声優の寺島惇太が3月27日、ミニアルバム『29+1 -MISo-』でアーティストデビューを果たす。

  • 寺島惇太

    寺島惇太(てらしまじゅんた) 8月11日生まれ。長野県出身。ケンユウオフィス所属。主な出演作は『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』一条シン役、『A3!』御影密役など
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

もともと歌うことや、音楽を聴くことが大好きだったという寺島。念願叶ったアーティストデビューに懸ける思いとは? また、初めて作詞・作曲に挑戦した楽曲「actor(s)」に込めたもの、そして声優としての本音に迫った。

■「好き」を詰め込んだミニアルバム

――アーティストデビューおめでとうございます。このお話が決まった時は、どのような気持ちでしたか?

いつかはデビューできたらいいなと思っていたんですが、まさかこんなに早くお話をいただけるとは思っていなかったので……。「いいんですか!?」ってびっくりしましたね。声優を目指した時からずっと夢でしたから。やっと今回、それが叶いました。

――キャラクターソングではなく、ご自身の名義でデビューされるということで、戸惑いはなかったのでしょうか?

僕、どちらかと言えば人前で自分を出すことがちょっと苦手なほうなんですけど、歌だけは別なんです。中学3年くらいまで、本当に人前に出るのがイヤで、クラスのみんなの前でスピーチする授業も、自分の番が来るといつも休んでいたんですよ。友達にカラオケに誘われても、全然歌わなかったし(笑)。

――徹底していますね!

でも、歌うこと自体は好きだったから、家の中でだけ、大声で歌っていたんです。ある日、勇気を出してカラオケでも歌ってみたんですよ。そうしたら「なんだ、嫌がっていたけどうまいじゃん」って友達に褒められて。それからじょじょに、人前で喋ったり、歌ったりすることが恥ずかしくなくなっていきました。歌がきっかけで、人前に出られるようになったんです。今は、むしろ歌でどんどん自分を出していきたいですね。

――ラジオでも、毎回こだわりの選曲をされている音楽好きの寺島さん。今回のアルバムも、制作から関わっていたのでしょうか?

そうですね。まず最初に、普段、僕がよく聴いているアーティストさんの名前や、こういうテイストの曲にしたい、というのをいくつか挙げさせていただいたんです。

――具体的にはどんなアーティスト名が?

例えば米津玄師さんとか、BUMP OF CHICKEN、tacica、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、SUPER BEAVER、Aqua Timezさんですね。それを受けて僕の好きそうな楽曲をお願いできるサウンドプロデューサーの方として、赤堀(眞之)さんを紹介して下さって。赤堀さんのスタジオに行って、いろいろと相談をしながらつくっていきました。

――まさに寺島さんの「好き」が詰まったアルバムですね!

そうなんです! 制作していく中で、赤堀さんから「ミニアルバムだから、ライブのセットリストを意識したものにしよう」とアイデアをいただいて、今回の6曲ができました。

■いつか作曲機材も使いこなせるようになりたい

――確かに1曲目の「道標」は、みんなで合唱する部分もありオープニングにふさわしい一曲です。

これは「歌詞を知らなくてもみんなで口ずさめる曲が欲しいです」ってお願いして出来上がった曲なんです。ここから2曲目の「re-Play!」で盛り上がって、「幻日メモリー」でちょっとかっこいい感じになって、「actor(s)」でしっとり聴かせて、「RPG」でまた盛り上がって、「Someday」で締める。そんな、1本のライブを意識した曲順になっています。

――今回のアルバムでは作詞・作曲も手がけられていますよね。作曲は以前からされていたのでしょうか?

今回が初めてですね。高校生の時、軽音楽部でギターを弾いていたので、ちょこっと作曲をしたことはあるんですけど。録音機材がないから、1日ですぐ忘れちゃうんですよ(笑)。そういう遊びみたいな作曲しかやったことがなかったので、今回は初めての挑戦でした。

――どのように曲づくりを?

今回は、僕が鼻歌でつくったフレーズを赤堀さんがピアノで起こして、二人で曲の雰囲気を相談しながら、まずコードを決めていくんです。さらにそのコードに乗せて、僕が鼻歌でメロディをつくっていきました。それも赤堀さんに起こしてもらって、最後に赤堀さんがひとつの曲にまとめてくださるんですけど、そこでも「最初はアコギが強めで」とか「ピコピコした機械っぽいサウンドは少なめで」とか、僕が伝えて、完成させていきました。

――赤堀さんとの二人三脚での作曲作業。やってみていかがでしたか?

音楽をつくれる人ってすごいなと思いました。伝わるかな? と思った微妙なニュアンスも、赤堀さんは全部反映してくださるんです。あと改めて思ったのは、音楽ってメロディラインも重要なんだけど、裏で流れている音のアレンジも大事だなって。音の選び方で、雰囲気がガラッと変わっちゃうんです。そうやって音を操れる、作曲家に憧れるようになりました。自分もいつか機材を使いこなせるようになって、そういう作業まで含めて作曲してみたいです。