少数民族の長老(シャーマン)が同行

『世界遺産』(TBS系、毎週日曜18:00~)では、4月7日と14日の2週にわたり「地球最後の秘境」と言われているチリビケテ国立公園(コロンビア)を紹介する。

チリビケテ国立公園はコロンビアの南東部、アマゾン河流域に位置する同国最大の国立公園。広さは四国の1.5倍にあたる。昨年、自然遺産と文化遺産の両方で世界遺産に登録された複合遺産だ。この一帯はつい最近まで反政府ゲリラの拠点となっており、危険なため撮影不可能だった。また、それ以前から、この一帯は一般人の立ち入りを禁止している。実はこの公園内では、非接触民と呼ばれる文明と隔絶した生活を送る人々が暮らしている。彼らが外の世界と接触しないですむよう保護するために、立ち入りが禁じられているのだ。

こうした事情から、チリビケテ国立公園はほとんど調査が行われておらず、まさに「地球最後の秘境」と呼ぶにふさわしい。番組は5か月かけて撮影交渉し、4回断られたが、観光向け旅番組ではないこと、ユネスコの推薦を受けていることから、非接触民と霊的に交信ができる少数民族の長老(シャーマン)が同行することを条件に、特別に撮影許可が下りた。チリビケテ国立公園の撮影に成功したのは日本のテレビ番組では初であり、世界遺産登録後としては世界初となる。

壮大な景観をつくっているのは、ジャングルにそびえ立つ砂岩の台地・テーブルマウンテン(卓状山地)。頂上がテーブルのように広く、山の周囲は高さ300mから500mの断崖となっている。あまりにも急峻で登山ルートもないため、撮影隊はヘリコプターで移動。さらに、周囲の少数民族にとっては聖なる山なので、撮影には彼ら少数民族の長老(シャーマン)が同行する。シャーマンは霊的に非接触民や山の精霊と交信し、撮影の許しを得ることができるので、トラブルを避けられるのだ。

公園の大きな特徴のひとつである、森林に点在するテーブルマウンテン。その劇的な景観は、奥地にありアクセス至難であることから、より一層印象深いものとなっている。先住民が書き残した古い岩絵が断崖に遺されており、古いものは約1万2千年前に描かれたものだといい、かつて アメリカ大陸に渡った人類の中でも最古の痕跡の可能性がある。岩絵の数は7万5千枚を超え、テーブルマウンテンの麓周りの60の岩陰遺跡の壁に見られる。権力と豊饒の象徴であるジャガーの崇拝と結びついていると信じられているこの絵は、狩猟の場、戦い、踊り、儀式の様子を描いている。遺跡内に定住しない先住民のコミュニティは、その地域を神聖なものと考えている。

希有な自然景観と、きわめて古く貴重な人類の記録を併せ持つチリビケテ国立公園。世界でも珍しいこの地の様子を、大迫力の空撮映像も交えながらたっぷり伝える。