AmazonとGoogleが音楽を無料化、Spotifyに影響か?

Spotifyの無料会員は、音楽業界で最も議論を呼んだことの一つだ。そしてスウェーデンにある同社の一番の強みでもある。無料ストリーミングサービスの出現によってSpotifyを悩ませる理由とは?

Spotifyは、”フリーニアム”モデルを提供し、確立した企業だ:YouTubeや違法サイトによって、様々な音楽が無料でアクセスできるようになっている昨今、Spotifyが自身の仕組みを繁栄させるためには、それらと同レベルのサービスを無料で提供する必要があった。そしてこれは、アーティストや業界には良いニュースと言えるが、Spotifyの”フリー”ユーザーは広告を聴くだけでなく、 月額$9.99(日本では980円)会員の有力候補である。

ある統計では、 多くのメジャーレーベルは、常に音楽の無料サービスのコンセプトを嫌っているとはいえ、Spotifyの広告会員のライセンスを継続している理由を明らかにしている。60%のSpotifyプレミアム会員は、”フリー”ユーザー会員を経て、有料会員に登録しているのだ。SpotifyのR&D最高責任者、グスタヴ・ソダーストロム氏は昨年、 フリー会員について「私たちが何十億ものファンをプラットフォームに迎え入れ、音楽業界を、自分たちの考える”あるべき姿”へと導く唯一の方法」と語っている。

しかしながら、無料サービスを提供するSpotifyは、今、いくつかの問題に直面している。例えばApple (このプラットフォームでは、無料会員という括りがない) は、Spotifyの広告システムが、今日のスターの評価を落とすのではないか、と異論を示すだろう。またアーティストを支持するファンは、Spotifyの収入のうち10分の1は広告によるものだ、と指摘する(10分の9の収入は、プレミアム会員によるものだ)— すると、フリー会員は1ストリームあたりの平均収入を下げていることになる。

フリーミュージックに関して様々な見解があるが、一つだけはっきりしていることがある。Spotifyは、音楽ストリーミングに関して、広告を勝ち取ることこそが、売り上げに必要なことであると考えている。どのサービスも数百万以上のトラックを配信し、そのいずれも、一歩抜きん出るための要素を持ち合わせている。これについて、Spotifyのプレミアムビジネスのトップであるアレックス・ノードストローム氏は、昨年の3月、投資家向けにこう説明をしている。 「我々のフリーミニアムモデルは、重要な差別化要因です」さらに、「他の競合他社は、我々のように無料商品を提供していません」と続けた。

実はこの事実は今、変化しつつある。Amazonはつい先日、Alexaが使用できるEchoスピーカーのユーザー限定で、無料音楽サービスをスタートしたばかりだ。Googleに関しても、同じサービスをスタートした。お金を払う必要のない、音声認識によるストリーミングサービスが、Googleのホームデバイスによって可能になったのである。


これらの音楽サービスは、タッチスクリーンによる操作はできないし、両方とも限定された過去の楽曲のみ視聴可能、という内容になっている。昨年のアップグレードのおかげで、Spotifyの無料サービスはもう少しインタラクティブだ — AmazonとGoogleの両プラットフォームに関しては、再生できる楽曲に制限がある(例えば、特定の楽曲のリクエストはできないが、特定のアーティストの情報を元に音楽セレクションや、ラジオステーションをリクエストすることはできる)。

CIRPのリサーチによると、今年の2月の時点で、全米ではおよそ6600万の世帯がスマートスピーカーを自宅に設置している。また同社は、Amazonがそのうち70%のシェアを保持しており、USだけで4600万ものEchoスピーカーが使用されていると言う統計を出した。AmazonとGoogleによる両無料音楽サービスは、彼らのスマートスピーカー購入者が、Spotifyをダウンロードしなくなる一因となるかもしれない — さらに、彼らのハードウェアを売る大きな機会にもなる。両無料音楽サービスの、広告によって収益を生み出そうとする野望は、おそらくSpotifyにとって厄介な存在になってくるのは間違いないと言えるだろう。

Alphabet/Google社 は昨年、広告収入による326億ドル以上の売り上げを発表。広告事業が他の事業に比べると、まだ伸び代があるAmazonでも、100億ドルの広告収入、およびそれに付随するサービスからの収入があった。両サービスは、Spotifyの12ヶ月分の広告収入の規模の小ささを物語る。Spotifyの広告収入は、5億4200万ユーロ(6億4000ドル)であり、Amazonの16分の1、Googleの50分の1に過ぎなかった。

AmazonとGoogleは今、数十億規模のビジネスである広告事業に大きく力を入れていて、音楽関連の広告にも手を広げており、これはSpotifyにとって痛手にも成りえる。彼らは広告主に対して — 見事な技術チームの競争力よりも — よっぽど音楽関連で、マーケティングのお金をかけたくなるような、強力なコンテンツを提供している。