SBとトヨタの新会社が丸の内でオンデマンド通勤シャトルの実証

ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、MONET)と三菱地所は2月18日、次世代のモビリティ社会を見据え、MaaS(Mobility as a Service)の実現に向けた移動時間の変革に関する検討を開始した。

今回、両社は自動車の車内空間を有効活用することで、従来の移動時間を働く時間や家族と快適に過ごす時間などに変えるとともに、車内での物品販売をはじめとした新たなモビリティサービスの検証を行う。

まずは、2月26日～3月22日の機関で東京・丸の内エリアに勤務する人を、スマートフォンのアプリケーションで選択した場所から勤務地付近まで送迎するサービス「オンデマンド通勤シャトル」の実証実験を実施し、サービスのニーズやオペレーションの検証を行う。

Wi-Fiサービスの提供や膝上テーブルの設置などにより車内をオフィススペースとして利用できるようにしたり、保育施設の利用者が子どもと快適に通勤できる空間を作ったりするほか、車内で軽食などを販売するなど、車内空間を活用した新たなサービスの可能性についても検証。なお、実証実験はビジネスパーソン向けとワーキングパパ・ママ向けの2つを実施する。

ビジネスパーソン向けは6:30～9:30、17:45～20:30(休日を除く)の時間帯で運行し、送迎エリアが吉祥寺、豊洲、川崎、上野、等々力、赤坂エリア～丸の内エリア、対象者は大手町・丸の内・有楽町エリアで三菱地所が運営・管理するビルに勤務する人(野村総合研究所、古河電気工業の従業員など)、運行車両はトヨタアルファード2台、料金は無料、車内サービスはWi-Fiサービス・膝上テーブルの提供、充電プラグの設置、軽食の販売など。

車内イメージ(ビジネスパーソン向け車両)
トヨタアルファード(同)

ワーキングパパ・ママ向けは時間帯はビジネスパーソン向けと同様となり、送迎エリアは丸の内を中心とした半径3km圏内、対象者は三菱地所が協力を依頼した同圏内にある保育施設の利用者(アルファコーポレーション、ポピンズ、三菱地所プロパティマネジメントが運営する保育施設の利用者など)、運行車両はトヨタエスクァイア1台、料金は無料、車内サービスはチャイルドシートの設置、絵本の提供、軽食の販売など。

車内イメージ(ワーキングパパ・ママ向け車両)

両社は本実証実験の結果などを踏まえ、今後の自動運転時代を見据えて、通勤に加えて、商業施設や空港への移動など、さまざまなシーンにおけるモビリティサービスの事業化について検討を進め、最先端のモビリティサービスにより時間や空間に縛られない街の実現を目指す。

豊田市ではオンデマンドバスの実証実験

一方、豊田市とMONETはMONETのプラットフォームを活用して、オンデマンドバス「おばら桜バス」を運行する実証実験を2月27日から開始。プラットフォームは、オンデマンド型交通向けの配車プラットフォームとなり、実証実験では豊田市小原地区に住む一部の人にバスの乗客として参加してもらい、同プラットフォームを活用したオンデマンドバスの運用方法や利便性を検証する。

おばら桜バスは、乗降するバス停や日時、人数を指定して利用することが可能で、2009年4月から小原地区内を運行するオンデマンドバス。これまで電話のみで予約を受け付けていたが、同プラットフォームの導入により、電話に加え、スマートフォン(iOS 11.0以上のiPhoneに限る)から専用のアプリケーションで手軽に同バスを予約することができるようになるという。

運行車両のイメージ

運行時間は午前6時～午後7時(土日、祝日を除く)、運行車両はトヨタプリウスα2台(乗客の定員:4人)、乗車料金は大人は200円、小学生は100円、未就学児は無料となる。

なお、バス車内にはタブレットを設置し、予約状況に応じた最適な運行ルートをドライバーに提示するほか、バスの運行管理者は、専用の管理者画面から運行状況を確認することが可能。豊田市は実証実験の結果を踏まえて、今後は市民に便利に使ってもらえるモビリティサービスとして、オンデマンドバスの利便性を向上していく考えだ。

今回の2つの取組みは、MONETが2月18日に発表した、次世代のオンデマンドモビリティサービスの提供に向けた全国17自治体との連携の一環で、内訳は安平町(北海道)、仙北市(秋田県)、横浜市、鎌倉市(神奈川県)、加賀市(石川県)、伊那市(長野県)、岐阜市(岐阜県)、藤枝市(静岡県)、名古屋市、豊田市(愛知県)、大津市(滋賀県)、川西市(兵庫県)、福山市、府中市、東広島市(広島県)、嘉麻市(福岡県)、菊池市(熊本県)となる。