シスコシステムズは2月6日、データセンターは一定の場所に固定されるものではなく、データが生成、処理、使用されるあらゆる場所に存在するという「Data Cenetr Anyware」という考えに基づく、データセンター向け新製品を発表した。

新たに提供を開始するのは、SDN(Software Defined Network)ソリューション「Cisco ACI(Application Centric Infrastructure(ACI)」における「Cloud ACI」で、「Cisco HyperFlex Edge」における最低ノード数の引き下げ、クラウドアプリケーション管理ソリューション「Cisco CloudCenter」における提供モデル拡充も行う。

Cisco ACIはオンプレミス向けとして2014年に提供開始。その後、マルチサイトに対応。さらに、リモートリーフでエッジに対応、Virtual ACIで仮想環境向けソフトウェア提供による他社のスイッチ対応とバージョンアップを重ねてきた。

  • 「Cloud ACI」を新たに提供

今回の「Cloud ACI」により、ACIの利用をパブリッククラウドに拡大する。当面は、AWS、Azureのみだが、今後、Googleにも拡大する予定。これにより、オンプレミスのポリシーを利用し、エッジ、パブリッククラウドをコントロールできるようになる。普段はオンプレミスだけで処理し、何かあったときにパブリッククラウドに展開するといったことも可能だという。なお、Cloud ACIは2019年第2四半期中に提供を開始する予定。

  • ACIを」をパブリッククラウドに拡大

シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当 石田浩之氏は、「真にEnd to Endで最適化していく環境をつくっていく」と語る。

  • スコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当 石田浩之氏

パブリッククラウド側の制御は、クラウドベンダーが提供するAPIを利用して行う。クラウドベンダーと連携しながら機能提供しているため、機能変更にも柔軟に対応できるという。

米シスコシステムズ シニア ディレクター コンピューティング、データセンター マーケティング トッド・ブラノン(Todd Brannon)氏は、「他社はやっているのは、オーバレイ方式で、利用できる機能は限定的だが、シスコはAPIにより、基本的な部分から制御できる」と、優位性を語った。

  • 米シスコシステムズ シニア ディレクター コンピューティング、データセンター マーケティング トッド・ブラノン(Todd Brannon)氏

Cisco HyperFlex Edgeは、リモートおよびブランチ オフィス向けHCI(ハイパーコンバージインフラ)だが、これまでは3ノード固定での利用だったが、今回、監視サーバの代わりに「Cisco Intersight」を利用できる「HyperFlex 4.0」をリリースすることで、最低ノードを2ノードからにし、3、4ノード構成もサポートする。また、オプションとして、ALL NVMe構成に対応するほか、ハードウェアクセラレーションとして、HyperFlex Acceleration Engineも提供する。なお、HyperFlex 4.0の提供は2019年第2四半期中に開始する予定。

  • Cisco HyperFlex Edgeは2ノードから利用可能に

Cisco CloudCenter(旧CliQr)は提供モデルとして、新たに「Cisco CloudCenter Suite」を用意。これまでのすべての機能の利用に加え、機能を選択して部分的に利用することも可能にする。また、今後は、SaaSでの提供も開始する。

なお、Cisco CloudCenter Suiteのオンプレミス版は2019年第1四半期、 SaaS版は北米地域では2019年第1四半期、欧州では2019年第2四半期より提供を開始する予定。日本では2019年第2四半期以降より提供を開始する予定。

  • 「Cisco CloudCenter Suite」を提供

トッド・ブラノン氏は、「Data Cenetr Anyware」について、「これまではパッケージを購入しデータセンターで運用してきたが、最近はマイクロサービス化で分散化し、コンテナや機械学習、AIも使うようになっている。そのため、データセンターのアーキテクチャにおいて、新しい考え方が必要だ。データはデータセンターの中にあるだけでなく、収集、分析、利用が分散化して、データセンター以外の場所でも行われている。エッジ、データセンター、プライベートクラウドやパブリッククラウドなどあらゆる場所にデータが存在する。我々が考えるのはパブリッククラウドとアプリでデータをどうつなぐかだ。そのためデータセンターのポリシーを一斉にエッジにもプッシュしなければならない。データがあるところで運用するということだ」と語った。