ことでん1080形1編成(1081・1082号)に京浜急行電鉄時代の赤い車体と白帯のリバイバルカラーを施した全面ラッピング車両「還暦の赤い電車 ~REVIVAL KHK COLOR~」の運行開始を記念し、3月6日に仏生山駅で出発式が開催された。
ラッピング車両に使用された1081・1082号は1959(昭和34)年12月に製造され、京浜急行電鉄の1000形(初代)として活躍した後、1988(昭和63)年に高松琴平電気鉄道に譲渡された。ことでん1080形はこの1081・1082号を皮切りに、1988~1991年にかけて計6編成12両が投入され、琴平線の車両として活躍している。大半の編成が黄色・白色のカラーリングで運行されてきたが、1083・1084号の編成は京急電鉄2100形をモデルとした全面ラッピング車両となり、昨年4月から運行されている。
1081・1082号の編成は間もなく製造から60年を迎える。昨年7月、撮影会や貸切電車の運行などを通じ、ファンの輪を広げることを理念に活動する任意団体「ことでん貸切乗車団」により、ことでん1080形の還暦を祝う「還暦の赤プロジェクト」が企画され、9月25日からクラウドファンディングがスタート。3カ月後の12月22日、目標金額の1,500万円を超える770件、1,605万1,000円にて成立し、「もう一度、京急初代1000形を見たい」という鉄道ファン有志の熱い気持ちが実現することになった。
「還暦の赤い電車 ~REVIVAL KHK COLOR~」と命名された全面ラッピング車両の出発式は仏生山駅3番線ホームにて開催された。京急初代1000形のカラーリングを復刻した1081・1082号がお披露目され、平日にもかかわらず多くの鉄道ファンらが集まった。出発式で挨拶した「ことでん貸切乗車団」の代表、佐羽内勇太氏は、「3日前に山梨から来て、この赤い車体の編成を見た瞬間、言葉にならず、ただただ感動しました。プロジェクトを達成できたんだという思いに、心の底から浸ることができました」と述べた。
佐羽内氏によれば、復刻にあたって「車番をあと10mm動かしてほしい」といった要望も出すなど、細部までこだわったという。高松琴平電気鉄道の代表取締役社長、真鍋康正氏は、「1080形は我々にとっても愛着のある車両。昔の色をまとって再び走ることになり、大変ありがたい。クラウドファンディングによるラッピングは初の試みでしたが、本当に良い形で仕上がったと思います」と挨拶。今後、京急電鉄の2100形と初代1000形をモデルとした2種類のラッピング車両が活躍することになり、「京急ファン、ことでんファン、そして沿線の皆様にとっても楽しい期間になるのでは」とコメントした。
ことでんのキャラクター「ことちゃん&ことみちゃん」も出発式に登場。佐羽内氏により製造60周年を祝うヘッドマークが装着され、運行開始を記念したテープカットが行われたほか、車内の内覧も実施された。窓上のスペースにクラウドファンディング出資者の名前が掲出されており、名前を探すファンの姿も。出発式の後はラッピング記念の臨時列車として運行され、14時5分頃に仏生山駅を発車。高松築港駅まで往復した。
京急初代1000形のカラーを復刻したことでん1080形「還暦の赤い電車 ~REVIVAL KHK COLOR~」は、3月6日から運行開始した後、琴平線高松築港~琴電琴平間にて、2021年春頃まで約2年間の運行を予定している。