快適な空の旅を提案するスターフライヤーは3月25日、気づかないうちに疲れが溜まる"出張バテ"を軽減できるビジネススーツ「+FLOW」を発表した。メンズファッションブランドjunhashimotoとコラボしたもので、遠赤外線で血流を良くするメディカーボン(植物性炭素繊維)が使われている。限定100着で、販売価格は税別9万円。

  • スターフライヤー、出張バテを軽減できるスーツ「+FLOW」とは?

    スターフライヤーが、ビジネススーツ「+FLOW」を発表

+FLOWとは?

+FLOWは、出張に忙しい30~50代の社会人を対象にしたビジネススーツ。ストレッチ性に優れたjunhashimotoオリジナル素材「ソフトマットテック」を採用し、背裏や脇に、自然発生する赤外線で身体を芯から温めるメディカーボンを挿入できるポケットを備えている。サイズはM/L/LLで、カラーはブラックとグレーの2色を用意した。3月下旬より受注会を開催し、4月下旬よりjunhashimotoの各店舗で販売を開始する予定。

  • カラーはブラックとグレーの2色を用意。4月下旬より店舗で販売する

なぜ、航空会社がビジネススーツを展開するのか。その理由について、スターフライヤー代表取締役 社長執行役員の松石禎己氏は『認知度の向上』を挙げた。「北九州では知名度が高い弊社ですが、関東ではまだ、何をしている会社かと聞かれることがある。様々な業種とコラボすることで、お客様とのタッチポイントを増やしていけたら」。

  • スターフライヤー代表取締役 社長執行役員の松石禎己氏

これまでも、ゴジラやEXILEなどと組んだユニークなメディア広告を打ってきた。営業本部の遠藤岳春氏は「飛行機が好きな人以外にも、スターフライヤーを知って欲しいという思いがあります。人気アーティストとコラボしたケースでは、特設ページのアクセス数が通常時の20倍に跳ね上がるなど、目に見える形で効果が出ています」と強調する。

  • スターフライヤー営業本部マーケティング部の遠藤岳春氏

当初は機内で使うブランケットの開発を検討したが、航空機の備品に許される基準はクリアが厳しく、議論の末にビジネススーツに落ち着いた。「長時間、同じ姿勢でいると血流が悪くなります。出張における疲れの原因も、そこに起因する部分が大きいそう。そこで、着ているだけで身体が温まり、疲れを軽減できるスーツにしました」(遠藤氏)。もっとも、+FLOWでビジネスをする考えはないという。販売数は限定100着のみで、女性モノは用意しない。なお"出張バテ"は同社による造語とのことだが、日常的に出張を経験しているビジネスパーソンなら、その意味するところは明確に分かるだろう。

  • 背裏や脇に、メディカーボンを挿入できるポケットを備える

  • 実証実験では、明らかな効果が確認された

もとはメディカル素材

Jun hashimotoチーフデザイナーの橋本淳氏は「ハイテク素材を採用しつつも、伝統的なスーツとして仕上げました。機能とデザインの両立が難しかった」と開発の苦労を明かす。メディカーボンを入れた状態でも膨らんで見えないよう工夫を重ねたようだ。スーツ製作会社シタテルの河野秀和氏は「スーツを仕立てるときに、どんな生地素材を使うかは重要なテーマになる。メディカーボンにたどり着けたのが大きかった」。

開発を監修したRESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックの白濱龍太郎氏は「メディカーボンは、もともと一般医療機器のために開発された新しい素材。例えば、温熱治療用のアイマスクにも用いられています」と解説する。締め付けられる感覚のあるスーツだが、そこを逆に利用している、と評価した。

  • 左からスターフライヤーの遠藤氏、Jun hashimotoチーフデザイナーの橋本淳氏、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長の白濱龍太郎氏、シタテル代表取締役CEOの河野秀和氏

スターフライヤーでは航空機のサービスにおいて、全便・全席革張りシートで座席が広く、全席モニターと電源付きという点を差別化要素としている。同社では、それを「スマート ラグジュアリー」というキーワードで訴求するが、遠藤氏は「分かりやすく言えば、移動中にいかに快適に過ごしてもらうか、ということ。そういった意味では、+FLOWも広い意味で、スマートラグジュアリーを実現するスーツと言えそうです」と話していた。