新卒採用でよく利用される「適性検査」。中途採用でも行われることが多いそうだが、対策方法はあるのだろうか。企業にさまざまなアセスメントツールを提供している日本エス・エイチ・エルで話を聞いてきた。

  • 転職者への適性検査、対策はできるのか?(写真:マイナビニュース)

    転職者への適性検査、対策はできるのか?

適性検査の対策は可能?

「うーん、難しい質問です。残念ながら、『これが正解』というやり方はないですね。ただ、適性検査でも『知能検査』(※)なら、対策として全くないわけではありません」。(※適性検査は「知能検査」と「性格検査」があり、多くの企業がこの2つを行う)

そう話すのは、日本エス・エイチ・エル 清田茂さん。どうやら、対策としてできることは限られているようだ。

  • 日本エス・エイチ・エル 清田茂さん

    日本エス・エイチ・エル 清田茂さん

清田さん「知能検査の場合、もし事前にわかれば、その会社で出題された問題をチェックする。もしくは書店にある対策本に目を通すだけでも、心理的な安心感は得られると思います」。

性格検査は自分のことを正直に書く

もう1つの性格検査についてはどうだろうか。こちらについても聞いてみると、「自分のことを正直に書くこと」が対策になるそうだ。

清田さん「性格検査では、足切りで落とされることはほとんどありません。しかし面接時には検査の結果を深堀りします。

例えば、『この会社はイノベーション力が重要だから』と検査で偽って答え、創造力に高い得点がついたとします。すると、面接官からは、前職でイノベーションとして取り組んだことや、業務上で工夫した点などについて、いろんな角度から質問されるでしょう。そこで、困らないようにするためには、嘘をつかないことが一番です」。

新卒採用と異なり、中途採用では、前職での成果・業績、そしてそこに至るまでの行動プロセスを確認されるのだ。

中途採用で適性検査を行う理由

新卒採用での適性検査は一般的だが、中途採用でも増えているそうだ。いったい、企業はどんな理由で行っているのだろうか?

清田さん「企業が中途採用で適性検査を導入するケースとしては、大きく2つの目的が多いです。1つ目は『離職率の改善』。新卒採用では『3年で3割やめる』といいますが、中途採用の場合は、業界や企業にもよりますが、もっと高い離職率の会社もあります。

そこで、早期離職に結びつきやすい特徴や傾向などを性格検査で割り出し、離職者を減らすための対策を講じようとしているわけです」。

  • 中途採用での適性検査導入は増えていると話す清田さん

    中途採用での適性検査導入は増えていると話す清田さん

2つ目は、「できる人材の採用」。例として挙がったのが、求人サービスの新規開拓営業職の募集である。

清田さん「人材ビジネス業界では転職が多く、その会社は応募してきた求職者をどんどん採用していました。しばらく経つと、採用したタイプによって業績の差が明確に表れてきたので、入社時に行っているテスト結果を調べてみると、業績(営業成績)と適性検査の項目に相関関係があることを発見。それからは、適性検査で採用のスクリーニング(選別)を行うようになりました」。

適性検査を受ける人へのアドバイス

清田さん「適性検査を受ける前には、今一度『なぜ転職するのか』を考えるようにしてください。自分のキャリアアップのために、という人もいるでしょうが、多くの人は職種や職場環境とのミスマッチからだと思います。

次の職場こそ、そうならないようにするにも、企業とは対等なスタンスで、ありのままの自分を出していくべきです。それがあなたにとってのハッピーな転職につながるはずです」。

取材協力

清田茂
日本エス・エイチ・エル 取締役
26年間人事コンサルタントとして企業の人事施策(採用、配置、任用、能力開発等)支援に従事。2008年より同社直販営業部門を統括(現任)し、企業の適材適所を推進している。プライベートではフルマラソン3時間切りを目指し月間300kmランニングを継続中。