NECは3月29日、NTTドコモ・前橋市・ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構・前橋赤十字病院・前橋市消防局・前橋工科大学が実施した5Gを活用した救急搬送高度化ソリューションの実証試験に、28GHz帯5G基地局および5G移動局で構成された無線環境の構築を通して参画したと発表した。

同試験は、NTTドコモを実施主体として2月15日に前橋市役所周辺で実施。今回、前橋市消防局と前橋赤十字病院を中心に作成した試験シナリオは、5Gを活用した動画配信と前橋工科大学が開発した現時点においては4Gを活用する救急搬送支援システム(かかりつけ医、緊急連絡先、既往歴、現病歴、投薬情報等の患者情報を取得するシステム)を連携させて、交通事故に遭った患者の救急搬送を行うことを想定したものとなる。

  • 実証試験の5G活用部分のイメージ

    実証試験の5G活用部分のイメージ

NECはシナリオに基づき救急指定病院に見立てた前橋市役所12階に5G基地局、救急車・ドクターカーにそれぞれ5G移動局を設置し、5Gを用いた高速・大容量の通信路を構築した。具体的には、救急車が患者を搬送してドクターカーとのドッキングポイントに急行する間、まず救急搬送支援システムから得られた患者情報を、4Gを介してドクターカー・救急指定病院に伝送し、患者情報を共有。

次いで、患者の映像や血圧・心拍数のグラフなどの診断用の高精細映像をパッキングした4K映像を、5Gを介してドクターカー・救急指定病院に伝送し、ドクターカーの救急救命医・救急指定病院の医師とリアルタイムに共有した。これにより、ドクターカー・救急指定病院の医師からの指示に基づいた適切な処置を搬送中に施すことが可能だという。

  • 実証試験の5G活用部分のイメージ

    救急車に設置した5G移動局アンテナ

これまで救急搬送中における情報共有は音声データが中心だったが、5Gを活用することで高精細映像でさまざまな情報を共有することが可能となり、搬送時間を有効活用し、適切な処置を行うまでの時間を短縮することで、救命率の向上が期待されている。

NECが今回提供した28GHz帯5G基地局は、同試験において700MHzの帯域幅を使用し、下り伝送速度740Mbps、上り伝送速度240Mbpsを実現。これにより、同試験のように複数の高精細映像を複数の移動局から同時に伝送することができるほか、5G基地局と5G移動局の両方に搭載したビームフォーミング機能およびビーム追従機能により、移動環境においても安定した5G通信を実現することができたという。

同社は今後もネットワークの高速・大容量・低遅延を実現する基地局システムの開発を進め、5G技術の実用化を目指すとともに、今回の救急搬送高度化ソリューションのように5Gを活用した新たなサービスやビジネスの創出を目指し、通信事業者やパートナーとの共創にも取り組む考えだ。

なお、同試験はNTTドコモが実施主体となり、総務省から請け負った平成30年度5G総合実証試験「屋外において平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」として実施した。