友人だったヴァニティ・フェア誌の元編集者が語る「ソーホーの詐欺師」の手口

ホテルや飲食店で何十万ドル相当の詐欺を働いた罪に問われている「ソーホーの詐欺師」こと、アナ・デルヴィー(本名アナ・ソロキン)。米ヴァニティ・フェア誌の元フォトエディター、レイチェル・デローチ・ウィリアムズ氏がアメリカ時間17日と18日におこなわれた裁判に証人として出廷。デルヴィー被告とのモロッコでの2人旅の旅費をだまし取られた経緯を明らかにした。

ウィリアムズ氏は感極まりながら、デルヴィー被告との関係がもたらした結末を振り返った。「今までの経験でもっとも精神的にショックな出来事です」と、涙ながらに語った。「アナと出会わなければよかった。もし昔に戻ってやり直せるなら、そうしたい。こんなことは誰の身にも起きてほしくありません」

ウィリアムズ氏はデルヴィー被告と出会ったいきさつを検察側に語った。2016年2月、ナイトクラブで会ったのがきっかけで親しくなり、被告が滞在していたハワード通り11番地のホテルの部屋を訪ねていたという。

2017年5月、ウィリアムズ氏はデルヴィー被告に付き添ってモロッコ旅行へ出発し、マラケシュにある1泊7000ドルの高級リゾートホテル、ラ・マムーニアに滞在。自称「ドイツの令嬢」を名乗っていたデルヴィー被告が、2人分の旅費を払ってくれると思っていたとウィリアムズ氏は語る。「彼女が行くと言っていた場所は、世界屈指のラグジュアリーホテルでした。それで私は、彼女が旅費を払ってくれるのだなと思いました」

到着から数日後、ホテルのスタッフが客室を訪れ、デルヴィー被告に支払いを請求。被告は自分のクレジットカードに問題があるので、後日返金するから6万2000ドルの滞在費を立て替えてほしい、と依頼した。ウィリアムズ氏は同意し、個人のクレジットカードと勤務先のコンデナスト社の法人カードで半分ずつ支払いを済ませた。

ウィリアムズ氏はその後何カ月もデルヴィー被告に返済を要求。家賃や生活費が支払えなくなると言った。「いますぐどうにかして! 家賃が払えないのよ!!!!!!!!  だからこんなに焦ってるの!!!!!!!!」という携帯メッセージをソロキンに送ったと証言した。デルヴィー被告は「問題があって今は返済できない」と繰り返した。困ったウィリアムズ氏はチャイナタウンの警察に通報したが、警部補から「顔写真付きでGoFundMeにページを立ち上げて、元を取り返せばいい」と言われた、と証言した。被告からだまされたウィリアムズ氏は金銭的に窮地に追い込まれ、友人や家族から借金をしなくてはならなかったと語った。


昨年、ウィリアムズ氏はデルヴィー被告との関係を記事にして、当時勤めていたヴァニティ・フェア誌に掲載。手記の報酬は1200ドル程度だった(ウィリアムズ氏は2019年2月、同社のレイオフで失業している)。

ウィリアムズ氏は、ヴァニティ・フェア誌の記事が公開された後、2人のエージェントから打診があったとも証言した。そのうち1人は、3万5000ドルで記事をHBOで番組化しないかと持ち掛け、もう1人はSimon & Schuster社から本を出す出版権として約30万ドルを提示した。デルヴィー被告の弁護士は反対尋問で、ウィリアムズ氏が金儲けのために被告との関係を利用する日和見主義者だと位置づけようとしたが、ウィリアムズ氏はこれをきっぱり否定した。「この裁判や私の証言が、自分が得をするための策略だと思われたくありませんでした。なぜなら、事実ではないからです」と言い、さらにこう付け加えた。「これは見世物じゃありません。法と秩序、そして犯罪の問題です。私が経験した精神的ダメージをお話ししているのです」

デルヴィー被告は重窃盗、重窃盗未遂、および利益窃盗の罪で起訴されており、有罪判決が出れば禁固15年。いずれにせよ、ビザの有効期限が切れているため、ドイツに強制送還となる。