行動経済学者であるキース・チェン氏によると、「未来時制のない言語を使っている人ほど、貯金をしている」のだとか。

◆未来時制のない言語を使っている人ほど、貯金をしている?
行動経済学者であるキース・チェン氏が、興味深い講義をアップしています。彼によると、「未来時制のない言語を使っている人ほど、貯金をしている」のだとか。

たとえば、日本語には未来時制がありません。日本語では、今日の話をするときと明日の話をするときで、文法は変わりません。「今日、やります」「明日、やります」のように、同じように表現できます。

こんな話をすると、「じゃあ、日本人はもともと貯金をしやすいんだね! 安心だね!」という声が聞こえてきそうです。たしかに、それはそうなのですが、大事な話はここからです。

キース・チェン氏は、この研究の考察として、「未来のことを現在のことと近いものと認識している人ほど、お金を貯めやすい傾向があるのではないか?」と結びました。

◆あなたはキリギリス? それともアリ?
この話の説明としては、アリとキリギリスの寓話(The Ant and the Grasshopper)が良い例だと思います。キリギリスは夏の間、バイオリンを弾き、歌を歌って楽しく過ごします。その間、アリは、厳しい冬に備えて食料を蓄えるのです。

冬が訪れると、当たり前のことながら、キリギリスは食料を失います。途方に暮れたキリギリスは、アリに助けを乞いますが、アリに「夏には歌っていたのだから、冬には踊ったらどうだい?」と拒絶され、そのまま息絶えてしまいます。

世の中には、キリギリスのように生きる人がたくさんいます。彼らは、未来を遠いものだとして解釈します。10年先、20年先の将来を、「まだまだ先だ」と解釈し、遊び呆けてしまうのです。この生活方式は、まさにキリギリスそのものですね。

一方、アリのように生きる人もいます。彼らは、未来を近いものだとして解釈します。10年先、20年先の将来を「もうすぐ来る!」と解釈し、熱心に働き、節制するのです。そのおかげで、厳しい冬が訪れたときも、温かい暮らしを守ることができます。

◆キリギリスがアリになるためには?
経済協力開発機構(OECD、Organization for Economic Cooperation and Development)の調査(2)によると、日本の貯蓄率は毎年のように低下しています。

1970年、日本の貯蓄率はGDPの20%ありました。しかし、2016年、日本の貯蓄率はGDPの5%にまで下がりました。このデータから読み取れるのは、アリが減っていて、キリギリスが増えているということでしょう。

これからの世の中では年金も当てになりませんから、貯金が減っているのは由々しき事態です。では、どうすれば、キリギリスのような生き方をしている人が、アリのような生き方へと生まれ変わることができるのでしょうか?

キース・チェン氏の考察が正しいとすれば、私達は「未来のことを近いものだと感じることで、積極的に貯金できる」のだと、私は考えています。だから、第一に大切なこととしては、将来設計のために時間を割き、計画を立ててみることだと思います。

◆将来設計アイデア1:タイムスリップ法
ちなみに、将来設計が苦手な私が「タイムスリップ法」と呼んでいる方法がオススメです。具体的なやり方としては、「自分がこのまま、とつぜん◯歳になったらどうなる?」ということを考えます。

たとえば、老後資金について考えたい場合は、「自分が今のまま70歳になったら、どんなことに困るだろうか?」ということを考えます。すると、「生活資金が無いから、働かなきゃいけない」「でも、今の自分のようには働けないから、収入が減ってしまう」「けっこう、ジリ貧な生活になりそうだな……」といったことが想像できるようになります。

このようにして、今すぐやめるべき悪い習慣や、新しく始めるべき良い習慣などをあぶり出していきましょう。

◆将来設計アイデア2:未来の自分からの手紙
他にも、スタンフォードの心理学者ケリー・マクゴニガル氏が推奨する方法として、「未来の自分になりきってみて、今の自分に対して手紙を書いてみる」という方法があります。

この方法では、理想的な生活を送っている未来の自分が、今の自分に対して「あなたが◯◯や△△を頑張ってくれたおかげで幸せに暮らせています。ありがとう」という手紙を書いてみます。未来の自分になりきったつもりで、今の自分に感謝を伝えるということですね。

この方法には二重の効用があります。1つ目は、自分の理想像を明確にした上で、将来設計ができるという点です。もう1つは、「感謝の気持ち」を呼び起こすという点です。感謝の気持ちは、そのものに貯金を増やす効果もあります。ですから、そういった点でも優れた手法だと思います。

◆「何をすべきか?」を明確に
もちろん、「計画をすれば、それで何でもうまくいく」なんてことはありません。結局、実践が伴わなければ、計画をしたところで意味がありません。きちんと実践へ移すためには、「具体性を高めるのがよい」なんて話もありますから、このあたりを意識しつつ、楽しく将来設計できるとよいですね。

●参考文献:お金が貯まる人は、貯まらない人と使う言葉が違う?(https://allabout.co.jp/gm/gc/476646/)記事下段に記載

文=中原 良太(マネーガイド)