豊田自動織機と全日本空輸(ANA)は、3月下旬より佐賀空港の専用空間において、トーイングトラクターの自動走行技術検証を行うことを発表した。

豊田自動織機公式<a href="https://www.toyota-shokki.co.jp/index.html" target="_blank">Webサイト</a>

豊田自動織機公式Webサイト

大量の物資を空で運べる飛行機。軽量物から重量物まで短時間で運べる空輸は物流の大動脈のひとつと言えるだろう。しかし、空港内ではトーイングトラクターが、せっせとけん引作業を行い空の大動脈を支えている。1867年、豊田佐吉氏が従来の20倍以上の生産性を実現するG型自動織機の製造販売を目的に創立した豊田自動織機は、日本のイノベーションの先駆けの歴史を持つ代表的な企業のひとつだ。

同社のWebサイトのイノベーションに掲載してある技報 2017 No.68特集「佐吉翁が挑んだ完全なる自動織機への想い」(PDF)にはこの糸を交差させて、布を織っていく技術とG型自動織機の特徴である自働杼(ひ)換装置のメカニズムの詳細が掲載してある。複雑なメカニズムでヨコ糸の残量を探知し、糸を内蔵する「杼」を交換する。当然ながらデジタル化されていないこの時代に利便性を追求した複雑な自動化が繊維の世界で大きな生産性を実現していく。同社は源流となる繊維機械部門や自動車部門のほか産業車両部門を持ち、物流機器やフォークリフトなどの搬送機器と世界各地で広くモノの流れを支えている。

そんな同社はANAとともに3月下旬から佐賀空港の専用空間にて、テスト用に開発された"豊田自動織機製トーイングトラクター"を用いた自動走行テストを行う。ターミナルの手荷物仕分け場から航空機の傍までの片道約100メートルを、運転手が随時手動操作で介入できる条件付き自動走行で往復し、貨物を運搬する。自動走行トーイングトラクターには、周囲の状況や目的地の位置を認識するために、レーザー光の反射光を測定するセンサを用いた"2次元/3次元LiDAR"と呼ばれる障害検知、自動停止・回避機能、車両搭載カメラ撮影画像と事前作成の路面画像のマップデータのマッチング、GPSと複数の技術が使われる。

  • 向かって左が現行のトーイングトラクターと牽引貨物。右がテストに使われる電動の"豊田自動織機製トーイングトラクター"。全長2,660mm×全幅1,180mm×全高1,911mm、重量5,900kg。最高牽引可能重量 15,000kgで最高速度は21km/hとなる(同社資料より)

    向かって左が現行のトーイングトラクターと牽引貨物。右がテストに使われる電動の"豊田自動織機製トーイングトラクター"。全長2,660mm×全幅1,180mm×全高1,911mm、重量5,900kg。最高牽引可能重量 15,000kgで最高速度は21km/hとなる(同社資料より)