化されていない新しいエピソードも展開されると思います。

5月16日に放送される第6話は「夢の中」と「闇の色」という「インデックス」という短編集の中で続きになっている話を1つにまとめているんですけど、これは1度も映像化されていない本当の意味での新作になっているので、より注目して見ていただきたいです。

――原作ファンにとっての見どころはありますか?

原作とは違うキャラクターのエピソードとかも絡めて展開していくので、連続ドラマとしての仕掛けみたいなものを見つけていってもらえるといいなと思います。

●渡辺恒也
1982年生まれ、熊本県出身。東京大学卒業後、05年にフジテレビジョン入社。以来ドラマ制作セクションで『HERO』(第2シリーズ)、『救命病棟24時』(第5シリーズ)、『医龍 Team Medical Dragon3』などをプロデュース。16年に編成部へ異動し、『サザエさん』『警視庁いきもの係』『海月姫』『黒井戸殺し』『ストロベリーナイト・サーガ』などを担当。