あなたは自らの成功を「運」のおかげだと思いますか? 「努力」のおかげだと思いますか? 成功、失敗をどうとらえるかで、その後の成長の可能性が大きく変わるかもしれないのです。

◆「ラグビーに奇跡はない」の言葉が示す意味とは?
入試、就活、試合など、人生にはたくさんの「勝負」の瞬間が訪れます。その結果の原因をどう捉えるかによって、その後の成長が180度変わるかもしれないことを、ご存知ですか?

勝利を勝ち取った人は、よく「いやぁ、まぐれだよ」「運がよかっただけ」などと口にします。多くは謙遜して言っているのかもしれませんが、もし本気でそう思っているとしたら、その人のその後の成長は危ういかもしれません。

たとえば、2015年のラグビーW杯で、弱小と言われていた日本チームが世界の強豪南アフリカに勝利した試合。これを見て日本中が「奇跡の勝利」と歓喜しましたが、日本代表の五郎丸歩選手は「奇跡じゃなく必然です。ラグビーに奇跡なんてありません」と断言しました。

名将エディー・ジョーンズヘッドコーチの元、3年半もの間「世界一厳しい練習」を積んできた日本代表選手たち。そんな彼らは、自分たちの努力の結果、「必ず南アに勝てる」と確信していたのだそうです。

このように、相当の努力を積んで勝利を勝ち取った人は、めったに「運」や「奇跡」を口にしないものです。

◆成功者は、成功・失敗の原因をどう捉えているか?
社会心理学者のワイナーは、人が成功、または失敗したとき、推論した原因の内容によって、その後の達成動機が変わることを「成功・失敗の原因帰属」の理論で説明しました。

その理論によると、達成動機が高い人は、成功は継続的努力の成果であり、失敗は努力が一時的であったからだと考えます。そして、努力という成功・失敗の原因は自分自身にあり、セルフコントロールが可能なものであると考えます。

つまり、成功も失敗も自分自身が生みだすものであり、自分の力でコントロールできる。成功したのは、一貫して安定的に努力したからであり、失敗したのは、その努力が一貫せず、不安定だったから。したがって、「努力を継続すれば、再び成功できる」という達成動機をもち続けられるのです。

◆「成功は運によるもの」と考える人の思考パターンとは?
では、達成動機が低い人は、どのように考えるのでしょう?

ワイナーの「成功・失敗の原因帰属」理論によると、達成動機が低い人は、成功は「運」によるものだと考え、失敗は「才能の差」によるものだと考えます。運は外的なものであり、それらは一貫性がなく不安定であるため、セルフコントロールが不可能です。一方、才能の高低は生まれつきの特性であるため、これもまたセルフコントロールが不可能です。

つまり、達成動機が低い人は、成功してもそれを「運のおかげ」だと感じ、努力ではどうにもならないものだと感じるため、「努力を続けて、次も成功しよう」という意志をもちにくくなります。すると努力を怠り、現実に失敗してしまいますが、その失敗は「才能がないせい」だと捉え、「才能の高低は努力してもどうにもならない」と考えてしまうので、ますます達成動機が低くなり、成功への道が遠のいてしまうのです。

◆がむしゃらに努力して「努力の効果」を体感してみよう
このように、成功・失敗の原因の捉え方ひとつで、その後の成長は変わってしまいます。もし、日本ラグビー代表の五郎丸選手が、南ア勝利後のインタビューで「運が良かった」などと口走っていたら、誰も日本チームの実力を信じられなかったでしょう。相当の努力をしている人は、そもそも成功を「運」のせいだとは思わないのです。

「運」をよく口にする人は、自分は十分に努力しているだろうかと振り返ってみましょう。成功を運だと感じるのは、努力がもたらす成功への効果を、まだ十分に実感できていないからではないでしょうか? 一度、がむしゃらに努力して成功をつかみ、成功後もさらに努力を継続してみませんか? 「努力の効果」を体感すると、「運」を気にする自分の傾向が変わっていくかもしれません。

文=大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)