プラネタリウムと声優による朗読劇のコラボレーションが楽しめるイベント「ほし×こえ」の府中公演が2月2・3日、東京・府中市郷土の森博物館プラネタリウムで開催された。出演は安元洋貴、小野友樹。今回は、3日1部の公演の模様をお届けする。

  • 「ほし×こえ」府中公演

「ほし×こえ」は、AIR AGENCYの代表を務める、声優の藤原啓治がプロデュースする朗読劇公演。プラネタリウムならではの演出で、星空と共に人気声優達の朗読劇が楽しめる。これまでに全国各地で公演が行われ、多くの観客を動員してきた。

今回の府中で行われた公演は、これまで何度も「ほし×こえ」に登場してきた安元洋貴と、初登場の小野友樹が出演。ふたりは、朗読劇「アルビレオ」を熱演した。

「アルビレオ」とは、はくちょう座のくちばしに輝く二重星の名前。黄色い星と青みがかった星が寄り沿っているように見える、まるで兄弟のような星だ。安元が演じるスバルと、小野演じるミツルも兄弟。朗読劇はそんな兄と弟が3年ぶりの再会を果たすことから幕を開ける。

弟のミツルは、兄のスバルの職場を訪ねてやって来た。スバルはプラネタリウムの解説員だ。劇の序盤では、スバルの仕事の様子が描かれ、彼の解説による星空投映が行われた。観客としては、朗読劇を楽しんでいたらいつのまにかプラネタリウムを楽しんでいる、という不思議な時間だ。安元の癒しの低音ボイスによる、冬の大三角の解説は貴重で、なんとも贅沢な気分になれる。スバルはタイトルであるアルビレオについても解説。ドームには鮮やかな拡大写真が投映された。

ミツルは、ドラマなどで活躍する脚本家だ。彼は親孝行な兄と、亡き父へコンプレックスを抱えていた。そんなミツルが久々に兄を訪ねた理由は、星を題材にしたドラマのコンペに応募するためだ。

兄弟のやりとりの中で生まれたシナリオ『プラネタリウム侍』は、江戸時代からタイムスリップしてきた侍が、現代でプラネタリウムの解説員になるというもの。その劇中劇は、シリアスなストーリーの中で、コミカルなアクセントを添える。また、登場人物の口から江戸時代の星空や天文技術が語られ、学びの面白さもあった。

プラネタリウムを通して兄と交流するうちに、ミツルのコンプレックスはじょじょに溶けていく。兄弟の心の距離が少しだけ縮まり、物語は結末を迎えた。

朗読劇終了後は安元と小野によるフリートークだ。まずは安元が、府中市郷土の森博物館プラネタリウムに設置された最新の投映機「ケイロンⅢ」の性能について熱っぽく解説する。ケイロンⅢは、より本物の見え方に近い星の色を再現できるという。ここではケイロンⅢの真骨頂である満天の星空や、高精細4Kプロジェクターによる、迫力満点の土星や、美しい馬頭星雲が投映され、客席から感嘆の声が上がっていた。

安元はセリフに集中するあまり、劇中で投影されたアルビレオを見れていなかったという。そこで、安元のために再びアルビレオも登場。その美しさに、安元は驚きの声を上げていた。

ケイロンⅢをいたく気に入った安元は「けたたましいお金持ちだったなら、この施設ごと買いたい。石油の権利とか転がってないかな……」とポツリ。壮大な発言に、小野は笑っていたが、同じくケイロンⅢが映し出す星の美しさに「僕も、じょじょに天体に興味が沸いて来ました」と話していた。

イベントグッズの紹介の後、イベントはエンディングへ。安元は「この「ほし×こえ」は毎回新しい発見があって、そんな楽しい思いを好きなプラネタリウムでできて、本当に幸せです。でも僕だけが楽しいと意味がないですよね。聞いてくださった皆さんの、明日からの力の一助になればと思います」とコメント。小野は「僕もスバルの解説の時は特等席で楽しませていただきました。上を見すぎると首が痛いんですけど(笑)。プラネタリウムで朗読させていただく機会はなかなかないので、嬉しかったです」と笑った。

子供のころは身近にあったはずのプラネタリウムは、大人になるとなかなか足を運ぶ機会がない。「ほし×こえ」は、子供のころのような知的好奇心を満たしながら、美しい星空と極上の朗読劇にゆっくり浸れる、一挙両得なイベントだ。あなたの街の近くで開催される時は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

また、3月30・31日には置鮎龍太郎、津田健次郎が出演するさいたま公演、4月13・14にtにはKENN、西山宏太朗が出演する仙台公演の開催が決定。両公演とも3月17日12時より一般発売が開始(先着)される。チケット詳細について詳しくは公式サイトにて。

  • さいたま公演

  • 仙台公演

(C)ほし×こえ/AIR AGENCY